吉岡里帆が過去の水着グラビア仕事についてどう思っているか、の解説みたいな記事 https://note.com/774notes/n/n70ee8ae3a6bf
を読んで思ったこと
自分は40代で新卒入社でコンサルティング会社に入った。20年前くらいね。
20年前くらいは「良いコンサルタントになるには、長時間労働+高プレッシャー・パワハラすれすれの指導に耐えるプロセスに耐えて当然」みたいな雰囲気があった。おかげで自分もブラック労働を経験した。朝8時に出社して夜11時まで仕事して休日出勤、みたいなスケジュールがざらにあったし、上司やクライアントから激詰めされることも多かった。その会社は親の介護とかあって8年くらいで辞めた。
今はぜんぜん違う職種になったけど、コンサルタント時代の経験はすごく糧になってる。知識やスキルもそうだし、自分の体力も限界も知れたし、高ストレスの会議にたくさん出たおかげでトラブル対応に全然ビビらなくなった。今そこそこ出世できているのは当時の経験があるからなのは間違いない。
とはいえ、「当時の経験はいい経験でした!」って全面的に肯定できるか、っていうとそれも難しい。先輩や後輩の中には心を病んでしまった人も多いし、同業界の他社ではプレッシャーに耐えきれず自殺した人もいると聞く。自分は心身ともに健康だから糧にできているけど、病気になっていたらそんなこと思えているかは自信ない。在籍時に「長時間労働でスピード出世コース」と「普通の労働でゆっくり出世コース」があったとしたら、ゆっくり出世コースを選んでいたのではないかとも思う。週に90時間くらい労働してた時は、本当に仕事が嫌だったしね。今となっては思い出の一つだけど。
ただ、ブラック労働的な環境がすごく好きな人もいた。口では「2日連続徹夜でしんどかったっす~」と言いながらも笑顔で働き続ける人。そういう人に聞いたら肯定的な答えが返ってくるだろうとも思う。
吉岡里帆の記事を読むと、彼女が今現在グラビアの仕事を肯定的に捉えていることは分かったし、それはそのとおりなんだと思う。ただ、もしグラビアやっても女優として全く成功していなかったら肯定できたのか、とか、グラビアやらなくても女優になれる道があってもグラビアやったのか、とか、自分でやることを決めたというより「女優として成功するには当然グラビアをやらないと」みたいな雰囲気に流されてしまったのではないか、とか、そういう疑問は色々湧く。「お前のブラック労働に対する気持ちを吉岡里帆に投影しているだけじゃないか」と言われたらそうなんだが、でもそういう風には思ってしまう。
吉岡里帆のインタビューを「グラビアをやっていた人は実はグラビアが嫌いなんだ」という主張の根拠として使うのは不適当だと思う。ただ、吉岡里帆のインタビューを根拠に「グラビアをやる人はグラビアをやることに感謝しているしグラビアを肯定しているんだ」みたいな主張をするのも、同様に不適当だと思う。少なくとも「この仕事はやりたくない」という思いは尊重されるべきだと思うし、「グラビアを好きな人がいる」ということは「グラビアやってる人が皆グラビアを好き」なことを意味しないし、「嫌なら辞めろ」がちゃんと通用するのかどうかはちゃんと確認しないとダメだと思う。