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はてなキーワード: 裁判員制度とは

2010-12-07

いよいよ、この国が専門家軽視のツケを払うときが来た

昨今の民主党の数々の失政の最大の原因が、官僚の軽視にあることは論を待たないと思う。

そもそも、「ズブのド素人である政治家の、安易な思いつきで政治をやることが「リーダーシップ」と勘違いされるに至ったのは、いったい何時頃からなのだろう。既得権益解体し、ゼロベースの「政治家主導」で政策の優先順位を判断する。ここまではいい。しかし、実際に優先順位を判断し、具体的な施策を決めていくには、専門家の協力が不可欠だったはずだ。

そう、少なからぬ数の官僚自分権益を守るために行政を捻じ曲げていたとはいえ、それ以前に、官僚は各政策領域の専門家エキスパート)なのだ。しかし、民主党は、官僚全てを十把一絡げに「既得権益の象徴」として排除しただけでなく、代わって在野の専門家を味方に付けることもしなかった。

現在の迷走ぶりは、その当然の帰結と言える。どんな「リーダーシップ」も、それを背後で支える多数の専門家の協力無しには成り立たないという当然の話に、何故気付かないのか。

しかし、これら全ての責を民主党に帰すのも、また酷な話であるのかもしれない。なぜなら、こうした専門家軽視の態度は、彼らに限った話でも、今に始まった話でもないからだ。

学者科学者技術者医師弁護士裁判官、そして官僚エトセトラエトセトラ。この十年や二十年、我々の社会はひたすら専門家を貶め、その影響力を削ぐことに邁進してきた。曰く、『あいつらは一般人に理解できない理屈を捏ね回してばかりで、社会常識からかけ離れている』。

裁判員制度などは、その典型だ。「社会常識の無い裁判官に任せてはおけない。市民感覚を反映してこそ、正しく罪を裁くことができる」。法を犯した人間を何百人と見てきた裁判官(=専門家)より、初見の一般市民(=ド素人)の方が正しい判断ができるとは、なんという傲慢だろう。

『いや、そのようなことはない。「はやぶさ」の帰還を成し遂げた科学者技術者達に、人々は惜しみない賛辞を送っているではないか』と反論する人がいるかもしれない。しかし、それは単に「はやぶさ」の感動的な帰還物語が「一般市民」にも分かりやすく、また自分達との利害の接点が見えにくいからに過ぎない。

果たして、宇宙開発に要するコストが、人々の身近な利害とのトレードオフとして明確に突き付けられた時、それでもなお手のひらを返さずにいる人間が何人いるだろうか。

政権が代わったことで露になったのは、「私は何も口出ししないので良きに計らってくれ。ただし、自分の利害に関わる場合は全力で阻止するけどね」という素晴らしい国民性だった。こうして、自分の狭い視野の範囲内での利害にしか興味のない人々による「総論賛成、各論反対」の前に、あらゆる政策は頓挫することになる。

まぁ、優先度の低い事柄の切り捨てを決断することも「リーダーシップ」の一部に入っているわけで、それすらできない「政治主導」とは何なのか、という話ではある。しかし、そこを押し切る決断ができないのも足腰の弱さ、すなわち専門的知見によるバックアップがない「思いつき駆動政策」の当然の帰結と言える。

こうして、事態はいよいよもって袋小路に陥った。

民主党が、そしてこの国が、今すぐ専門家軽視を改めない限り、次のフェーズとしてやってくるのはウルトラ保守によるバックラッシュ、あるいはカリスマの登場による熱狂と、それに伴う民主主義崩壊だろう。

2010-12-04

頭の悪い死刑廃止論者のネトサヨどもへ

更生の可能性は誰にでもあるだと?

問題は、その人を無罪執行猶予懲役した場合、将来、隣人として迎え入れなければならないという点である

民間人による裁判員制度において重要なのは前例に従う事や更生の可能性を判断する事や、更生の為の努力を国や保護観察官に求める事ではない。

罪が無い、あるいは、罪を償ったと判断された人と、隣人として付き合っていけるかという点からの判断が、民間人裁判員に求められているのである

この観点から考えれば、被害者加害者、どちらが隣人として付き合っていけるかという事以外に、考える事は無い。

隣人として付き合っていける人であれば、情状酌量を認め、そうでない人ならば、求刑を越えてでも死刑を求めるべきであるとなる。

裁判官は、法廷と官舎を往復する生活で、前科者が隣人や職場の同僚や後輩になる可能性がまるっきり無い。それゆえに、性善説浮世離れした判決を平気で書いてしまう事がある。

民間人裁判員制度は、始まったばかりである素人の判断には問題があると主張している人がいるようだが犯罪者の更正において最大の問題は、社会が受け入れるかどうかであり、これは、法曹専門家には判断できない事だから、素人の、市井の人々の、実際に隣人として受け入れる事になる人々の、判断が求められるのである

無罪仮出所有りの懲役刑を選択する場合被告を隣人として受け入れられるかどうかを、改めて問うべきであろう。死刑廃止論者だから死刑にするべきではないが、仮出所されて近所に越してこられるのは困るから、仮出所無しの無期懲役が望ましいなどというのは、刑務所人間健康老衰で死ぬまで生かしておくのにかかるコストを税として負担する覚悟が求められる。

更生の可能性を具体的に考えたければ、自分が同じ犯罪を起こす可能性と、同じと考える事である。この程度の事は、自分でもやってしまうと考えるのであれば、更生の可能性は高くなり、逆に、ここまでひどい事はしないと考えるのであれば、更生の可能性は無いとなる。裁判員には、弁護人の忌避枠によって、女性若者といった、更生の可能性のような根拠の無い主張に流されやすい人が採用されやすい傾向にあるが、そういう人々にこそ、出所してきた人と隣人として付き合えるのか、健康なままで天寿を全うするまで税金無駄飯を食わせるのか、といった、本音の議論を与えてみる事である

2010-11-10

産経裁判員死刑回避を批判する理由

産経のこの社説はヒドかった。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/101102/trl1011020259000-n1.htm

