テレビ番組に関する情報をTwitterで収集すると、番組ファンが番組の見どころとなる場面をスクリーンショットしたツイートが人気になっている様子をよく見かける。
テレビ番組をスクリーンショットしてツイートすることについて、自分なりに整理してみる。
「つかまるよ、マジで。」のCMでおなじみのとおり、テレビ番組を動画サイト等に許諾なくアップロードして公開することは違法である。
事実、YouTubeやTwitterにアップロードされたテレビ番組は日々削除が行われている。
ただし、迅速な削除が行われるのは著作権者からの申請があったときであり、第三者が申請を行った場合は反映されにくいのが現状である。
どのような投稿が削除されるか、インターネットを使っていればなんとなく分かってくる。
例えば、
・画面キャプチャ対策がされているサイトやアプリで、回避するツールを用いてキャプチャする
・明らかな悪意を持って誤解を招くような切り取りをする
このような内容の投稿であれば、削除申請の対象とされやすいということは理解してもらえると思う。
以上を踏まえると、「違法アップロードではあるが削除されにくい投稿」というものが見えてくる。
・画面キャプチャ対策がされていないサイトやアプリの内容をアップロードする
加えて、
・TVerやYouTubeなど公式で視聴するためのリンクを添える
といった工夫をすることもあるだろう。
番組ファンが番組の面白さを伝える目的で違法アップロードに手を染める場合、多かれ少なかれこのような「グレーゾーン」を各々定め、投稿する際の免罪符としているはずだ。
もちろん、これらの行為を行ったからといって違法性が無くなるものではない。
考慮するべきなのは、テレビ番組側がスクリーンショットによる拡散を誘発している可能性があるということである。
例えば、バラエティ番組『テレビ千鳥』では、ボケとなる画像にツッコミの台詞をテロップで載せた画面を数秒間表示するという風変わりな演出を多数行っている。
これは、テレビ番組制作者が「ここでスクリーンショットを撮ってSNSに投稿し、この一枚絵を話題にして欲しい」と視聴者に対して言外にアピールしていると受け取ることもできる。
出演者においても、このような違法アップロードを含むツイートに対して引用リツイートといった形で反応することがあり、それが好意的な文脈のとき、この問題をより曖昧にしている。
節度を持った違法アップロードであればむしろ拡散のために一役買っている、という奇妙な論理が生まれる土壌は確かに存在している。
一方、すべての違法アップロードを削除することは技術的に難しいのが現状である。
ただ、違法アップロードを食い止めるための技術が年々向上しているのは事実である。
いつの間にかアプリ版TVerではスクショを撮ることはできなくなったし、有料配信プラットフォームでは画面キャプチャに対する強固なプロテクトが用いられるようになった。
YouTubeも違法アップロードに対する動画の削除、アカウントの停止がより迅速に行われるようになった。
さらなる技術向上により、スクリーンショットすら難しくなり、アップロードしたら即座に削除される時代が来る可能性は十分に考えられる。
その一方、テレビ番組側がガイドラインを制定し、定められた形であれば画像や動画を用いた投稿を認めるといった方向に進むことだってあり得る。
テレビ番組への愛がスクリーンショットを用いた違法アップロードという形で表れているのは、違法ではあるが削除されないというねじれた時代が産み出した声なのではないだろうか。