はてなキーワード: 財政再建団体とは
「公共事業を持って来て、地元経済の活性化をお約束します!!」
地元選出の国会議員(自民党の中でもそこそこ有力者)のこのような発話に対し、脂ぎったオヤジたちが「おおーー!!!」と叫ぶシーン。地元のニュースでこんな光景を見た。これが、自分が政治判断を行う際の原風景となった。
俺は、地元の高校を卒業し、地元の国立大学に進学した。そして、選挙権を取得したばかりの頃、自分が住んでいる市の首長選挙があった。地元の新聞を購読していた俺は、市も、県も、財政状況がヤバイことをなんとなく知っていた。そして、通っていた大学の教授も、市の政策担当スタッフの一員とかで、講義中にも、とにかく収支状況がやばいと話していた。俺は、自分が過去に見たニュースを思い出した。そして、市の財政状況を調べた。ネットの社会になって、PDFが多少時間を食うのを除けば、すぐにでも情報にアクセスできた。
俺は、絶句した。信じられない赤字状況だった。市だけではなく、県も調べてみた。市よりももっと酷かった。とてもじゃないが、返還が不可能だと思った。
何にお金を使っているのか。もちろん、人件費や医療費は大きな割合を占めていた。しかし、もっと衝撃だったのは、公共事業の割合の高さだった。市のサイトで、当時の公共事業費の割合を調べてみると、人件費と医療費よりも高額だった。
しかし、地元に新しいスポーツ施設や新しいコンサートホールなど、箱モノは建設されるが、スポーツ施設も、コンサートホールも、既に地元の中心街の近くに存在していた。そこそこの規模の市にとって、利用目的が重なる施設は、3つも4つも要らない。そして、前の市長時代に建設した歴史博物館も、小学生の地元学習しかいかない。当然、観光客も寄り付かなかった。
赤字体質はこのせいか。国の財政赤字が解消できないのも、この人たちが有力な票田だからか、と。俺は、この時、いつも脳裏に浮かぶ、脂ぎったオヤジたちをどうにかしなければならないと決意した。
市長選挙は、珍しく、民主系候補と自民系候補の対立となった。自民系候補は、商工会議所の推薦と、前市長の応援を受けていた。自民系候補は、地元選出の議員ともつながりが深く、選挙の際には、財政支出を増やし、公共事業によって景気回復を目指すと公言して憚らない候補だった。あれを造る、これを造る、と。民主系候補は、地元のサヨク弁護士だった。小さな政府を実現すると公約に入れていた。
選挙自体は歴史に残る大接戦だった。接戦の中で、民主系候補も途中で政策を変更せざるを得なかった。民主系候補も、公共事業には必要なものがあると、途中で政策変更し、自民系候補の票を取り込もうとしていた。
俺は、途中で政策変更をした民主系候補に嫌気をさしながらも、民主系候補に入れた。結果は、大接戦の末、民主系候補の勝利。文字通り、薄氷の勝利だった。そして、自民系候補に集まった票の多さに落胆した。お前ら、自分が住んでいる市を食い物にする気か、と。今、自分の市は、民主系候補が2期目を務め、当時の公共事業費の1/3となっている。人件費も医療費も1割強削減され、赤字解消が進行している最中。現在の市債残高は、かつての半分にまで減った。民主系候補が勝利したら景気が後退する、と当時の自民系候補が喧伝していたが、国政レベルの問題は別として、市の政策が原因で景気が後退したという実感はない。
そして、市長選のあとに、知事選があった。知事選は、民主党が地元選出の議員を立て、自民党が役人を立てた。県は、市よりも財政状況がやばかった。財政再建団体転落寸前だった。この状況を改善しなければならない。これは、両候補に共通だった。流石に今回は自民系候補も、市と異なり、公共事業の支出を言うことはなかった。民主系候補は市と変わらず。知事選は悩んだ。財政状況の改善に向けての取組。両者の違いは、どこを削るのかの違いに過ぎなかったからだった。知事選は、最初から自民有利と言われていた中で、俺は、民主系候補に入れた。
結果は、予想通り自民系候補の勝利。しかし、二期目を務めている現在の知事も、財政赤字の解消には十分に取り組んでいない。3割近く、人件費の抑制は成功したが、選挙の票田に影響するためか、市のように大胆な公共事業の削減はできない様子。赤字団体への転落を寸前で回避し続けている。素直に思うんだが、利用目的がほとんど同じの県の施設と市の施設が同一市内に複数あるって、住民の視点から考えても無駄じゃないか?例えば、市民プールが複数あって、さらに県民プールもある。市民プールを一つくらい削っても、おそらく利用者への影響はない。
さて、Part.1終了。反応はどうなんだろう?次は国政選挙について書きます。続きはまた今度。