判決を軽々には批判できないにせよ、一方で「やはり死刑判決を避けたのでは」

>という意見もあり得るのではないか。

本心としては「死刑判決を出せないなんて、このヘタレ裁判員め、それでも日本人か!」と

叱咤したいのが産経の「本心」なんだろうが、面と向かっての裁判員批判もできないので、

このような「歯切れの悪い社説」になってるようだ。

で、この裁判員制度ウェブ上では産経ホームページが、一番「充実」している。

法廷ライブ」と銘打って、遺族の処罰感情を「ライブ中継」している。

なぜここまで産経裁判員制度にご執心なのか・・・と訝しがっていたが、

今回の死刑回避判決への産経の批判(?)で、なんとなく、判った気がした。

要は、産経は、「国の強制によって、一般市民が他人の生命を奪う」という

社会文化を、戦後日本に定着させたくてたまらないのだ。

つまり、裁判員徴兵制アナロジーである。

裁判員=国の強制によって一般市民が他人(犯罪者)の生命を奪う判断を行わせる

徴兵制=国の強制によって一般市民が他人(敵国兵士)の生命を奪う判断を行わせる

日本を「戦争ができる普通の国」にしたくてたまらない産経にとっては、

「一般市民が他人の生命を奪わなければいけない徴兵制」を導入させる

露払い」として、

裁判員制度で一般市民が他人の生命を奪う練習をさせる」必要があるのである。

2010-11-02

耳かき店店員ら殺害事件の判決裁判員制度の疑問

遺族感情としては納得の行かない判決となった今回の事件。

市民感情を取り入れる目的とされていた裁判員制度も今回は不発に終わったと言う感じだ。

そりゃそうだ。「初の死刑判決か??!!」なんてマスゴミが騒いだら、裁判員だってビビっちゃうわな。

"第一審の判決を尊重する" なんて言われてりゃなおさらだし。

結局マスゴミ操作されるか、マスゴミの悪影響を受けてしまったと言わざるをえない。

関係ないけど、そもそも "耳かき店" と言う風俗ビジネスが成立すること事態が変。

常連客がいるってことは、たぶんこれって性欲の一部からくるものなんだろう。

ただ耳かきしてもらって、トークを楽しむ。そんな欲求があるとはとても思えないからね。

あるとすれば、キャバクラ等のオネエちゃんがいる店には躊躇して行けないような人間くらいかなあ。

結局は交際して一発カマしたいと言う遠い目標みたいのが無いと、常連になんてならんよ。

ソープですっきりしたほうが後腐れなく健康的だと思うのは俺だけだな。

裁判員制度意味ないじゃん

耳かき殺人事件

東京地裁判決・・・無期懲役

ありえん。

裁判員はごちゃごちゃ言って冷静で公正な判断下した体を装ってるけど

人間麻雀牌同様に扱う法学脳の裁判官の口先に丸め込まれたマヌケであり、

正義の為に自分の手を汚すことの出来ない臆病者のヘタれなだけだろ。

「血を流して必死に泣き叫びながら命乞いをしてた何の罪の無い人に対して

 滅多打ち・滅多刺しでぶっ殺してその人とその家族人生めちゃくちゃに破壊したけど、

 計画的じゃないし、反省してるし、被害者たかだか一人だけなんだから7~8年くらいでいいんじゃね?」

「赦す事は美しいことだからね♪」

「人を恨むのは野蛮人のする事だよ。」

犯人も生きて反省する事の方が死んで楽になるより辛い筈。」

「そんな過去の事はとっとと忘れて前を向いて生きるべき。」

「貴方が過ぎ去った過去に縛られては故人も浮かばれない。」

犯人いつまでも憎しみ続ける貴方は醜い心の持ち主だね。」

国家国民を殺すのは近代国家云々・・・」

なーんて素晴らしい慈愛に満ちてバランス感覚の優れたクソ野郎共に対する

カウンターパンチをかませるのが裁判員制度じゃねーのかよ。

↑みてーな電波意見を言う奴はほんの極一部で大抵の奴は

「あんなクズ野郎とっとと死刑にしちまえ」って思ってるはずだぜ。

「世間の望む量刑にするにはあと0.5ポイント足りないなー。判例的に。

 基準が現状に合ってなくておかしいかも知れないけど判例は絶対だから我慢してね。」

みたいな決め方がおかしいって事で裁判員制度採用されたんじゃねーの?

素人感覚求めた制度なのに専門家の下手な真似してどーすんだって話だよな。

「人の人生をぶち壊す重犯罪者は絶対に許さん。つーか殺す。」となれば

犯罪コストが非常に高くなり容易に手を出さなくなるだろう。逆に、

人間、いくら重い罪を犯してもやり直せるから大丈夫だよ。」となれば

犯罪コストが非常に低くなり容易に手を出すようになるだろう。

真面目に生きる人間はどちらがより住みよい社会なのか一目瞭然だろう。

今回のこの愚かな判決ストーカー殺人を犯すことに対して一定の理解を示したのであり、

正義に唾を吐いた裁判員自分社会を悪い方向へ導いたという罪を恥じて悔いるべき。

事実関係が疑わしいのであれば判断は慎重にすべきであると思う。

しかし、犯行が明らかになっているのであれば法曹関係者の下らない入れ知恵は無視して

どっちの判決自分の平穏な生活に寄与するかで判断すれば良いであろう。

「凶悪な犯罪者を赦し、自分被害者になるリスクと共に社会が受け入れること」

「凶悪な犯罪者は厳罰に裁き、自分被害者になるリスクと共に社会から排除すること」

裁判員制度お上押し付けられた憂鬱な義務じゃない。

自分達の平穏を護る為の権利だ。

せっかく手にしたんだから有効に使おうぜ!

