2024-06-30

コピ・ルアクインドネシア語:Kopi Luwak)とは、ジャコネコの糞から採られる未消化のコーヒー豆のことである[1]。「コピ」はコーヒーを指すインドネシア語、「ルアク」はマレージャコネコの現地での呼び名である[2]。

日本では、コピ・ルアク、コピ・ルアック、ルアック・コーヒーと呼ばれることが多い。独特の香りを持ったコピ・ルアクは、産出量が少ないその希少性により、高額で取り引きされている。

産地と名称

コピ・ルアクインドネシアの島々(スマトラ島ジャワ島スラウェシ島バリ島)で作られている。このほか、フィリピン南インドでも類似コーヒー採取され、フィリピンのものは、「アラミド・コーヒー」(Alamid coffee、現地の言葉で「カペ・アラミド」Kape Alamid)と呼ばれる。

アメリカ合衆国では、Civet coffee(ジャコネココーヒー)やWeasel coffee[3](イタチコーヒー)との俗称があり、日本イタチコーヒーと呼ぶのも後者に倣ったものと思われる。しかし、ジャコネコ科のジャコネコイタチ科のイタチは異なる動物なので、イタチコーヒーという俗称は誤解を招きやすい。

かつて、ベトナムでは同種のマレージャコネコによるものイタチコーヒーと呼ばれて市場に出ていたが、現在流通経路に乗る機会が乏しくなり、人為的に豆を発酵させたものイタチコーヒーと称して販売されている。

特徴

インドネシアコーヒー農園栽培されるコーヒーノキの熟した果実は、しばしば野生のマレージャコネコに餌として摂食される。果肉は栄養源となるが、種子にあたるコーヒー豆は消化されずにそのまま排泄されるので、現地の農民はその糞を探して中からコーヒー豆を取り出し、きれいに洗浄してよく乾燥させた後、焙煎する。フィリピンではリベリカ種など複数種のコーヒーノキが栽培されており、カペ・アラミドの場合結果的に数種類のコーヒー豆自然ブレンドされると伝えられる。

コピ・ルアクやカペ・アラミドは独特の複雑な香味を持つと言われている。ジャコネコの腸内に存在する消化酵素の働きや腸内細菌による発酵の働きで、コーヒーに独特の香味が加わる。なお、この腸内発酵により、カフェイン含有量は、通常のコーヒーに比べて、およそ半分に減ることが分かっている。

コピ・ルアク生産のためにケージに入れられたジャコネコ

世界で最も高価なコーヒーとして知られており、500グラムにつき300から500米ドル価格販売されている。かつては主にアメリカ合衆国日本に出回っていたが、現在供給量こそ限られてはいものの、世界各地で入手できるようになった。その背景として、野生のジャコネコを乱獲して、本来肉食のジャコネコに無理矢理食べさせることで大量生産し、「WILD(天然もの)」と偽装して販売している実態取材したドキュメンタリー2013年9月BBCで放映され[4]、イギリスで大きな反響を呼んだ。レストランコピ・ルアク提供していたハロッズは、「天然ものであることを保証する」との声明を発表していたが、このドキュメンタリー中でBBCから追及を受けたことが放映され、視聴者からの抗議を受けて提供を取りやめた。

世界最大の消費地日本台湾韓国などのアジア諸国である[5]。コピ・ルアクやカペ・アラミドは、稀少価値の高さが魅力であり、素晴らしい味やフレーバーがあったとしても、コーヒー豆としての品質が最も優れているわけではない。その独特で豊かな香りや味のコクには高評価な反面、「ウンチコーヒー」 (poo coffee) と茶化す向きもある。

また、コピ・ルアク(カペ・アラミド)は、ルアクが食べるコーヒー豆品質により、その味や風味が大きく左右される。ロブスタ種のコピ・ルアクよりもアラビカ種のものは味に優れ、より高値取り引きをされている。一大観光地であるバリ島インドネシア)で市販されるコピ・ルアクは、このロブスタ種である傾向がある。また、現地で市販されるコピ・ルアクは、観光客向けに大量生産されているため、鮮度や品質が低いことがある。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん