どうしてそんなことしちゃったの。
心臓を潰される気分だった。
実のところ、すごく推していたわけでもない。
彼が所属しているグループのある番組が好きで、毎週楽しみにしていた。
番組の中で推しは爽やかで、器用で、みんなから頼りにされていて、何事にも楽しそうに取り組んでいた。
すごく推していたわけではないけども、結婚するなら彼がいいな、なんて夢想する程度には好きだった。
知りたくないこともたくさんあった。
それでも私が彼を好ましく思っていたことは変わらない。
私が彼らの番組をどれほど愉しみにしているか毎日聞いていた同僚たちは、口々に推測を話しながらも、つらいと嘆く私に同情してくれた。
だから、気が付いていなかった。
思ったより深く傷ついていたことに。
自覚は突然だった。
ニュースの情報が揃うと同時に、性犯罪について、未成年の保護について、女性の権利について、様々な論旨が述べられるようになっていた。
正しくは、そういったRTをよく目にするようになった。
私は真面目な性格だと思う。
当然、友人たちにも真面目な人が多い。
彼女たちが推しの起こした事件を許せないと感じることも、それをきっかけに様々な事柄を熟考することも、けして悪くはない。
けれど、推しの犯した行為を毎日見ているうちに、気付けば傷が深くなっていた。
経験がなかった。
推しが逮捕されるなんて、それも、情状酌量の余地が全くない状態で逮捕されるなんて、考えたこともなかった。
もし別の推しが逮捕されることがあったら、テレビもネットも全て断ち切ろう。
それが、学んだことのひとつ。
事実であれ、推測であれ、好ましく思っていた人が非難されていることも、その人が犯した罪を見つめ続けることも、驚くほどにエネルギーを使った。
友達の推しが同じような状況になったら、せめて私だけはそういった議論に加わらずにおこう。せめて友達の見える場所では。
学びを生かす機会など訪れないことを祈るけれど。
お酒が好きだったのか。お酒に逃げざるを得なかったのか。ゆるいファンだった私にはわからない。
もしも、現実を耐えるために逃げたのであれば、つらかっただろうと思う。
私が知っているのは彼の一面でしかなかったけど、それを信じるのであれば、今は一番つらいだろうと想像に難くないけれど。
仕事上の付き合いとは言え、仲間が犯した罪に彼らもまた苦しむだろう。
その時、推しを恨めしく思ってしまうこともあるだろうし、恨めしく思うことでまたつらくなるんだろう。
テレビで見ているだけで満足していた私がこんなにつらいのだ。
大丈夫ですか。生きてますか。ご飯食べられてますか。眠れてますか。
今は考えるのをやめることを頑張ってください。テレビを消して、ネットから離れるのがいいと思う。
それしかできない。
一番つらいのは当然被害者の方です。
被害にあったこともつらければ、その後のこともつらいでしょう。
私のように悲しむファンがいることを知れば、また悩むかも知れない。
勇気ある行動は、これから先同じ状況になりかねない誰かを救うかも知れません。
けれど、まだ年端もいかない被害者の方が、これから先の人生で何度も思い出しては苦しむのだと思うと、一人の大人として私まで申し訳ない気持ちになるのです。
私の好きだった番組関係者の方、彼とお仕事をしていた企業の方々、大変な思いをしている人がたくさんいると思います。
全ての人を悲しませる。
推しが逮捕されたことで学びもあったけれど、こんな学び本来なくてもよかったもの。
もうあの番組で推しを見ることはないだろうし、番組自体続くかわからない。
メンバーの気持ちを考えると、気持ちを切り替えて頑張って、なんてとても言えない。
そろそろ私も考えることをやめます。
今日も女のクソ長文