2010-10-30

議員

思い切って裁判員制度みたいに、抽選にしちゃっても。

裁判員もやる前は「抽選暴力団系とかその他もろもろのちょっといかがなのが、

あたっちゃたらどーすんねん!」「一般市民に無理やろ」的な意見結構あったけど、

やってみたら、ちゃんとまじめにしっかり取り組んでる。

だって生徒会長立候補する人って目立ちたがりの変わり者多いじゃん。

そんなんの集まりじゃあ、まとまんないっしょ。

2010-09-10

  • 1 -主文原判決及び第1審判決を破棄する。本件を大阪地方裁判所に差し戻す。理由弁護人中道武美の上告趣意のうち,第1点ないし第3点は,憲法37条違反,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認の主張であり,被告人本人の上告趣意は,事実誤認の主張であって,いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。しかしながら,所論にかんがみ,職権をもって調査すると,原判決及び第1審判決は,刑訴法411条1号,3号により破棄を免れない。その理由は,以下のとおりである。1本件公訴事実及び争点本件公訴事実の要旨は,被告人は,(1)平成14年4月14日午後3時30分ころから同日午後9時40分ころまでの間に,大阪市平野区所在のマンション(以下「本件マンション」という。)の306号室のB(以下「B」という。)方において,その妻C(当時28歳。以下「C」という。)に対し,殺意をもって,同所にあったナイロン製ひもでその頸部を絞め付けるなどし,よって,そのころ,同所において,同女を頸部圧迫により窒息死させて殺害し,(2)(1)記載の日時場所において,B及びC夫婦長男であるD(当時1歳。以下「D」という。)に対し,殺意をもって,同所浴室の浴槽内の水中にその身体を溺没させるなどし,よって,そのころ,同所において,同児を溺死させて殺害し,(3)本件マンション放火しようと考え,同日午後9時40分ころ,本件マンション306号室のB方6畳間- 2 -において,同所にあった新聞紙,衣類等にライターで火をつけ,その火を同室の壁面,天井等に燃え移らせ,よって,Bらが現に住居として使用する本件マンションのうち上記306号室B方の壁面,天井等を焼損し,もって,同マンションを焼損した,というものである。被告人は,Bが子供のころにその実母E(以下「E」という。)と婚姻し,養父としてBを育て,かつては,同居するEと共に,B家族との交流があったが,Bの借金問題,女性問題等をきっかけに,本件事件当時はB家族と必ずしも良好な関係にあったとはいえず,B家族平成14年2月末に本件マンションに転居した際には,その住所を知らされなかったものである。上記(1)ないし(3)の公訴事実となっている事件は,Bの留守中に発生したもので,火災の消火活動に際してCとDの遺体が発見されたことから発覚し,捜査が進められた結果,同年11月16日に被告人逮捕され,同年12月7日に上記(1),(2)の各事実が,同月29日に上記(3)の事実が起訴された。上記公訴事実につき,検察官は,その指摘する多くの間接事実を総合すれば被告人の犯人性は優に認定できる旨主張し,被告人は,本件事件当日まで,事件現場である本件マンションの場所を知らず,事件当日及びそれ以前を含めて,その敷地内にも立ち入ったことはない,被告人は犯人ではなく無罪である旨主張した。争点は,被告人の犯人性である。2第1審判決第1審判決は,被告人の犯人性を推認させる幾つかの間接事実が証拠上認定できるとした上,これらの各事実が,相互に関連し合ってその信用性を補強し合い,推認力を高めているとして,結局,被告人が本件犯行を犯したことについて合理的な- 3 -疑いをいれない程度に証明がなされているとし,ほぼ上記公訴事実と同じ事実を認定し,被告人無期懲役に処した(検察官求刑死刑)。この間接事実からの推認の過程は,以下のようなものである。(1)被告人は,本件事件当日である平成14年4月14日,仕事休みであり,午後2時過ぎころに自宅を出て,自動車に乗って大阪市平野区方面へ向かい,同日午後10時ころまで同区内ないしその周辺で行動していたことが認められるが,さらに,以下のアないしオを併せ考えると,被告人が,同日に現場である本件マンションに赴いたことを認定することができる。ア本件マンション道路側にある西側階段の1階から2階に至る踊り場の灰皿(以下「本件灰皿」という。)内から,本件事件の翌日にたばこの吸い殻72本が採取されたが,その中に被告人が好んで吸っていた銘柄(ラークスーパーライト)の吸い殻が1本(以下「本件吸い殻」という。)あり,これに付着していた唾液中の細胞DNA型が,被告人の血液のDNA型と一致していること,このDNA型一致の出現頻度は1000万人に2人という極めて低いものであること,本件事件の火災発生後,程なく警察官による現場保存が行われたことなどから,被告人が,本件事件当日あるいはそれまでの間に事件現場である本件マンションに立ち入り,本件灰皿に本件吸い殻を投棄したことが動かし難い事実として認められる。イ本件事件当日午後3時40分ころから午後8時ころまでの間,被告人が当時使用していた自動車と同種・同色の自動車が,本件マンションから北方約100mの地点に駐車されていたと認められる。ウ被告人自身が,捜査段階において,本件事件当日に自己の運転する自動車を同地点に駐車したことを認めていた。- 4 -エ本件事件当日午後3時過ぎないし午後3時半ころまでの間に,本件マンションから北北東約80mに位置するバッティングセンターにおいて,被告人によく似た人物が目撃されたと認められる。オ被告人自身,本件事件当日はBないしB宅を探して平野区内ないしその周辺に自動車で赴いたことを自認しており,これは信用できる。(2)他方,動機面についても,以下のアないしウの点などから,被告人は,本件事件当時,背信的な行為をとり続けるBに対して,怒りを募らせる一方,後記のような自分からの誘いを拒絶した上で,Bと行動を共にし,被告人の立場から見ればBに追随するかのような態度を見せていたCに対しても,同様に憤りの気持ちを抱くようになったことが推認できる。そうすると,Cとの間のやり取りや同女のささいな言動など,何らかの事情をきっかけとして,Cに対して怒りを爆発させてもおかしくない状況があったということができる。そのような事情を有していた被告人が,本件事件当日,犯行現場に赴いたことは,被告人の犯人性を強く推認させるものである。ア平成13年10月1日から同月24日まで,C及びDは,被告人宅で同居生活を送ったが,そのころ,被告人は,Cに対し,恋慕の情を抱いており,性交渉を迫る,抱き付く,キスをするなどの行為に及んだことがあった。イしかし,Cは,被告人からの誘いを拒絶し,被告人宅から被告人に告げることなくBの下へ戻った上,Bと行動を共にするようになり,被告人との接触を避けてきた。ウ被告人は,Bの養父ないし保証人として,Bの借金への対応に追われていたが,Bは,被告人に協力したり,感謝したりすることをせず,無責任かつ不誠実な- 5 -態度をとり続けていた。