2016-06-08

カードの裏を確認するパズルについて、ちょっとだけ解説

こんにちは趣味パズル作家です。

カードの裏を確定させる最小枚数を求めるのって、あるあるネタなんだけど、

これを気にパズル作家が増えると良いなと思ったので、パズル的な解説しま

最近見た数学ネタ好意的だったけど、カード裏のネタ罵倒が並んでたので……)

カード裏のパズル

要は、コレのことね。(クッキーブロックしてると見えないかも)

これ、端的にいうと、条件が足りないか限定が変。だから不正解選択肢しか無い。

正解は、「D」と「F」と「3」をめくる。譲歩しても「D」だけをめくる、かな。

(あ、残念ながら「7」をめくる必要はない……)

変な限定もしくは足りない条件

表と裏に区別がある場合

表と裏に区別のあるカードなら、「D」だけめくれば良い。

例えば、カードの表面が赤色カードの裏面が青色だとする。

「Dの裏は7である」を確認するには、「D」をめくれば良い。

表と裏に区別があるなら、「表3で裏D」でも関係ない。

表と裏に区別が無い場合

問題文には裏表の限定なんか書いてないって?

そりゃそうだ。だからウラとオモテ区別はないと考える。

「Dの裏は7である」が違反するのは、次の3つのパターン

Dの裏側にフナッシーが描かれてても、別に前提条件とは矛盾しない。

単に『「Dの裏は7である」というルール』に違反しているだけだ。

同じように「Fの裏にDがある」場合は、困ったことになる。

これをつかってパズルを作る

「D」「F」「3」「7」のカードと、「Dの裏は7である」というルールに、

何を限定したら、ルール確認の為のめくり最小枚数を2枚にすることが出来るか?

というのをパズルとして出題したい。

(一番簡単なのは「裏と表を区別しない」&「英字と数字は必ずペア」。でも、それ以外にもあるよ)

さらさらパズルを作る

「D」「F」「3」「7」のカードと、

「Dの裏は7である」というルールに、

「Fの裏は9である」というルールを加えて

「全てのカードに裏表は無く、全てルールに従っている」と限定すると

「3」の裏は何になるだろうか?

ということを趣味パズル作家普段から考えています

例えば上の出題に『ただし「7」の裏が「D」とは限りませんと入れるべきか?』と日々悩むのが楽しいわけです。

ユニーク解(ただひとつの答え)になるような出題が美しいとは思うけど、別解があるか探すのも楽しみの一つ。

みんな、パズルを作るのって、他人パズルを解くのと同じくらい楽しいよ!

補足

ちょっとブコメもあって誤解を招くといけないので念の為補足。

パズルは、出題の穴を探すのもパズル(ワザと穴を作るのも技術ひとつ)」なので

「元々の問題はこうなので、出題者がダメ」という意味ではありません。

思い込みを利用するのもテクニックなので、出題者が暗黙の前提を強要したらダメ

それと、せっかくなので、ちゃんと元々の出題者の栄誉を称えておこう。

元々の問題(未改変版)

ピーター・ウェイソン(Peter Wason)の有名な4枚カード問題は、

(日本人には)ちょっと理解しづらいので、出回っているものは改変されたものが多いです。

元々は4枚のカードそれぞれが、片方は「a letter」で、もう片方は「a number」が載っていて、

"If a card has a vowel on one side, then it has an even number on the other side."

『もしカードの片側に母音があるなら、もう片側には偶数がある』

って、ルールに従ってるか確認するのに、E, K, 4, 7を見せたらどうする?って問題

(P. C. Wason, P. N. Johnson(1972) Psychology of Reasoning: Structure and Content (Cambridge,Massachusetts:Harvard University Press))

もう答えはわかるよね?

有名な方のWason selection task

で、アメリカで有名な"Wason selection task"と呼ばれてる論理パズルは、こんなの

  • 片方に数字が、もう一方には色が塗られたカードが、4枚ある
  • 「3」「8」「赤」「茶」が見えている
  • 偶数の裏側が赤」が真だと確認するには、何をめくる?

これも、もう答えられるよね?

さらに、社会的関係性で見せると正答率がぐっと上がるってのを証明するために使われたのが、以下の改変版。

  • 片方に年齢が、もう一方には飲んでいる飲み物が描かれたカードが、4枚ある
  • 「16」「25」「コークの絵」「ビールの絵」が見えている。
  • 飲酒して良いのは、18歳以上」が正しく運用されていると確認するには、何をめくる?

(Cosmides, L. & Tooby, J., (eds) (1992) The adapted mind: Evolutionary psychology and the generation of culture (New York: Oxford University Press))

からまあ、改変版も進化心理学者のLeda CosmidesさんとJohn Toobyさんの出題だったってのは、書き添えておくのがパズル作家義務になるかな。

(たぶんTwitterで出題してた人がタネ本孫引きしたときにはすでにわかんなくなってたんだと思うけど……原典にあたる人は少ないしね)

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