親愛なる我が同胞諸君、そして世界中の人々に、まずは感謝したい。
我々アメリカ国民は、いま、その誓いを守り通し、国家を挙げ、合衆国の再建を始める。
無論、我々の行く道には課題や困難が待ち構えているだろう。だが、我々は必ずやり遂げる!
(歓声)
我々は平和裏に政権移行することに成功した。前大統領には私も、感謝している。
だが違うのだ! これは単なる政権移行の式典ではない。
我々国民が、ワシントンに巣食う者どもから権力を取り戻した式典である!
(歓声)
あまりに、あまりに長いあいだ、我々はワシントンのモグラどもに代償を支払わされてきた。
奴らは栄え、その富を独占してきた。
きゃつらが勝利を祝っても、我々はなにも祝うことができなかった。
何故か?
奴らが自らの保身だけを考え、国民を守ろうとしなかったからだ!
だがそれもここまでだ!
いまこの瞬間、この演説を聞く国民すべてが、この勝利を祝うことができる。
我が合衆国政府は、我ら国民によって統治されるようになったからだ!
そしてこの2017年1月20日は、忘れ去られし国民が再び歴史の中心に戻ってきた記念日として、永遠に記憶されることになるだろう!!
(歓声)
これまで数十年にわたり、我らが国は外国を富ませ、群を犠牲にし、国境を侵されてきた。
世界への再分配という美名のもと、我らは家も職も奪われ、富は地平線の彼方へと消えていった。
そして全世界に知らしめるのだ。
今この瞬間から、貿易も、税も、移民、外交も、すべてが合衆国国民のために行われるということを!
(歓声)
我々は守る!
我々の産業を奪い、雇用を破壊し、国境を越え略奪を続けるすべての悪しき国家から、この偉大な国を!
私は諸君らのために、命を賭して戦い続ける!
そしてアメリカは再び、勝者として君臨するのだ!
取り戻せ、国境を!
取り戻せ、富を!
取り戻せ、我らが夢を!!
(歓声)
合衆国のもと、文明社会は再び結束し、野蛮なイスラムのテロリスどもを地球から根絶する。
その忠誠心こそが、互いを結束させるのだ。
愛国心に心を委ねよ!
(歓声)
聖書を紐解いてみれば、神のもと結束した人民がいかに素晴らしいかがわかるだろう。
心を開き、議論を行うことは悪ではない。
だが忘れるな、我々国民は結束せねばならないのだ!
そして、我らの行く手を阻むものを、すべて打ち倒さなければならない!
恐れるな、国民よ!
我らは強力な法に、強力な軍に守られている!
そして何より、我らは神に守られし民なのだ!
(歓声)
我々の闘争心があれば、その精神を打ち負かす敵はどこにもいない!
失敗は許されない! 我らが再び繁栄を取り戻すまでは!
(歓声)
国家の誇りは、諸君らの心を揺さぶり、傷をいやし、視野を広げるに違いない。
思い起こせ! 偉大なる軍に伝わるいにしえの言葉を!
肌の色など関係ない、国民すべてに流れるのは、愛国者の赤い血潮なのだ!!
(歓声)
そして、全知全能の創造主によって与えられた命を、一つの夢のもとに結束させるのだ。
諸君らの声が、諸君らの希望が、諸君らの夢が、偉大なる合衆国の命運を決めるのだ。
アメリカは強くなる!
アメリカは豊かになる!
アメリカは誇りを取り戻す!
アメリカは安全になり、そしてなにより、アメリカは再び偉大な国家となるのだ!
(歓声)
神よ、アメリカを護りたまえ。
(歓声)
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元ネタのギレンのスピーチを作った富野監督は、その勇猛な言葉の中に、全体主義、権威主義の俗悪さを込めたわけで、表面的なカッコよさに心酔してはならんと思うわけです。