(3)被告人は,本件事件当日の夕方,朝から仕事に出ていたEを迎えに行く約束をしていたにもかかわらず,特段の事情がないのにその約束をたがえ,C及びDが死亡した可能性が高い時刻ころに自らの携帯電話の電源を切っており,Eに迎えに行けないことをメールで伝えた後,出火時刻の約20分後に至るまでの間同女に連絡をとっていないなど,著しく不自然な点があるが,これらについては,被告人が犯人であると考えれば,合理的な説明が可能であり,得心し得るものである。(4)このほか,被告人の本件事件当日の自身の行動に関する供述は,あいまいで漠然としたものであり,不自然な点が散見される上,不合理な変遷もみられ,全体として信用性が乏しいものであって,被告人は,特段の事情がないのに,同日の行動について合理的説明ができていない点がある。また,Cは,生前,在宅時も施錠し,限られた人間が訪れた際にしかドアを開けようとしなかったこと,本件の犯人が2歳にもならないDを殺害しているのは口封じの可能性が高いこと,犯人が現場放火して徹底的な罪証隠滅工作をしていることなどから,本件犯行は被害者と近しい関係にある者が敢行した可能性が認められる。これらの各事実も,被告人の犯人性を推認させるものである。(5)以上の事実を全体として考察すれば,被告人が本件犯行を犯したことについて合理的な疑いをいれない程度に証明がなされているというべきである。(6)なお,被告人は,本件事件当日に本件マンション敷地内に入って階段を上ったことがある旨認める供述をした被告人平成14年8月17日付け司法警察員に対する供述調書(乙14)について,警察官から激しい暴行を受けたために内容もよく分からないまま署名したと主張するが,同供述調書の供述内容には任意性及- 6 -び信用性が認められ,これによっても,被告人の犯人性が肯定されるという上記判断が更に補強されることになる。3原判決この第1審判決に対し,被告人は,訴訟手続の法令違反,事実誤認を理由に控訴し,検察官は,量刑不当を理由に控訴した。原判決は,被告人控訴趣意のうち,前記司法警察員に対する供述調書(乙14)には任意性がなく,これを採用した第1審の措置が刑訴法322条1項に反しているという訴訟手続の法令違反の主張について,そのような訴訟手続の法令違反があることは認めつつ,事実誤認の主張については,第1審判決の判断がおおむね正当であり,同供述調書を排除しても,被告人が各犯行の犯人であると認めた第1審判決が異なったものになった蓋然性はないのであるから,この訴訟手続の法令違反が判決に影響を及ぼすことの明らかなものとはいえないとした。その上で,検察官の主張する量刑不当の控訴趣意に理由があるとして,第1審判決を破棄し,第1審判決が認定した罪となるべき事実を前提に,被告人死刑に処した。4当裁判所の判断しかしながら,第1審の事実認定に関する判断及びその事実認定を維持した原審の判断は,いずれも是認することができない。すなわち,刑事裁判における有罪の認定に当たっては,合理的な疑いを差し挟む余地のない程度の立証が必要であるところ,情況証拠によって事実認定をすべき場合であっても,直接証拠によって事実認定をする場合と比べて立証の程度に差があるわけではないが(最高裁平成19年(あ)第398号同年10月16日第一小法廷決定・刑集61巻7号677頁参照),直接証拠がないのであるから,情況証拠によって認められる間接事実中に,- 7 -被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明することができない(あるいは,少なくとも説明が極めて困難である)事実関係が含まれていることを要するものというべきである。ところが,本件において認定された間接事実は,以下のとおり,この点を満たすものとは認められず,第1審及び原審において十分な審理が尽くされたとはいい難い。(1)第1審判決による間接事実からの推認は,被告人が,本件事件当日に本件マンションに赴いたという事実を最も大きな根拠とするものである。そして,その事実が認定できるとする理由の中心は,本件灰皿内に遺留されていたたばこの吸い殻に付着した唾液中の細胞DNA型が被告人の血液のそれと一致したという証拠上も是認できる事実からの推認である。このDNA型の一致から,被告人が本件事件当日に本件マンションを訪れたと推認する点について,被告人は,第1審から,自分がC夫婦に対し,自らが使用していた携帯灰皿を渡したことがあり,Cがその携帯灰皿の中に入っていた本件吸い殻を本件灰皿内に捨てた可能性がある旨の反論をしており,控訴趣意においても同様の主張がされていた。原判決は,B方から発見された黒色の金属製の携帯灰皿の中からEが吸ったとみられるショートホープライトの吸い殻が発見されていること,それはCなどが被告人方からその携帯灰皿を持ち出したためと認められること,上記金属製の携帯灰皿のほかにもビニール製の携帯灰皿をCなどが同様に持ち出すなどした可能性があること,本件吸い殻は茶色く変色して汚れていることなどといった,上記被告人の主張を裏付けるような事実関係も認められるとしながら,上記金属携帯灰皿を経由して捨てられた可能性については,Eの吸い殻を残して被告人の吸い殻だけが捨て- 8 -られることは考えられないからその可能性はないとした。また,ビニール携帯灰皿を経由して捨てられた可能性については,ビニール携帯灰皿に入れられた吸い殻は通常押しつぶされた上で灰がまんべんなく付着して汚れるのであるが,本件吸い殻は押しつぶされた形跡もなければ灰がまんべんなく付着しているわけでもないのであり,むしろ,その形状に照らせば,もみ消さないで火のついたまま灰皿などに捨てられてフィルターの部分で自然に消火したものと認められること,茶色く変色している点は,フィルターに唾液が付着して濡れた状態で灰皿の中に落ち込んだ吸い殻であれば,翌日採取されてもこのような状態となるのは自然というべきであることから,その可能性もないとした。しかし,ビニール携帯灰皿に入れられた吸い殻が,常に原判決の説示するような形状になるといえるのか疑問がある上,そもそも本件吸い殻が経由する可能性があった携帯灰皿がビニール製のものであったと限定できる証拠状況でもない(関係証拠によれば,B方からは,箱形で白と青のツートーンの携帯灰皿も発見されており,これはE又は被告人のものであって,Cが持ち帰ったものと認められるところ,所論は,この携帯灰皿から本件吸い殻が捨てられた可能性があると主張している。)。また,変色の点は,本件事件から1か月半余が経過してなされた唾液鑑定の際の写真によれば,本件吸い殻のフィルター部全体が変色しているのであり,これが唾液によるものと考えるのは極めて不自然といわざるを得ない。本件吸い殻は,前記のとおり本件事件の翌日に採取されたものであり,当時撮影された写真において既に茶色っぽく変色していることがうかがわれ,水に濡れるなどの状況がなければ短期間でこのような変色は生じないと考えられるところ,本件灰皿内から本件吸い殻を採取した警察官Fは,本件灰皿内が濡れていたかどうかについて記憶は- 9 -ないが,写真を見る限り湿っているようには見えない旨証言しているから,この変色は,本件吸い殻が捨てられた時期が本件事件当日よりもかなり以前のことであった可能性を示すものとさえいえるところである。この問題点について,原判決の上記説明は採用できず,その他,本件吸い殻の変色を合理的に説明できる根拠は,記録上見当たらない。