■インボイス制度について私的メモ

2023年(令和5年)10月1日より施行されるインボイス制度についてレクチャーを受けたので忘れないうちにメモしておく。

この日記を書いた増田本人は税理士ではないので間に受けないように。

インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは

• 企業や個人事業主が消費税納税額を計算する際、適格請求書発行事業者からの仕入だけを控除対象とする制度。
• ようするに「適格請求書発行事業者でない事業者から物品を仕入れてしまうと納税額が増えてしまう」ということ。

インボイス(適格請求書)とは

• 適格請求書発行事業者の発行する、所定の記載条件を満たした請求書・領収書・その他証憑の事。
• 取引における消費税額計算の認識を売手買手間で一致させることが目的。
• たとえば、消費税額計算の端数処理は、明細1項目ごとでなく税率ごとの代金小計に対して端数計算すべきとされる。このことが正しく買い手に伝わるような正確な記載が求められる
• サンプル：https://www.nichizeiren.or.jp/wp-content/uploads/invoice/invoice3b.pdf

適格請求書発行事業者になる条件

• 消費税法における「課税事業者」であること
• 税務署に登録申請書を提出し、税務署長の承認を受けること

登録申請書提出の期限

• もしもインボイス制度施行日に合わせて令和5年(2023年)10月1日より適格請求書発行事業者として事業を行いたい場合は、令和5年(2023年)3月31日までに登録申請書を提出すること

適格請求書発行事業者になるべきか否かの判断

• 正解はない
• 各事業者の置かれた状況による

適格請求書発行事業者になることで生じるデメリット

• 経理業務が複雑になる
• (今現在は免税事業者である場合)消費税の納税義務が生じる
• (今現在は免税事業者である場合)免税制度によって結果的に得ていた益税収入が失われる
• (今現在は免税事業者である場合)取引先企業に消費税の価格転嫁を拒否されるおそれ
• (匿名で活動する個人事業主の場合)本名が国税庁ウェブサイトで公開される、取引先に本名を開示する義務が生じる

適格請求書発行事業者にならないことで生じるデメリット

• 消費税納税額を増やしたくない取引先企業が取引を停止するおそれ

適格請求書発行事業者にならなくともデメリットの生じない例

• 例）高度な専門性を持つ企業や個人(取引先企業よりも立場が強い)
• 例）個人消費者だけに販売している(個人は適格請求書を必要としない)
• 例）簡易課税制度適用事業者だけに販売している(簡易課税制度適用事業者は適格請求書を必要としない)

インボイス制度と消費税簡易課税制度

簡易課税制度とは

• 仕入に係る消費税額について、実際の仕入実績とは関係なく、売上に係る消費税額を元に「みなし仕入率」を用いて算出してよいとする制度。
• 課税売上高が5,000万円以下の事業者のみ利用可能。
• 簡易課税制度適用事業者は、売上に係る消費税額だけを帳簿で管理すれば良い。

簡易課税制度のメリット

• 簡易課税制度適用事業者は、仕入先が簡易課税制度適用事業者であるか否かを気にする必要がない。経理作業の大幅簡略化を実現できる

簡易課税制度のデメリット

• 赤字経営の事業者は消費税納税額を正確に計算すれば納税額マイナスとなって税金の還付を受けられるはずだが、簡易課税制度の簡易的な納税額計算方法では納税額マイナスにはならず、還付も受けられなくなる

インボイス制度の経過措置

経過措置期間の課税選択届出書の提出不要

• 令和11年9月30日までの経過措置として、適格請求書発行事業者登録申請を行った免税事業者は、課税選択届出書の提出なしに課税事業者になれる。この場合は適格請求書発行事業者登録日から課税事業者として扱われる(会計期間の途中で免税事業者から課税事業者へと切り替わる)。

簡易課税制度選択届出書提出に係る経過措置

• 上記の場合で且つ事業者が適格請求書発行事業者登録日を含む会計期間中に消費税簡易課税制度選択届出書を提出した場合は、適格請求書発行事業者登録日を含む会計期間の期初から簡易課税制度適用事業者だったものとして扱われる。

免税事業者からの課税仕入に関わる経過措置

• 令和11年9月30日までの経過措置として、免税事業者等からの課税仕入についてはその一部を控除してよいものとする。

その他の経過措置(案)

• 1万円未満の課税仕入については、100％を控除してよいとする案
• 1万円未満の返品返金取引については、返品返金取引のための適格請求書の交付は不要とする案

適格請求書発行事業者登録申請とe-Tax

• 登録申請はe-Taxで手続き可能
  • 「e-Taxソフト」←アプリ版
  • 「e-Taxソフト(WEB版)」
  • 「e-Taxソフト(SP版)」
• e-Taxの利用には利用届の提出と電子証明書が必要
• 電子証明書としてマイナカードに内蔵された電子証明書を利用可能

適格請求書発行事業者になったら

確認事項

• 適格請求書を必要とする取引先は誰か
• 自社で発行している証憑で「適格請求書等」に該当するものはどれか
• 何を「適格請求書等」に変えて何をそのままにするか(たとえば別票としての明細書が適格であれば請求書本票は不適格でもよい)

作業事項

• 証憑記載事項の修正
• 適格請求書交付方法の取引先への周知
• 必要なら消費税納税額計算方法の見直し(割戻計算or積上計算)
• 必要なら販売価格の見直し(消費税分の上乗せ)

最後に

適格請求書発行事業者になるべきか否かの判断に正解はない。各事業者の置かれた状況による。

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