2022-08-05

清水晶子(東京大学)「学問の自由キャンセルカルチャー」Part6 〜質疑応答

前置き

音声の品質が悪く、ところどころうまく聞き取れなかったところがあった。その箇所は●●●と表記した。

目次

anond:20220805225632 Part1 〜学問の自由とその濫用

anond:20220805225835 Part2 〜ポリティカル・コレクトネスという言説戦略

anond:20220805230017 Part3 〜Academic Bill of RightsとProfessor Watch List〜

anond:20220805230307 Part4 〜キャンセルカルチャー批判

anond:20220805230534 Part5 〜Ahmedが見立てキャンセルカルチャー批判メカニズム

anond:20220805230705 Part6 〜質疑応答

学問の自由キャンセルカルチャー 」Part6 〜質疑応答

https://www.youtube.com/watch?v=FP8rL7KfisI&t=9613s

2:40:13~2:45:40


私いくつか頂いていて割とまとまらないというか散発的な感じなので、すごく短くお答えしたいと思います

最初に「日本政府ジェンダーバッシングの背景に宗教団体ロビー活動がありますか」ということなんですけど、

これはあります。詳しいことは、っていうかご存知の方はご存知だと思いますけど、

先週末かな、にモンタナ山口さんと富山斉藤さんが、これ出していいのかな、

どっかで、延々と何か全部で見ると4時間か何かの番組お話になっているので、そちらを見ていただければいいと思うんですが、

ジェンダーバッシングの背景に宗教団体は確実にあります統一教会ちょっと新しくって、

もともとあったのは、どちらかというと日本会議系だったりとか、そっちにいたんですけれども、

仏教団体とか神道団体ですが、あるということですね。


それと関係して「今日出てきたABORの背後に●●●主義がありますか」ということですが、

ちょっとそこはわからないです、ぱっと見はないですが、

ただ問題はいろんな議論が直接、原理主義とか宗教から出てきているかどうかではなくて、

そういうところと結びつくようになってきている、ていうところのほうがジェンダー系では大きな問題だ、

ということはお伝えしておきたいなと思います


次ですが、

フェミ科研裁判と同じく京都地裁係争中の呉座勇一さんも学問の自由●●●を求める裁判をされています」ということなんですが、

ちょっとよくわからないんですが、これ詳しくないんですが、

私は呉座さんの裁判労働争議だと思っているので、学問の自由ではないんじゃないかなぁと思います

ちょっとわかんないんですけど私も、きちんと法律専門家じゃないので、

他の●●●の裁判をはっきりきちんと見ているわけではないんですが、労働争議ということではないかなというふうに思ってはいます

学問の自由っていうのは、研究者だったら何を言っても大丈夫ということではなくて、例えばある人が、

この場合は「女性蔑視問題になっていますが、学問の自由は守られるべきだと思われますか」っていうのがあるんですが、

ここすごく大事なところなんですけど、

ある研究者女性蔑視発言をしたから、その発言

あるいは非常に女性蔑視的であったりとか、

あるいはそれを超えて性暴力に至るようなことがあったりとかていうときに、

それは当然、性暴力って考えたらわかると思うんですけど、学問の自由では守られないです。

学問の自由っていうのは、保障するのはあるその研究者が、

今言ったような、今おっしゃていただけたような、あるコミュニティの中の、学問コミュニティの中の手続きであるとか、

そこで積み重ねられてきた知見に則って、どういうような議論するか何を考えるか、

ということに関してはそれは自由だということなんですね。

それの外には学問の自由というのは別に適用されないので、

例えばすごく離れた領域っていうのを考えてみると、何でもいいんですけど、理論物理学研究者がいて、

その研究者が非常に女性差別的なあるいは人種差別的なことを言ってそれが問題になった。

「いや学問の自由だよ」と言われたら学問の自由じゃないんですよ。

その人が女性差別的なことに言ったりとか人種差別的なことを言ったりとかっていうのは、

それは学問とは全く関係ないということなので、それは学問の自由では守られない。

そこら辺ちょっと、この件がそうだということではないんですが、

学問の自由っていうのが適用されるのは、そういう意味では結構狭いことになるので、

こはちょっと注意したほうがいいんじゃないかなというふうには思いました。


次なんですが、「キャンセルカルチャーという言葉を初めて聞いたんですが」、

何か今回のフェミ科研裁判とどう関係があるのかというご質問かなと思ったんですが、

一つは●●●さんもおっしゃってくださったように基本的には、その今●●●さんがおっしゃったこととも関係するんですが、

学問の自由ということ自体がそんなに、

今回はすごく大事なんですね、この文脈では学問の自由は非常に大事なんですが、

学問の自由っていうのをとりあえず出しておけばいいということではなくて、

一体学問の自由っていうのが何を守ろうとしているのかとか、どういうふうに使われようとしているのかとかていうのを、

1回1回読み解いていく必要がある。

それを忘れて学問の自由なんだよという話をしていると結構足を掬われるって話を、

から実際に英語圏ではそれで足を掬われてきている。

日本語圏はそもそもさっき「学問と見られていない」とおっしゃっていたのは、ほんとそのとおりだと思うんですけど、

そもそも日本語圏では学問の自由以前に、例えばジェンダーとかセクシュアリティとかそういう問題に関しては、

気にしようとも思っていない人たちが圧倒的に多いんですけど、でもその人たちが「気にしたほうがいいよ」って言われた瞬間に、

学問の自由」って言い出す可能性は逆に言うとめちゃくちゃ高いと私は思っていて、すでに言い出している人たちはいっぱいいます

なのでそこはやっぱり気を付けた方がいいよね、っていうふうに私は思いますし、

そのことっていうのは、例えば今回この学問の自由大事だっていうのと、

それからある特定の別の学問の自由の使われ方に問題があるっていうのを、

同じ地平の上で、だけど、こっちは大事でこっちはまずいということを言えるような、

私たちが言説上の力をつけておかないと、ふらふらと引っ張られる可能性があって、それは非常に危険だってふうに思ってます

編集後記

つの講演に対し、知る限りこの増田を含め三つの文字起こしが乱立している。

先行文字起こしが二つがあるなか、あえてもう一つを公開したのは以下の理由のためである

なお、作業自体は滝本の文字起こしの公開前、Togetterまとめの文字起こしが中途で止まっている時から始めていた。

8/7追記

石畑隆氏版文字起こしhttps://note.com/philo_radi/n/ne2da785c938c)が加わって乱立四つとなった。

質疑応答部がなく、またここではカットしたフィラーや言い誤りの訂正等も比較再現されている。

小見出しを適宜挟んでいるところはここと近い。

公開先のnote組版の方がはてな匿名ダイアリーより読みやすい人はいるかもしれない。

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