2022-02-28

憲法9条で「平和になる」のか(メモ

おそらく、9条で「平和になる」という主張の背後には以下のような前提があるのではないか


日本けがアジアで)他国侵略するポテンシャルを持つという前提

 日本9条によって戦争放棄をすれば直ちに東アジア平和になる。憲法制定当時なんかはまじめに日本の再侵略が各国に懸念されたと聞いたことがある。

 他の国が日本侵略しないという前提に立つので「お花畑」な発想だが、確かに日本首相プーチンみたいにならないという保証別にないし、武力紛争ベトナム戦争とか)に巻き込まれない口実になったし、日本が緊張をエスカレーションさせることがないので一定意味がある(あった)。ただし、それは結局冷戦から最近までの間で日本が直接の脅威に直面しなかっただけかもしれないので、今はどうなのかな?と思う。

世界中のすべての国が9条を取り入れることが目指されていて、今はその途上にあるという前提

 今はすべての国が取り入れているわけじゃないけど、今後世界すべての国が9条を取り入れたら侵略戦争はなくなる。日本9条を通じてそれを実施している。という発想。

 9条は元々1928年不戦条約ケロッグ=ブリアン条約)の流れを汲むと言われているし、他国憲法国連憲章にも戦争放棄規定があるので、系譜としての流れではこの理解は正しいような気がする。

 ただし、侵略戦争するような国の政府憲法を守るのか、守らなくていい理由でっちあげるんじゃないかという現実的問題がある(国内の説得とかがとても大変になるので、9条がないよりもだいぶましなんだと思う)。

交渉や国際裁判であらゆる法的紛争解決可能であるという前提

 17~19世紀ヨーロッパとかでは、保守的あるいは「普通の日本人」の人でもドン引きするような理由簡単戦争が行われていた(アヘン戦争とか)。

 さすがに不毛なので、話し合いとか裁判とか調停とかが戦争の代わりに使われるようになった(極端な例だけど、時代時代なら調査捕鯨を巡って日本オーストラリア戦争していたかもしれない)

 民事っぽい争いはともかく、今回みたいな政治的に高度な争いでも裁判とか交渉解決できるのかという論点があったが、9条的にはこれはYesという立場(あるいはその決意を示すもの)なのではないか

 実際、あらゆる争いに法的な側面はあるので、それを解決することは争いの全体的な解決に役に立つよと国際裁判所は指摘しており、一理はあるかもしれない。

 でも、個々の利害についての法的紛争ではなくて現状の国際秩序のものが気に食わない国が現れた時(ナチスとか)どうするのかという問題がある。

結論:①~③が現在でも当てはまるのかはよくわからない。ただ①との関係では、9条日本改正した場合には、思ってもみない強烈な反応(とそれを口実にした反日的政策)が生じるかもしれないと思うし、②③との関係では国際法規定国連憲章2条4項)とそこまで変わらない9条改正することで何がしたいのか、プーチンみたいなことがしたいわけじゃないのなら結局名前を「軍」に変えたいだけなのか、いろいろ詰め切れていない防衛法制をなんとかしたいのか(それは9条を変えることでできるようになるのか)といったところを詰めないと結局意味がないような気がする。

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