若かりし頃、私は俗にいうメンヘラだった。
生きづらさのようなものは続いているが、その辛さや苦しみをなんとか紛らわせる生活の知恵を身に着けるようになったのだ。
例えば「こういう人間のいうことは真に受けない」「怒りが湧いても10秒くらい我慢すれば大体忘れる」「精神の乱れは身体の乱れに繋がってるからよく寝る」など。
不眠症なので眠剤と、抗不安薬は続けているものの、精神状態の乱高下は余りなくなった。衝動的な行動や言動も次第に消えていき、SNSでの奇行(メンヘラ的なツイートやかまってちゃん行動など)もなくなった。というかSNSでの自我が消えていった。
しかしながら、健常者……と呼ぶのはちょっと問題あるかもしれないけど便宜上こう書かせてもらう……と一緒にいると、高確率でハブられる。嫌われるというか疎まれる。イジりの対象になってしまうのだ。
健常者の人たちからすると私は「ちょっと変わったひと」「ズレてるひと」らしい。
それはちょっと悲しかった、普通にこっちは仲良くしたかったから。それに対して怒りや悲しみを抱いていたけど、なんかもう悩んだり傷つくの嫌になって「ワイはこういう人間だから仲良くしようとするのは諦めよう」という、諦念を抱きながら段々と人間関係からドロップアップしていった。当然ぼっちに近づいていく。
そんななかで仲良くしてくれていたのはメンヘラ仲間だった。
メンヘラさんは、メンヘラといえど、普段は普通だった。はみ出し者同士、ネガティブな話題で盛り上がりつつ何年もの時が経った。
メンヘラさんはメンヘラ仲間がたくさんいた。私は多分その中のひとり程度の存在だったんだと思う。
メンヘラさんが突然キレた。
いや、突然じゃない。おそらくメンヘラさんのなかで何かがあってそれがたまったんだと思う。
私はめちゃくちゃ動揺した。
メンヘラさんには、私が相当ぼっちであること、今までろくすっぽ人間関係を築いてこれず就労経験もほとんどないこと。あと家族関係が余り良くなかったこと。
ネガティブ方面での自己開示をたくさんしていたので急にどしたん……? と思って、慌ててしまった。
「だいじょうぶ?どしたん」「心配だよ~」こんな感じでリプとかいっぱい付いてて、メンヘラさんも「友達にたくさん迷惑かけてしまった、みんなごめんなさい」みたいなことを言ってた。
でも全然元気にツイッターしてる。病み散らかしてるけど。元気に病んでるという感じで。
私は怖くなった。今の今まで仲良くしていた人間が突然牙を剥きだしにしてきたから。
メンヘラさんが友達がたくさんいて幸せ!というツイートをするたびに、あ~私って空っぽなんだな、と思うと同時に
という疑問が生まれた。
なにに怒って、なにに悔しさを覚えているのか。私はわからなくなってしまった。
今の今まで信じてきた「自身はメンヘラである」ということが揺らいでいった。
結果として私はSNSを全て消し去り、友人がゼロになったわけだが。
寂しさみたいなものが湧いてこなくて、自分は欠落した人間なのかな~と考えてしまった。
苦しみとか、ないわけだけど。メンヘラよりもずっとずっと悲しい人間なんだろうな、と考えると
健常者にもなれず、メンヘラにもなれず。仕事もなければ友達も理解のある彼くん(付け加えると喪女である)もいない。
「メンヘラ」という言葉に付加価値を覚えてその間仲間がいた。歪だけれどそういう場所に身を置いていた。
ガチメンヘラだと生きるの大変だから、少なくともそれよりはマシだよ
例えば過呼吸は若い女性に多いけど、加齢とともに減っていくそうな。 女性に限った話じゃないけど年を取ることで何物でもない何かになることがあるんじゃないかな。