したがって,上記のような理由で本件吸い殻が携帯灰皿を経由して捨てられたものであるとの可能性を否定した原審の判断は,不合理であるといわざるを得ない(なお,第1審判決が上記可能性を排斥する理由は,原判決も説示するように,やはり採用できないものである。)。そうすると,前記2(1)イ以下の事実の評価いかんにかかわらず,被告人が本件事件当日に本件マンションに赴いたという事実は,これを認定することができない。(2)ところで,本件吸い殻が捨てられていた本件灰皿には前記のとおり多数の吸い殻が存在し,その中にはCが吸っていたたばこと同一の銘柄(マルボロライト金色文字〕)のもの4個も存在した。これらの吸い殻に付着する唾液等からCのDNA型に一致するものが検出されれば,Cが携帯灰皿の中身を本件灰皿内に捨てたことがあった可能性が極めて高くなる。しかし,この点について鑑定等を行ったような証拠は存在しない。また,本件灰皿内での本件吸い殻の位置等の状況も重要であるところ,吸い殻を採取した前記の警察官にもその記憶はないなど,その証拠は十分ではない。検証の際に本件灰皿を撮影した数枚の写真のうち,内容が見えるのは,上ぶたを取り外したところを上から撮った写真1枚のみであるが,これによって本件吸い殻は確認できないし,内容物をすべて取り出して並べた写真も,本件吸い殻であることの確認ができるかどうかという程度の小さなものである。さら- 10 -に,本件吸い殻の変色は上記のとおり大きな問題であり,これに関しては,被告人が本件事件当日に本件吸い殻を捨てたとすれば,そのときから採取までの間に水に濡れる可能性があったかどうかの検討が必要であるところ,これに関してはそもそも捜査自体が十分になされていないことがうかがわれる。前記のとおり,本件吸い殻が被告人によって本件事件当日に捨てられたものであるかどうかは,被告人の犯人性が推認できるかどうかについての最も重要な事実であり,DNA型の一致からの推認について,前記被告人の主張のように具体的に疑問が提起されているのに,第1審及び原審において,審理が尽くされているとはいい難いところである。(3)その上,仮に,被告人が本件事件当日に本件マンションに赴いた事実が認められたとしても,認定されている他の間接事実を加えることによって,被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明できない(あるいは,少なくとも説明が極めて困難である)事実関係が存在するとまでいえるかどうかにも疑問がある。すなわち,第1審判決は,被告人が犯人であることを推認させる間接事実として,上記の吸い殻に関する事実のほか,前記2(2)ないし(4)の事実を掲げているが,例えば,Cを殺害する動機については,Cに対して怒りを爆発させてもおかしくない状況があったというにすぎないものであり,これは殺人の犯行動機として積極的に用いることのできるようなものではない。また,被告人が本件事件当日携帯電話の電源を切っていたことも,他方で本件殺害行為が突発的な犯行であるとされていることに照らせば,それがなぜ被告人の犯行を推認することのできる事情となるのか十分納得できる説明がされているとはいい難い。その他の点を含め,第1審判決が掲げる間接事実のみで被告人を有罪と認定することは,著しく困難であるといわざるを得ない。- 11 -そもそも,このような第1審判決及び原判決がなされたのは,第1審が限られた間接事実のみによって被告人の有罪を認定することが可能と判断し,原審もこれを是認したことによると考えられるのであり,前記の「被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明することができない(あるいは,少なくとも説明が極めて困難である)事実関係」が存在するか否かという観点からの審理が尽くされたとはいい難い。本件事案の重大性からすれば,そのような観点に立った上で,第1審が有罪認定に用いなかったものを含め,他の間接事実についても更に検察官の立証を許し,これらを総合的に検討することが必要である。5結論以上のとおり,本件灰皿内に存在した本件吸い殻が携帯灰皿を経由してCによって捨てられたものであるとの可能性を否定して,被告人が本件事件当日に本件吸い殻を本件灰皿に捨てたとの事実を認定した上で,これを被告人の犯人性推認の中心的事実とし,他の間接事実も加えれば被告人が本件犯行の犯人であることが認定できるとした第1審判決及び同判決に審理不尽も事実誤認もないとしてこれを是認した原判決は,本件吸い殻に関して存在する疑問点を解明せず,かつ,間接事実に関して十分な審理を尽くさずに判断したものといわざるを得ず,その結果事実を誤認した疑いがあり,これが判決に影響を及ぼすことは明らかであって,第1審判決及び原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる。よって,弁護人中道武美の上告趣意第4点について判断するまでもなく,刑訴法411条1号,3号により原判決及び第1審判決を破棄し,同法413条本文に従い,更に審理を尽くさせるため,本件を第1審である大阪地方裁判所に差し戻すこととし,裁判官堀籠幸男の反対意見があるほか,裁判官全員一致の意見で,主文の- 12 -とおり判決する。なお,裁判官藤田宙靖,同田原睦夫,同近藤崇晴の各補足意見,裁判官那須弘平の意見がある。裁判官藤田宙靖の補足意見は,次のとおりである。私は,多数意見に賛成するものであるが,本件において被告人を犯人であるとする第一審判決及びこれを支持する原判決の事実認定の方法には,刑事司法の基本を成すとされる推定無罪の原則に照らし重大な疑念を払拭し得ないことについて,以下補足して説明することとしたい。1第一審判決及び原判決が,被告人を本件の犯人であると認定した根拠は,基本的には,以下のような点である。(1)被告人が当日現場マンションに立ち入ったことを証する幾つかの間接証拠が存在すること。(2)被告人被害者らを殺害する動機があったとまでは認定できないが,被害者Cとのやり取りやそのささいな言動をきっかけとして,同人に対し怒りを爆発させてもおかしくはない状況があったこと。(3)第三者の犯行を疑わせる状況は見当たらないこと。(4)被害者らの推定死亡時刻頃における被告人アリバイはなく,また,この点についての被告人供述あいまいであり,不自然な変転等が見られること。(5)これらの事実は,それ自体が直接に被告人が犯人であることを証するものではないが,これらを総合して評価すると,相互に関連し合ってその信用性を補強し合い,推認力を高めていること。しかし,これらの根拠は,以下に見るとおり,いずれも,被告人が犯人であることが合理的な疑いを容れることなく立証されたというには不十分であるというほか- 13 -ないように思われる。2(1)被告人が当日現場マンションに赴いた事実を証するとされる間接事実は,仮にこれらの事実の存在が証明されたとしても,そのいずれもが,公訴事実自体とはかなり距離のある事実であり,いわば間接事実のまた間接事実といった性質のものであるに過ぎない。例えばまず,被告人が当時使用していた車(白色のホンダストリーム)と同種・同色の車が事件発生時刻を挟んだ数時間現場の近くの商店前の路上に長時間にわたって駐車されていたという事実は,必ずしも,被告人が使用していた車そのものが駐車されていたという事実を証するものではない。