この事はずっと忘れていて、無意識にそんな経験はなかった事として生きていた。
同じ応援団の団長は学年が一つ上の喧嘩っぱやくて、後輩をすぐに殴る事で有名な人だった。
FATの事は嫌いでなるべく関わらない様にしていたんだけど、仲の良い友達が付き合っていたので、度々顔を合わしてしまう事があった。
放課後、応援団の練習をしに行ったらその日は団長しかおらず、彼女の事で相談があるとか珍しく真剣な顔をして言われたので、サッカー部の部室で話を聞いた。
彼女とはあまりうまくいっておらず、実は別に好きな人が団長と同じ学年にいると言われた。
団長の好きな人は小柄でとてもかわいい人で、私達後輩女子からも人気がある人だった。
私はなるべく友達を傷つけぬ様、早い段階で彼女に別れを告げて欲しいと伝えた。
団長は下を向きながらうなずき、私にお礼したと思う。
部室を出ようとした時、団長に腕を引っ張られてそのままレイプされた。
私にも同学年の彼氏がいたけど、手をつなぐ程度の仲だったし、もちろん処女だった。
頭の中真っ白の状態で部室を飛び出したら雨が降っていた。
傘なんか取ってくる余裕もなかったから、そのままずぶ濡れになったまま歩き続けた。
家にはなかなか入れなかった。
誰とも話したくなかった。
今日が誕生日で、応援団の練習が終わったら彼氏がプレゼントを渡しに10分だけ家に来るって約束だったけど、そんなの無理だった。
団長とは絶対に目を合わせたり話したりする事はなかったけど、誰にも何も知られたくなかったので、そのまま応援団を続けた。
それから数年後まで知らなかったけど、団長は私の彼氏に「お前の彼女とヤッたよw」と言ったそうだ。
団長には虚言癖っぽいところがあったので、彼氏は信じなかったと話していた。
それから十年後。
私は女友達と二人で都内(地元からは県をまたぐ)で飲んでいた。
中学生の頃に起きた事なんてすっかり忘れて、社会人生活を楽しんでいた真っ最中、奴は現れた。
話しかけられるまで気づかなかったけど、かなり酔っ払った頃に突然あの団長が話しかけてきたのだ。
何事もなかったかのように、「元気?今何してるの?」とか「どこに住んでるの?」とか聞いてきた気がする。
私は作り笑いだけして何にも答えなかったけど、一緒に飲んでいた友達は何も知らず、ノリの良い団長の会話を楽しみはじめていた。
一刻も早く店を出ようと友達に声を掛けたが、なかなか出てくれない。
私はお手洗いに行った。具合が悪いと友達に伝え、一緒に帰ってくれるよう頼もうと考えた。
席に戻り、友達にその事を伝えようと思ったところからの記憶が一切ない。
気がついたら、ラブホテルにいた。
終わったあとみたいだった。
団長は服を着て部屋を出ていくところだった。
ホテル代を投げつけられ、無表情で「またマグロだったね」と言って去って行った。
同じ人間に二度レイプされるなんておかしいし、私に落ち度があったとしか思えないとずっと自分を責め続けた。
二軒目だったし飲み過ぎたのだろうか?
でも、おかしい。
あいつが帰った後も体が重くてだるくて眠たくて、二日酔いとかそういう感じでもなかった。
それ以外考えられなかった。
それから度々過呼吸を起こしたりする事はあったけど、私はこれらの記憶を頭の中から抹消していた。
意識的にじゃなく、気がついたらそれについて考えなくなっていた。
そして更に十数年経った今、ジャスティン・リーが睡眠薬を飲ませてレイプしている動画を観てしまい、思い出した。
眠ったまままったく動かない女性を平然とレイプしてるジャスティン・リーの姿はあいつの存在を思い出させた。
また、同級生の話から、団長にレイプされたのは私だけでなく、中学時代から今に至るまでたくさんの女性がいる事が発覚した。
誰も訴えてはいないけど、彼にはきちんと特別にひどい罰が下っていた。
下った罰はとてつもないもので、ここには書けないけど、多くの女性が「ざまーみろ」と思っただろう。
私は彼を訴えようと思った事は一度もなかった。
他の女性達のためにも、きちんと訴えるべきであるという事も分かっている。
でも、訴えなかった。
訴えなくとも、奴にはもっともっと酷い罰が下る…そう信じていた。
思い出したらいたたまれなくなり、増田に投下してしまったが、これを書き終えたらまた普段の生活に戻る。
奴の事を引きずって苦しい思いをして生きるなんてゴメンだ。
私は幸せに生きる。
お前にかまっている暇はない。
お前を恨んでる時間があるなら、子供の為に笑う時間を過ごした方がずっといい。
さぁ、これで最後だ。
お前の事はまた封印する。