「オレが3人分になる」
そう口にするゴリラ顔の男の左右に一匹ずつゴリラが立っている漫画の一コマが職場のホワイトボードに貼られていた。
その上には「機械化によって効率化しよう。1人が3人になって納期短縮!」とクソデカフォントで描かれ全体がA4用紙1枚分のポスターとなっている。
我が職場では既存の業務をAIや新機材の導入に寄って効率化できないかについてのアイディア出しが行われている。
取締役会で「人力に頼りすぎているよね。効率が悪いよね。設備投資の時期だよね」という方向でヒートアップしたらしく、取り急ぎ業務改善提案を大量に出すように指示が出たらしい。
どうせ通らないと思って保留していたようなものでもいいし、最新のAI技術の利用に対する思いつきでもいいから、とにかく数を出すようにとノルマが課せられている。
我が部署もそのノルマを乗り越えるべく会議が開かれ、その過程でこのゴレイヌ啓蒙ポスターが作られたらしい。
社内の、それも事務所区画にしか貼られていないだけあって著作権はガン無視だ。
コンプライアンスを犠牲にしてインパクトを稼いだ甲斐もあり、この啓蒙ポスターの影響はハッキリ出ている。
何かあると「これもゴレイヌ化できますね」「ここをAIでゴレイヌしたら労力は半分になるんじゃないか」という言葉が飛び交うようになった。
事務所の掲示区画には一通りゴレイヌのポスターが貼られていることもあり、この言葉はあっという間に定着した。
ハンターハンターを読んだことがない人も、ゴレイヌという言葉だけは知っている。
実際に漫画の中のゴレイヌが念獣の方なのか人間の方なのかはおそらく分かってないだろうけれど。
ゴレイヌから派生した言葉に「ホワイトゴレイヌ」と「ブラックゴレイヌ」がある。
「ホワイトゴレイヌ」は「実際に要望が通った際に、移行するための作業は主に自分たちの仕事になりそうなゴレイヌ化の提案」であり、
「ブラックゴレイヌ」は「実際に要望が通った際に、移行するための作業は他の部署に押し付ける形になりそうなゴレイヌ化の提案」となる。
たとえば「現場」からみたときに「現場にて不足してきた材料を自動的に計測し調達を要望する」であればそのシステムを作るのは現場になり「ホワイトゴレイヌ」となるが、
「現場にて不足するであろう部品を事前に予測して調達をしておく」であれば調達部門に作業を押し付けることになる「ブラックゴレイヌ」として判定される。
元ネタのハンターハンターにおいて「ホワイトゴレイヌ」は「自分と入れ替えるゴリラ」、「ブラックゴレイヌ」は「他人と入れ替えるゴリラ」という能力であり、そこから派生した言葉だと思うのだが誰が言い出したのかは分からない。
ホワイトとブラックの使い分けが一般的に意味が通る範囲のものであるので、元ネタとは無関係に自然発生したのではという説もある。
いまや我が職場においてはあらゆる「機械化」が「ゴレイヌ」と呼ばれるようになった。
新規の改善提案ではなく、既存の作業機械の使用においても「あの機械を使わせてもらってゴレイヌ出来るなら半日で終わりますけど~~~」といった表現がされるようになった。
こういうの嘘でも本当でも面白くないよね。
用語と最低限の意味は覚えたけど その用語の派生を気にしないのはどこの会社でもあるあるだからな
素人が本人は面白いと思ってるだけで済んでるけどこういう感覚ってメディアとかバズるタイミングにのるやつでSEO汚していったりするのほんとめんどいよね 遺伝子組み換えのメダカの...
秀逸な文章 マンガでわかりやすく説明してて良い
できればホワイトなホワゴレになりたいものだ(よく読んでないでレス)