また,近所のバッティングセンターにおいて被告人ないし被告人とよく似た男が目撃されたという事実についても,そのこと自体は,あくまでも,被告人現場マンションの近くにいたという事実を証するものであるに過ぎない(被告人は,具体的な場所については特定できないものの,当日現場マンションの近くに赴いたこと自体は,必ずしも否定してはいないのである)。このような状況にある以上,上記二つの事実は,当日被告人が犯行現場に赴いたということをより積極的に推測させる証拠がある場合にそれを補強する機能しか持ち得ない筈のものと思われるが,そのような積極的証拠としての役割を持たされているのは,唯一,現場マンションの犯行現場に通じる階段の踊り場の灰皿内から発見されたたばこの吸い殻から,鑑定により被告人のものと一致するDNA型が発見されたという事実である。しかし,多数意見も詳細に指摘するとおり,問題のたばこの吸い殻が,発見された際の状況等に照らして,間違いなく被告人が当日当該灰皿の中に投棄したものと推認できるか否か(被告人の吸い殻が入った携帯灰皿をCが過日同マンションに持ち帰り,本件当日以前にCが当該灰皿に投棄した可能性が- 14 -あるという論旨に対し,そのようなことはおよそあり得ないとまで言えるか)については,少なくともそのように断言することはできないように思われる。以上要するに,上記の各間接事実の存在によって,被告人事件当日現場マンションを訪れたという事実については,その可能性が相当の蓋然性を以て認められること自体は否定できないが,その事実自体を証拠上否定できないとまでいうことはできない。更に,仮にこの事実の存在が認定されたとしても,公訴事実との関係では,(被告人がこの点に関し虚偽の供述をしていることが判明したという事実をも含め)それ自体が一つの間接事実に過ぎないのであって,被告人の有罪認定の根拠としては,未だ強力な証明力を有する事実とまでいうことはできない。(2)犯行の動機につき,第一審判決及び原判決においては,被告人にCを殺害する動機があったとまでいうことはできないにしても,同女との間のやり取りや同女のささいな言動など,何らかの事情をきっかけとして,Cに対して怒りを爆発させてもおかしくない状況があったという事実が,単独ではその推認力には限界はあるものの,被告人の犯人性に関する積極方向の間接事実であると指摘されている。しかし,このように一般的抽象的な状況のみで,当日被告人とCとの間にどのような具体的事実があったのかについておよそ認定されることなく,これを被告人有罪の積極的根拠として用いることについては,疑問を禁じ得ない。すなわち,動機についても,原判決認定に係る事実のみでは,せいぜい,本件犯行の一般的な可能性があることを否定できない(動機があり得ないとは言えない),という程度の証明力しか無いように思われるのである。また,仮にCに対する犯行の動機を,上記のようにその場における突発的な激情ないし憤激(の可能性)に見出すとしても,そこから更に進んで,証拠隠滅目的のために被告人が日頃可愛がっていた(わずか- 15 -1歳10か月に過ぎない)被害者Dの殺害にまで至ったという説明についても,十分な説得力があるものとは言えない。(3)第三者の犯行可能性について第一審判決がこれを否定する根拠は,いずれも,例えば宅配便郵便配達を装った通り魔殺人の可能性を排除するものとして,必ずしも説得的であるとは言えない。なお,本件における捜査のあり方に関しては,本件マンションに立ち入ったことを自供した被告人平成14年8月17日付の供述調書(乙14号証)につき,原判決もまたその任意性を否定せざるを得なかったことに示唆されているとおり,その適法性につき疑念を抱かせる点が無いとは言えないのであって,捜査陣が,捜査の早い段階から被告人が犯人であると決め付けて,その裏付けとなりそうな事実のみを集め,それ以外の事実については関心を持たなかった(切り捨てた)のではないかという上告論旨の指摘も,全く無視することはできないというべきである。(4)被告人の当日の行動についての説明には,極めてあいまいなものがあり,とりわけ,当日立ち寄った場所に関し,一つとして確定的なことを述べていないという点は,大いに不審を抱かせる事実であると言わざるを得ない。しかし,であるからといって,そのこと自体が被告人を犯人と推認させる決定的な事実となるわけではなく,やはり可能性を否定し得ないというだけのことでしかない。また,原判決が重視する,被告人が犯行時刻頃に携帯電話の電源を切っていたという点については,もしこの事実が被告人の本件犯行を裏付ける事実というのであれば,被告人の犯行は計画的なものであり,それが故にこそ前以て電源を切っていた,ということになる筈であると思われるが,本件の犯行が(未必の故意をも含め)予め計画されたものであるとは全く認定されていないのであって,むしろ,上記のように,現- 16 -場におけるCとの接触の中での突発的・偶発的な殺意によるものであると推測されているのである。果たして,そのような犯行状況の下で携帯電話の電源を切るというような冷静な行動に出ることが,容易に想定され得るであろうか。なお,仮にこの事実が,必ずしも被告人の本件犯行そのものではなく,被告人被害者宅を訪れること自体を秘する目的であったことを裏付けるものとして引き合いに出されているのであるとしても,バッテリーの消費をセーブするために携帯電話の電源を一時切るという行為自体は必ずしも奇異な行動とは言えない上,そもそも当日被告人被害者宅を探すために行動していたこと自体は,当初から,特に秘されていたわけではないのであって,それにも拘らず急遽携帯電話の電源を切ることとなったのは何故かについては,第一審及び原審において,なんら明確な認定がされておらず,全ては,被告人が犯人であることを前提とした上での推測に基づくものでしかない。のみならず,仮にそうした事実が認められるとしても,被告人被害者宅を訪れたという事実自体,本件犯行との関係では一つの間接事実としての位置付けを与えられるものでしかないことは,先に見たとおりである。(5)第一審判決及び原判決は,上記の各間接事実について,その一つ一つについては,それだけで被告人有罪の根拠とすることはできないものの,これらを「総合評価」すれば合理的疑いを容れる余地なく被告人有罪が立証されているとする。私もまた,このような推論が一応可能であること自体を否定するものではない。ただ,本件における各間接事実は,その一つ一つを取って見る限り,上記に見たように,さほど強力な根拠として評価し得るものではなく,たばこの吸い殻のDNA型を除いては,むしろ有罪の根拠としては薄弱なものであるとすら言えるのではないかと思われる。本件において認定されている各事実は,上記に見たように,いずれ- 17 -も,被告人が犯人である可能性があることを示すものであって,仮に被告人が犯人であると想定すれば,その多くが矛盾無く説明されるという関係にあることは否定できない。しかし一般に,一定の原因事実を想定すれば様々の事実が矛盾無く説明できるという理由のみによりその原因事実が存在したと断定することが,極めて危険であるということは,改めて指摘するまでもないところであって,そこで得られるのは,本来,その原因事実の存在が仮説として成立し得るというだけのことに過

