2013-06-14

「生まれない方が良い」の現代性、正当性

子供を作るのは鬼畜所業。それか馬鹿http://anond.hatelabo.jp/20130613154103

はじめに言っておくと全面的に同意する。

ずっと自分も考えてきたことだった。

そのうえで、この「生まれない方がマシ」というこの主張は時代性というか、現代体現しているように感じる。

なお、他の「生まれない方がマシ」言説として、学術レベルではこんなのがある。

http://www.amazon.co.jp/Better-Never-Have-Been-Existence/dp/0199549265

この人は比較最近知ったのだが、2ちゃんねるでもスレが建てられるなど、徐々に認知度は上がってきているらしい。

あとシオランは有名だよね。

話を戻すと、はっきり言って,少しも異常な議論だとは思えない。

快を善とし苦を悪とする功利主義的前提を徹底すれば不可避的に行き着く結論だからである

そしてこの前提、そして言うまでもなく「他者危害原則」が現代スタンダードからである

他者危害原則は、普通愚行権(「他人に迷惑かけなければ何やってもいい」)という話だが、裏を返せば「他人に迷惑かけることはしてはならない」ということでもある。そして、出産とは根源的な他者危害行為である

というか、他者の存在のもの害悪なのだ

「生まれない方が良い」の現代

すでにその一部を書いたところだが、根本的には「ネオリベ」。これに尽きる。

「なんだまたはてサか」と思わずに聞いていただきたい。

話は簡単である

現代とは、社会の改良(福祉的な方向での)に対する希望がまったく失われた時代である

というか“社会存在しない”ので、そもそも改良することも、異議申立てをすることもできない。

こうして一切が「自己責任」となるなか、昨今の科学的知見は、遺伝子・幼少期の環境といった本人にどうしようもないレベルで「人生運ゲー」というミもフタもない事実を、私たちに突きつけてくれる。つまり自己責任」とは自由意志がどうのといった話ではないのである

資本主義はもう近代自由主義とも無関係になってしまった。

しかし、唯一これだけは私の責任ではないと主張できることがある。

しかもそれは事前に防げたことである

もちろん、生まれたことである

まずはこれがひとつ

(なお、これに対し、「現に生きていることをもって出生の事後承諾とみなす」という主張が考えられる。裏を返せば「生まれたくなかったんなら、死ねば?」というわけであるしかし、自らの意志によって生まれたのでない者が、自らの意志によって死なねばならないとは甚だ不条理である。というか、この場合、死に方については論議できない。つまりその人が「大量殺人を犯して死刑になる」という死に方を選んでも文句は言えない。実際、この種の通り魔たちは<生まれない>という行為?に及んだのだと私は考えている。私のいう<生まれない>とは、あらゆる自発性・主体性能動性の拒否であり、したがってその者は「生かされる」か「殺される」しかない)。

自我に倦む

現代自意識肥大していく時代である

これはさまざまな要因が絡んでいるが、ぱっと思いついたものを挙げるとこうなる。

①個人化

生活上の選択肢の爆発的増加

生活の具体性の消滅

最後のものだけ説明すると、人類は生まれてこの方、空間時間を縮めることに専念してきたといえる。

少しでも速い移動手段を求めた。空間を均質化し、通信技術を発達させ、どこにいても同じように振る舞えるようになった。

あらゆる場所は「ここ」になり、あらゆる時は「いま」になった。

「いま、ここ」とやたら耳にするように、実のところ時と場所とが極限までに抽象化されてしまった。

こうして「私」が場所と時にかかわらず重要になったのだ。

ところがこの「私」とは主観的には唯一存在だが、客観的には「いま」「ここ」と同じくらい抽象的なものである

まり「私」にも何ら内実は伴わない。

自我の内実を埋めてくれる具体的な生活空間経験は、多くの現代人には得がたいものになった。

やがて人々は「私」にウンザリし始めた。

思えば、多くの娯楽作品が「私の抹消」を描いてきたのは、偶然だっただろうか?

このテーマ近年になって伊藤計劃ハーモニー』が完成させたのだが……私自身の話をすると、自分のなかの「モヤモヤした気持ち」を「生むという鬼畜外道所業発見」にまで至らせてくれたのは、ほかならぬこ小説であった。

英語でも日本語でも、生誕は受動態で語られる。

では、人間はい能動態になるのだ? 

あるとき「なった」と勝手に見なされるだけだ。現代人は何よりもまず、自由を強制されている。

自由の強制から逃れ、自由から自由になるために、「生まれないこと」を要求する人は今後も増えるだろう。

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