カードの裏を確定させる最小枚数を求めるのって、あるあるネタなんだけど、
これを気にパズル作家が増えると良いなと思ったので、パズル的な解説をします
(最近見た数学ネタは好意的だったけど、カード裏のネタは罵倒が並んでたので……)
要は、コレのことね。(クッキーブロックしてると見えないかも)
心理テストです。
あなたの目の前に4枚のカードが並んでいます。カードには、それぞれ「D」「F」「3」「7」と書かれています。
「Dの裏は7である」というルールがあるとして、そのルールが守られていることを確かめるには、— Rootport (@rootport) 2016年3月27日
これ、端的にいうと、条件が足りないか限定が変。だから、不正解の選択肢しか無い。
正解は、「D」と「F」と「3」をめくる。譲歩しても「D」だけをめくる、かな。
(あ、残念ながら「7」をめくる必要はない……)
Dの裏側にフナッシーが描かれてても、別に前提条件とは矛盾しない。
単に『「Dの裏は7である」というルール』に違反しているだけだ。
同じように「Fの裏にDがある」場合は、困ったことになる。
「D」「F」「3」「7」のカードと、「Dの裏は7である」というルールに、
何を限定したら、ルール確認の為のめくり最小枚数を2枚にすることが出来るか?
というのをパズルとして出題したい。
(一番簡単なのは「裏と表を区別しない」&「英字と数字は必ずペア」。でも、それ以外にもあるよ)
「D」「F」「3」「7」のカードと、
「全てのカードに裏表は無く、全てルールに従っている」と限定すると
「3」の裏は何になるだろうか?
例えば上の出題に『ただし「7」の裏が「D」とは限りませんと入れるべきか?』と日々悩むのが楽しいわけです。
ユニーク解(ただひとつの答え)になるような出題が美しいとは思うけど、別解があるか探すのも楽しみの一つ。
みんな、パズルを作るのって、他人のパズルを解くのと同じくらい楽しいよ!
「パズルは、出題の穴を探すのもパズル(ワザと穴を作るのも技術のひとつ)」なので
「元々の問題はこうなので、出題者がダメ」という意味ではありません。
思い込みを利用するのもテクニックなので、出題者が暗黙の前提を強要したらダメ。
それと、せっかくなので、ちゃんと元々の出題者の栄誉を称えておこう。
ピーター・ウェイソン(Peter Wason)の有名な4枚カードの問題は、
(日本人には)ちょっと理解しづらいので、出回っているものは改変されたものが多いです。
元々は4枚のカードそれぞれが、片方は「a letter」で、もう片方は「a number」が載っていて、
"If a card has a vowel on one side, then it has an even number on the other side."
『もしカードの片側に母音があるなら、もう片側には偶数がある』
って、ルールに従ってるか確認するのに、E, K, 4, 7を見せたらどうする?って問題。
(P. C. Wason, P. N. Johnson(1972) Psychology of Reasoning: Structure and Content (Cambridge,Massachusetts:Harvard University Press))
もう答えはわかるよね?
で、アメリカで有名な"Wason selection task"と呼ばれてる論理パズルは、こんなの
これも、もう答えられるよね?
さらに、社会的な関係性で見せると正答率がぐっと上がるってのを証明するために使われたのが、以下の改変版。
(Cosmides, L. & Tooby, J., (eds) (1992) The adapted mind: Evolutionary psychology and the generation of culture (New York: Oxford University Press))
だからまあ、改変版も進化心理学者のLeda CosmidesさんとJohn Toobyさんの出題だったってのは、書き添えておくのがパズル作家の義務になるかな。
(たぶんTwitterで出題してた人がタネ本孫引きしたときにはすでにわかんなくなってたんだと思うけど……原典にあたる人は少ないしね)
趣味のパズル作家さん、趣味のパズル作家さん。 今までで一番良い出来のあなたの作品をおしえてくださいよぉ
Fの裏がDという考慮が一切抜けてる時点で論理的に破綻しまくった子供の理論