2018-10-09

[] #63-1「イタガリアン」

信号無視して道を渡ったことはあるだろうか。

実際はどうあれ、パブリックな場ではノーと答えるのを俺たちは知っている。

そして、その答えが欺瞞であると反射的に思える程度には容認された、ありふれた光景であることも。

利己的に考えるなら、車にぶつからないと分かりきっている状態でも立ち止まるのは、実質的時間無駄からだ。

だが、その“車にぶつからないと分かりきっている状態”、その認識を俺たちは共有できているのだろうか。

……なんて話をしていると、今回は交通に関する話かと思うかもしれないが、生憎ハズレだ。

信号信号でも、それは俺たちの身体にあるもの

“痛み”だ。


…………

俺たちの地元には、人気のローカル番組がある。

少し前までは『ライトクイズ』っていう企画が目玉だった。

如何に簡単クイズを出題できるかで競うんだが、参加者たちの分析によって攻略法が編み出されていくと内容がマンネリ化。

それを避けるためにルールを複雑にしていくが、そのせいで大半の視聴者はついていけなくなった。

結局『ライトクイズ』は一年ほどでなくなり、番組側は新たな企画を作る必要に迫られる。

まずは『命の洗濯屋』という企画で、「疲れている人に様々な気晴らし方法提供する」という趣旨だった。

だが、その実は無名芸能人一般人による観光番組の延長でしかなく、明らかな低予算感も相まって打ち切り

もっと個性的な、誰もがやらない企画が求められた。

そこで次に出たのが『あえての粗探し』という、賞賛の声が多い作品に対して批判点もあげていこうという企画

他の番組ほとんど取り上げないようなレビューが見れるとして、これは割と好評だった。

だがある日、作品ファンによる抗議活動が行われ、その番組ファンとの間で争いが発生。

それが刑事事件にまで発展してしまい、番組は「不毛対立煽り助長した」として、已む無く打ち切りとなる。


その後は色々と迷走をするが、それを止めたのは『ライトクイズ』での成功体験だった。

「やはり一般人参加型のゲーム企画こそ花形

そうして出来たのが『イタガリアン』。

要はリアクション芸人がやっているようなことを、ゲーム形式一般人もやってみようという企画だ。

これが見事に当たった。

ライトクイズ』での反省も踏まえてルールシンプルにし、審査基準もあえてユルくすることで間口を広げた。

リアクション芸人たちのような体験が出来ることで番組は大盛り上がり。

更には、これがきっかけで俳優デビューする人まで出てきたことで一躍、有名企画となった。

ここまで話しといてナンだが、俺は正直この番組をそこまで面白いとは思っていない。

同級生の一部で盛り上がっているので、情報として知っているだけ。

じゃあ、俺はなんでこんな話をしたのか。

それは今回、その番組ロケ場所として、俺たちの住む町を選んだからだ。

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