・来年から毎年、高3生は、6月と11月にセンター試験と同じくらいの重み・規模で、英検かGTEC(ベネッセの検定)を受けることになる。
というもの。
田舎(離島ではない)の進学校に勤めている自分の身の回りで起きていること、心配事を挙げてみます。
・英語外部検定は7種類あるが、田舎なので、受験会場が多い英検かGTECの2択。
・進学校なので学年全員が受験する。入試に直結する重要性から、受験会場までは学校でバスを借りて教員が引率する。学校行事のような位置付け。ちなみに現行のセンター試験も学年バス旅行、教員引率、ホテル借り上げて宿泊、弁当手配、などやっている高校がある。
・学年受験旅行は大がかりなので、学校として受けさせるのは英検かGTECのどちらか一つが限界。
・GTECも英検も期間内に2回受けられるが、基本的に、6月の第一回は試験が11月にある推薦やAO入試への出願に利用。11月の第二回は一般入試に利用。推薦入試を受けたい生徒にとっては6月が本番。
・6月というと、運動部は高校3年生の最後の県大会の時期で忙しい。今までの受験生より早く入試が始まることになるが、最後の大会に集中できるのか。実際、来年6月のGTEC試験日と部活の大会日程が重なっている部がある。その部の生徒だけ英検を申し込ませるなどの別対応が煩雑。
・そもそも6月は多くの学校で中間テストが行われる。英検やGTECの検定日周辺に、学校行事が重ならないようにする調整が必要。学校の年間行事計画はだいたい前年踏襲なので、大幅に変えると各所で混乱が生じる。
・検定試験を受けるのは来年度だが、申し込みを前年度の秋にしなけばならない。今まさにやっている。民間試験を受けていないと出願できない大学もあるため、全国の高校2年生が、来年大学受験をするかしないか決断を迫られ、今申し込まないで後で進学したくなっても救済措置がないので、恐らくほとんどの高校2年生が申し込みをしている。
・あまり報道されていないが、現高3生が浪人した場合も、民間試験の受験が必要になることがある。まだ今年の受験が始まっていないのに、浪人の可能性があるなら民間試験の申し込みをしなければならない。恐らくほとんどの高校3年生が申し込みをしている。
・英検はこの申し込みに3000円かかる。浪人せずに済んで受験しなかった場合でも、返金はされない。
・そもそも大学側は反対の声が強い。どうなったかというと、大学側が受験生に求める英語レベルは蓋を開けてみたら英検3級、準2級程度という大学が多く、これはそもそもその大学に合格できる受験生ならそんなに頑張らなくてもクリアできるレベル。大学は、受験生に検定試験を目指して頑張ることを期待しているというより、皆が形だけ民間検定を受けて、後は学校独自の二次試験で詳細な英語力を測って選抜する。という方向に持っていって、民間試験活用を無効化しようとしているように見える。
・そうなってくると、もうやる意味があるのかわからなくなってくる。
・しかしこの英語の入試改革が決まってから数年間、高校現場では情報収集を行い、勉強会を開き、不確定情報が多すぎる中で生徒・保護者になんとか学校の方針を説明し、生徒に不利益がないように頑張ってきた。特に英語科の若い先生などは新テスト対策係となり、情報提供を一手に引き受け、大変な負担がかかってきた。新入試を延期するにはもう遅いような気がするが、今後毎年このような複雑な業務を継続的にやっていけるかというと、なかなか難しいと思う。
税金おいしいですって感じですな