2018-12-07

ゾンビランドサガ第10話】脚本家による違いについてのお話

ゾンビランドサガ10話が放映されました。twitter検索すると色々な意見が見えてきて面白いですね。多様な意見があるということはそれだけ視聴者層が広いということなので、単に賛否両論から悪いという話にはならないと思います

個人的感想になりますが、10話は他の話と比べると切れ味が鈍いなあと感じました。いや、11話が気になるという意味で引きは良かったんですけど、そこに至るまでのシナリオ雑然としているように思いました。「10話は脚本家が3話と同じだからイマイチなのではないか」という意見もちょいちょい見かけました。

そもそもゾンビランドサガは(10話時点では)脚本家2人が二人存在します。一人はシリーズ構成担当している村越繁氏で、1、2、4、6、7、8話を担当しています。もう一人のますもとたくや氏は3、5、9、そして今回の10話を主筆されています

感想を見ると、村越氏の担当回は概ね評価が高く、ますもと氏は賛否両論という感じです。ますもと氏担当回でも、5話のように高評価の回もありますし、個人的サキ回の9話も好きなのですが、やはり村越氏と比較すると視聴後のインパクトがパワーダウンしているなあと感じてしまます

で、ここからが本題ですが、この二人の脚本家の違いは「ゾンビィのアイドルもの」を書いているが、「ゾンビアイドルやってるのか」という違いに起因すると思います。「前置き長いし意味わからんわ。ぶっ殺すぞ?」という方ももう少しお付き合いください。

村越氏の担当回は「ゾンビィがアイドルやったらこういうことが出来る。こういう問題が生じる」という着眼点で作られている気がします。2話は「もう死んでますけどね」といった諦めムードな仲間たちをブチギレラップで奮起させる回。6〜7話はアイドル見解の相違で生じた不和を解消しつつ、落雷トラウマを仲間と一緒に克服する回。8話は有名になったことで親族が会いにきたけど素性を明かせないジレンマがある・・・といった回です。こうして並べると、現代社会ゾンビィ達がアイドル活動することの問題点を挙げる→シリアスギャグを交えて解決する、といった流れが根底にあることが分かります

個人的に8話で好きな台詞があって、リリィがまさおと判明した後にさくらが「リリィちゃんリリィよね。ゾンビやけんね・・・」(細部間違ってるかもしれません)という台詞があります。これって身体的に成長しないことを肯定すると同時に、「死んでいるので大人になることはない」という絶対的な悲哀も感じられました。

このように、村越氏の担当回はゾンビィのアイドルもの、という主題に忠実に作られているなあという印象を受けます

一方のますもと氏ですが、どちらかというと「アイドル属性が前面に出ていてゾンビ属性はおまけ」という話作りに思えました。3話や10話は「素人アイドルやるけど失敗するが、先輩が助けてくれる」「アイドル調子にのるけど反省してチームワークを深める」という、アイドルもの定番のような話になっています。9話も不良ものテンプレ(パロディ)の側面が強いですね。もちろんゾンビィ要素もありますが、ギャグとして散りばめたり、言葉遊びでちょろっと使ったりするぐらいで、本筋に大きな影響は与えていません。

誤解の無いように書くと、こういったテンプレ展開が手抜きでよくない、ということではありません。3話はあえて王道を持ってくることで「そういえばアイドルアニメだったな・・・」と視聴者に思い出させることに成功してますし、9話はキャラ性質上ああいう話の方が分かりやすかったのではないかとも思います

しかし、筋が単純ゆえに既視感を覚える展開となり、目が肥えた視聴者には面白味がない話に思えてしまう、という点も否めないと思います10話の大筋って最後の引き以外はゾンビィ要素抜きで成立するんですよね。Aパートは首取れたるよだれ塗れになってましたが、全体を通すとゾンビィ要素はスパイスとして振りかけるぐらいなっているなあ、と感じました。

長々と書きましたが、要するに10話は「見えてこんのじゃあ!お前らゾンビィが現世で苦悩したり楽しんだりする生き様が!」という印象です。別にゾンビカツ!とかゾンビマスターとかラブゾンビとかでも成立する話でしたね。でも見たいのはゾンビランドサガなんじゃい!

残り2話はさくら過去に焦点が当たりどう転ぶかわからない展開になりそうですが、ゾンビアイドルたちのサガが見えてくる話になっていたらいいなあと思いながら一週間待とうと思います

  • まず「脚本家がストーリーを考えている」というのが誤謬では。

    • 長いので読まないが、脚本家の仕事は脚本を書くことで、ストーリーは含んだり含まなかったりする 国語教師でそのことを誤解してる人がいて腹立たしい思いをした記憶が 原案とか原作...

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