2022-05-08

アマゾンで購入の中国製バッテリー出火 責任所在

2022/5/8 07:00

村嶋 和樹

社会

裁判

法廷から

反応

アマゾンで購入した中国製バッテリーが充電中に発火し、焼損したリビングの壁や家財道具=平成29年11月(原告提供

アマゾンで購入した中国製バッテリーが充電中に発火し、焼損したリビングの壁や家財道具=平成29年11月(原告提供

インターネット上で商取引の場を提供するデジタルプラットフォーム(DPF)事業者は、商品トラブルにどこまで責任を負うべきか-。ネット通販大手アマゾン」で購入した中国製バッテリーから出火し自宅が火事になった男性が、消費者保護を怠ったとしてアマゾンに対し損害賠償を求める訴訟を起こした。東京地裁請求を退けたが、納得のいかない男性控訴アマゾン相手取った同種訴訟では米国消費者側の勝訴が相次いでおり、現行法見直しを含めた議論を求める声も上がる。

交渉限界

宇都宮市男性会社員(35)は平成28年6月、アマゾンサイトを通じて中国メーカーの充電式モバイルバッテリーを購入。約1年5カ月後の29年11月、自宅マンションリビングで充電中のバッテリーが突然発火した。家族は全員避難し無事だったが、リビングは大きく焼損。家財道具も被害を受け、損害額は1千万円超に上った。

その後の消防調査で、出火原因はバッテリー内部の絶縁体の劣化によるショートと判定された。加入していた火災保険補償されたのは約730万円。男性アマゾンの問い合わせフォームを通じメーカーに連絡を取ったが、メーカー側は電話での対応に応じず、日本法律には規定のない「家財損壊証明書」の提出を要求してきたという。

被害弁済は一向に進まず、男性アマゾン交渉仲介などを依頼したが、拒否された。個人での交渉限界を感じた男性は、複数弁護士に依頼し中国国内での訴訟検討したが、訴訟費用だけで数百万円ほどかかることが分かり、断念した。

結局、メーカー側は「見舞金」として弁護士費用の相当額を支払ってきたが、「直接の製造業者は別」などとして、火災責任自体は認めなかったという。

コスト転嫁

一連の対応アマゾンに不信感を持った男性は令和2年10月、アマゾンジャパン(東京)に30万円の損害賠償を求めて東京地裁提訴アマゾンには利用契約に基づき出店者や商品審査する義務や、消費者が不測の損害を受けた際の補償制度を構築する義務があった、などと主張した。

だが、今年4月15日の地裁判決は「原告アマゾンの問い合わせフォームを利用してメーカーと連絡を取り、和解を成立させることができた」と指摘。アマゾンによる商品審査については、義務とまではいえないとして、請求棄却した。

アマゾン取引利益を上げている。消費者を守る義務とまでは言わないが、困ったとき積極的対応する仕組みがあってほしい」。判決後の記者会見で、男性はこう訴えた。https://www.sankei.com/article/20220508-WXMOX63FRFIC7NGNFRHKH6LSRM/

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