2017-01-15

[] #12-3「自由大国

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内人の回答にウサクは困惑する。

理屈が伴っているように見えても、それには隔絶されたものがあるからだ。

ウサクが紅潮する。

火が付いたウサクは、そう簡単に止められない。

個人意思だと? その結果が破滅だとしてもか!」

「それは分かりません」

「いーや、分かるね! あんな毒性の強い、依存性の強いものが普及しているんだぞ!」

「仮にそうだとしても、それは“個人自由”です」

「さっきから、そればっかりだな。こんなもん自由じゃない、単に無秩序なだけじゃねえか」

ウサクの強い言葉に、さすがの案内人不愉快そうな表情になる。

すると、案内人は俺たちに店内にでかでかと書かれた看板を指す。

どうやら、麻薬に関することが書かれているらしい。

「見ての通り、麻薬については町中で掲げている。義務教育レベルでも、口を酸っぱくして麻薬については説かれている。子供保護者管理の下で購入、使用が認められている。つまり、この国で麻薬が体に良くないことを知らないで買ったり、使わない人間はいないように出来ているんだ。みんな自分意志で買って、使っているんだよ」

「そのせいで問題行動を起こしたり、成分を偽って騙したりして第三者に使う奴だっているだろ」

「もちろん、それに関しては罰されるよ。でも、それは麻薬をそんな風に使う人間が悪いんであって、麻薬のものが悪いわけじゃない」

「ざけんな。ここまで悪影響が出るものがロクな規制もしないで普及していて、個人問題だけで片付けていいわけがない。麻薬のものにも何らかの抜本的な対策をすべきだ」

「この国では麻薬が体に良くないことだっていうのは常識だ。商品にも注意書きがでかでかと書いている。それでも使う人がいるなら、それは“個人自由”じゃないか

「それは社会ちゃんと回っている範疇での話だろ。何でもかんでも個人意思大義名分にして、社会が回るわけがないだろうが!」

「ふん、つまら理屈ばかり捏ねる奴だ。あんたがどれだけここで抗議しようが、この国で麻薬を取り扱うことは認められているんだ」

貴様、なんだその言い草は! 我は何一つ間違ったことは言っていないぞ!」

ウサクはまだ言い足りないようだったが、俺たちはこれ以上は不毛だと感じた。

別にウサクの言うことが間違っているとも思わないが、ここでとやかく言ったところでこの国の麻薬の普及も、それを使う人間もいなくなるわけではないのだ。

俺たちはウサクを引っ張って、予定より早めに自分たちの国へ帰ることにした。


だが、それから間もなくして、その国の大臣麻薬規制禁止を法で固め、取締りも厳しくすることが発表された。

「私の判断が間違っていた。個人意思尊重しすぎたのだ。自由大事だが、自由すぎてもダメなのだ

あの国のことを知っている人からすれば、ある意味当然の帰結であった。

ウサクはこの一件にある意味で安堵し、テレビに向かって吐き捨てるように言った。

「やっぱりな。こうなることは目に見えていた。いやーよかった、よかった。ルールとは人間のためにあるのではない。社会の大意なのだ個人意思とは秩序のもとであることを知れ、愚民共よ。フハハハ!」

ウサクの増長に俺は呆れ果てていたが、タイナイはそれを見てフォローしてきた。

「まあ、ウサクはああいう言い方しかできないけれども。何でもかんでも好きなだけ普及させれば社会崩壊するのは間違いないね

自由」と「勝手」は違います

勝手」は社会を壊します。

秩序ある社会のもと「自由」を享受しましょう。

「せーの、麻薬撲滅!」

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