2010-09-01

住民票と現居所の不一致は珍しくないよ。裁判員呼出郵便の不達率が証明している。

http://anond.hatelabo.jp/20100831213758

住民票と現居所の不一致は、20歳に限らず「珍しいことじゃない。」

行政は、「住民票と現住所は一致させるべきものだし、99.9%は一致している前提」

として動いているが、実際は不一致がある。

これは統計を取ったわけではないが、数%はあるようだ。

(それは厳密に言えば「法律違反」になるが)

実際、自分仕事で某商品を販売し、その際に本人確認を行ったり

定期的に郵便物を送付したりする際に、

住民票の住所には実際は住んでないから、こっちに郵便送っておいてよ」と

顧客側からオーダーされることが数%ある。

なお、裁判員の呼び出し郵便(当然、住民票住所へ送られる)のうち

数%が「宛所不明」で地裁に戻ってきているようなので、

「数%が住民票住所と居所が一致していない」という推測は、恐らく正しいものと思われる。

行政的には「99.99%の日本人住民票に現住所を置いているべきだし、実際そうなっている筈だ」

として裁判員制度設計したと思うが、実際には法曹三者の想定以上の不一致率なんじゃないか?

まあ、そもそも「現居所に住民票を置かないような遵法意識の乏しい市民は、裁判員として不適当

ということなのかもしれないが。

2010-08-01

ホメオパシー裁判員制度

確か先日、宗教的理由による医療ネグレクトに対する執行猶予付き判決があり、

その判決について、科学リテラシーが高いをされる「はてなの会員」

(通称「はてなー」)がさんざん批判していた。

http://b.hatena.ne.jp/entry/kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20100717-OYS1T00247.htm

