そもそも論になるが、最安値でもひとつ数万はするようなバカラのグラスが贈られて来る時点であのキャラには一定以上の熱心なファンがいることは証明されているだろう。
今回の件での一番の問題はそのキャラが1位になったこと自体ではなく、そのキャラの人気が金で買われたもの、もしくは企画を潰すために行われた嫌がらせ行為だという疑惑を与えたという点だ。
「買収してでも票を集めるのはこっちの界隈では当たり前」
上記の何が問題なのかというと、ありとあらゆる面で「信用を失った」ということだろう。
それを公言した以上、あなたが推す存在は今後こういう色眼鏡で見られるのだ。
「このキャラ/人物の人気は本人の実力などではなく、一部の熱狂的なファンが金銭で下駄を履かせて得ただけのハリボテなんだな」と。
また、あなたが今後他の人/キャラ/ものを推して、それが人気になったとしよう。
しかしあなたが過去に金銭で自分の好きなものへ票を入れるよう、第三者に依頼したことを知ってる人はこう思うだろう。
「この人が推してる以上、どうせ金で買われた人気で実力はさほど無いに違いない」
信用を失うというとはこういうことである。
それを心外だと思っているのなら最低でも金銭で票を集めたことを公言すべきではない。
倫理観や道徳の問題ではない。面白半分で自分の仕事や生活を壊されても文句が言えなくなるからである。
いかな趣味であれ、それを作る、提供する仕事に従事している人がいるという事実を忘れてはいけない。
いや、趣味だけではなく、身の回りのものすべてには決して少なくはない人の仕事でできている。
企画を提案するにしかり、実際に必要になる物資がどれほど必要な物の数を予測して調達するにしかり。カタチには残らないイベントであっても、会場を確保する、演出を考える、当日の人の流れを整理する、周辺住民への影響を最小限のものに抑えるなどそれを仕事にする人がいて始めて成り立っている。
仕事であれ生活であれ、金銭を得ることを目的としていない趣味であっても、その裏には誰かの仕事、生活があることを忘れてはならない。
自分が楽しければ何をやっても構わないというわけではない。それを許せば、自分が第三者から実生活や努力してやっとの思いで形にした仕事を面白半分で壊されても文句が言えなくなるからだ。もう少し言うのなら、他人の仕事や生活を面白半分で壊すのが当たり前と言うのなら、いざ自分が誰かの悪意で不利益を被って被害者になったとしても説得力が無くなるからだ。
「自分だって、面白半分で誰かの企画を潰したことを自慢していたのに?」と。
自分が誰かの仕事や生活を潰すのは許されるが、他人が自分の仕事や生活、趣味を潰すのは許されざること。などという屁理屈は通用しない。
自分がやっている趣味の裏側にはそれを仕事にしている人間がいるのだという事実を忘れて手段を選ばないような行動を取れば、信用を失うのは当たり前の話なのだ。
企画を潰すのが楽しいという者がいる以上、提供する側は潰されるのを恐れて今後一切同じような企画をしなくなる。
このようなイベントは企画をする側とファンとの信頼関係で成り立っているからだ。
自分には関係ないと思ってはいけない。人間社会はどこかで繋がっているのだから、自分が行った行為は巡り巡って必ずどこかで自分に影響を与えてくる。
いつか誰かに同じような真似をされても、自分もやっていたことなのに何を言っているのだろうと鼻で笑われるだけである。
何も難しい話ではない。約束を守り、誠実に生きる。これだけで信用は積み重なっていくものなのだから。
ただし、信用を積み重ねるためには時間がかかるが、失うのは一瞬である。さらに失った信用を取り戻すことはできない。その後でどれほどプラスを積み上げようと、やってしまった事実は消えないのである。