良く「(日本の)大学生は勉強しない」と言われる。そりゃそうだ。だって、勉強したって、それを役に立てる場所がないのだもの。法学を学ぼうが、経済を学ぼうが、それを企業が必要としてないと言い切っちゃうんだから。どんな勉強をしたって、それが大学新卒採用時に更地にされちゃうんだから、学ぶ意欲なんか沸かないって。趣味だって割り切らないと勉強できないよ。
じゃあ、なぜ高校生は勉強をするのか。それは、高校で学んだことが大学入試に出るから。つまり、大学入試を逆流する形で授業が構成されているために、必死になって勉強する。特に進学校はそういう構成をする。学んだ範囲から出題されるのが前提だからね。
ところが、高校は一般教育であるが、大学は専門教育である。つまり、(建前では)高校卒業者は全員同じ知識、経験を持つと考えられるが、大学卒業者は先攻した学部・学科事に違う知識、経験を持っているはずである。にもかかわらずなぜ、それが大卒就職時に更地にされてしまうのか。
これは、何の裏付けもない想像、妄想に過ぎないのだけど...。
戦後、新しい時代が始まるに当たって、戦前の企業が復興して、採用活動を始めることになった。当時は大学卒業者は少ないので、中卒、高卒を中心に採用することになる。ここでは、一般教育を修了した人を採用するので、採用試験や入社後の研修も同様に一般教育を念頭に置いた、専門性の弱い、汎用的なものになる。その後、経済復興が進むにつれて、大学卒業者は増え、各企業も大学卒業者を採用するようになる。
(参考までに。少し前に西武グループの本を読んだ。西武グループは戦前の堤康二郎を発端として、その後は三男である義明を中心に動くようになる。義明の頃に事業が大きくなるけど、この頃までは高卒(中卒?)を中心とした採用だった所を、途中から大卒中心に切り替えたと書かれていた。図書館で読んだので、今は引用できないけど)
ところが、この時に、高校卒業者を採用する際に利用した制度を、大卒に対してそのまま流用してしまったのではないか。だから、専門教育を受けた人間に「一般常識」なるものを求めたり、大学で学んだことを無視したりするような採用試験になってしまっているのではないか。現在では、過去に比べて圧倒的に大学卒業者が増え、肉体労働を主体とするのでない限り、企業の採用もそれが主流になっている。にもかかわらず、採用制度が変わらないおかげで、それが逆流して、専門を学ぶはずの大学教育が形骸化し、一方では就業を無視した古典的な教育しかせず、一方では就職予備校的な資格を中心とした教育が行われているといういびつな構造になってしまっているのではないか。
大学は教育の専門性が重要だと思うのに、就職率がアピールに使われたりするなんて、本来おかしいよ。
そうかと思うと、某著名新興IT企業でさえ、開発以外は「採用後配属」とか、頭悪すぎる。
じゃあ、これを改善するためにはどうしたらいいか。
まずは各企業の業務ごとの専門性の見直し。要するに、自分の会社が何を念頭に置いた組織で、各部門は何をコアバリューとするかを"部門事に"考え直す。その会社の営業にはどんな知識が必要か、開発にはどんな知識が必要か、会社で働くためにどんな知識を前もって備えてほしいのか、というものの見直し。それから、業務範囲と成果を重視した人事制度の見直し。
まあ、これ以上はよくわからないけど、恐らく、こういう所に、大学生が学ばない理由、そして院卒が就業において忌避される理由があると思うんだよな。
「大学は教育の専門性が重要だと思うのに、就職率がアピールに使われたりするなんて、本来おかしいよ。」って言うけど、全然おかしくないよ。大学は高等遊民を育てる場ではなく、...
http://anond.hatelabo.jp/20140126143728 私と大体主張が同じ http://anond.hatelabo.jp/20140119152239
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