裁判官を批判するはてブコメントばかりだったのだが、

そもそもこれ、「裁判員裁判」なんですケド。

つまり、裁判員6人の「科学リテラシー」「ホメオパシーへの許容度」によって、

量刑がガラッと変わってしまう、ということになる。

おそらく「はてなー6人」が集まってこの事件を審査すれば、

はてなーは「ホメオパシーに対する憎悪がハンパない」人々なので、

実刑判決になっていたと思われる。

しかし、実際の判決執行猶予である

結局、「世間一般はホメオパシーに寛容」なのであり、

それがはてなーには我慢ならないのである

自分も「はてなーの一員」でもあるのでこの判決は我慢ならないのだが、

なぜはてなー達が

科学リテラシー不足の人による歪んだ量刑が出る危険性がある

 裁判員制度そのものを批判」しないのか、不思議である

2010-05-12

http://anond.hatelabo.jp/20100512110241

>本当に毛嫌いしている理由に気づいたら、ソレを書いてもらえると助かります。

問題点列記すると、それだけで24時間かかります。

自分は自身のホームページで、もう10年前から警告し続けています。

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/7891/coffee/16.html

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/7891/coffee/16-2.html

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/7891/coffee/16-3.html

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/7891/coffee/16-4.html

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/7891/coffee/16-5.html

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/7891/coffee/16-6.html

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/7891/coffee/16-7.html

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/7891/coffee/16-8.html

そして特別ブログ

http://star.ap.teacup.com/0120320354/

>こうして起きてしまった裁判員制度の不備を、はやく直そうで話がまとめられるはず。

まあ「最低限の改良点」を

http://star.ap.teacup.com/0120320354/30.html

から引用しましょう。

~~~~

「「以下の10点を全て改善すれば、初めて裁判制度を試行てもいいかもしれない」」  

今日裁判についても、いろいろ言いたいことはあるのですが、

「なんでも掲示板」で質問をされたので、

何点か基本的スタンスを記載したいと思います。

>くろださんご指摘の各党のマニフェスト裁判員制度についてどこも触れられていない、

>という話ですが、そもそも管理人氏は裁判員制度について、どの程度反対なのでしょうか?

>(1)裁判は従来のように司法資格を持つ裁判官のみが有罪・無罪を判断し、

>   量刑を与えることでよい。その意味では改革の必要なし。

>(2)何らかの形で一般市民裁判への参加は望ましいが、現状の裁判員制度には反対。

>どちらでしょうか?

>もし、(1)だとしたら、自民党から共産党まで、国会議席を持つすべての党派は

>(1)の主張とは相容れないと思いますが。

>で、(2)だとしたら、どのような制度がよいとお考えでしょうか?

>また、今までもあった市民参加の検察審査会についてのご意見は?

>今まで、管理人氏の裁判員制度批判は山のように聞かされていますが、

>上記のようなごくごく基本的なスタンスがよくわからないのです。

>ただ、反対だ、反対だ、こんなによくないことがある、とおっしゃられても、

>では、どうすればいいのか、をぜひお聞かせいただきたく。

1.少なくとも、現状の「辞退の自由を認めない」制度設計は、明白に違憲であり、

  辞退の自由を認めるような制度変更を行うことが「最低限の絶対条件」。

  これを前提としない以上は、当方は改善議論に応じる気は全くありません。

即刻「辞退の自由」を認めた上で(現在進行中の裁判も含め)、以下の改善を施す。

2.次に、日当が大幅に低いため、

  判事の日給+精神的負担分の日当(合計5万円程度)に引き上げるべき。

  また、勤務先企業へも損失分を補償すべき。

3.また、「従業員が参加OK」であっても「勤務先が参加に反対」の場合においては、

  参加しなくていい制度にする。

  (企業側の都合も斟酌する制度にする)

4.PTSDへの対応がお寒い状態。これを改善する。

  また、「お礼参り」抑止のため、警察が一定期間は候補者宅を警護する。

5.被害者側が裁判員裁判を拒否した場合は、通常裁判とする。

  (性被害裁判への対応

6.被告側が裁判員裁判を拒否した場合も、通常裁判とする。

7.量刑判断は行わない。

  (死刑判断は市民には過酷)

  ただし、死刑制度廃止した場合量刑判断も可。

8.裁判員(含む候補者)の守秘義務規定を撤廃。

9.そもそも冤罪防止という主目的のためには、

  取調べの可視化、もっといえば取調べ時の弁護士立会いが理想

10.費用対効果を考えれば、1審の裁判全てにこれを適用するのは

  時間費用無駄

  (大半の裁判は、被告人が罪状を認めている「シャンシャン裁判」が多い)

  なので、2審もしくは最高裁を適用対象に変更する。

また、検察審査会については、これも強制参加規程を廃止します。

・・・のような改善を行ったうえで、2~3年間試行した上で、問題点ピックアップして、

「続けるか?やめるか?」を決める。

1.~10.の「当たり前の改善策」を行ったうえでも、

小生は「推定無罪の原則等を知らない一般市民裁判参加させるのは、

デメリットメリットを上回っているのではないか?」と疑念を感じています。

ただ、あくまで根拠なき疑念ですので、2~3年の試行期間で、これを検証するのは「アリ」だと思います。

(勿論、1.~10.の改善を行うことが大前提

http://anond.hatelabo.jp/20100512105444

裁判員制度強姦犯罪そのものを誘発する」という本末転倒な事態に

陥っている。

違うんじゃね?

被害者にしてみれば近所に写真ばら撒かれたほうが辛いだろ。

新谷とか言うバカが半端な鬼畜者だから、裁判員制度になったら云々のくだらん脅し文句を使っただけだろ。

http://anond.hatelabo.jp/20100512105444

重箱の隅をつく的な論理展開ですね。

裁判員制度によって起こった一部の出来事の結果をもってして、

裁判員制度そのものがうんたら・・・と語るのは、重箱の隅をつついているだけに思える。

メリットデメリット、導入以前、導入後などなど色々な面から眺めてみたらいかがですか。

印象だけど、

そもそももっと別の理由で、裁判員制度そのものが嫌いで、良くないと思ってる印象をうけた。

そうじゃなかったら、こうして起きてしまった裁判員制度の不備を、はやく直そうで話がまとめられるはず。

本当に毛嫌いしている理由に気づいたら、ソレを書いてもらえると助かります。

裁判員制度強姦を誘発する

http://b.hatena.ne.jp/entry/www.asahi.com/national/update/0512/TKY201005110527.html

横浜地裁(朝山芳史裁判長)で11日あった強盗強姦(ごうかん)事件の裁判員裁判で、

検察側は、元病院事務員の新谷大和被告(35)=横浜市旭区=が被害者の顔を

デジタルカメラ撮影し、

>「裁判員制度になったから、おれが捕まったらみんなが顔を見るぞ」と口止めしていたと主張した。

この被告人が「強姦を実行する気にさせた」のは

強姦致傷、強盗強姦裁判員裁判犯罪だから、

 『画像裁判員に見せるぞ』という脅迫女性に行うことによって、

 泣き寝入りさせられる公算が高い」

と思ったから、犯罪に及んだのではないか?

つまり、

裁判員制度強姦犯罪そのものを誘発する」という本末転倒な事態に

陥っている。

裁判員制度導入前だったら強姦犯行を躊躇していたかもしれない男性が、

裁判員裁判でバラスぞ!という脅迫手段」を手にしたことによって

凶行に及んでしまうのである。

この期に及んで裁判員制度を擁護するする人の感覚が信じられない。

2010-03-19

http://anond.hatelabo.jp/20100319191909

元増田だけど、wikipedia はみたさ。

・・・わいせつ物じゃないんですよ。

少なくとも、「この時代の社会通念」では。だから摘発されない。

それを判断するのは、あなたでも、私でもなく、裁判所でしょ?

つまり、「わいせつ物じゃない」と決めるのはあなたじゃなくて、裁判所でしょ?

ここでは裁判所はひとまず置いておいて、"あなた"、本当に、コミック LOわいせつでないと、

繰り返しますが、本当に思ってるんですか?

少なくとも、「この時代の社会通念」では。だから摘発されない。

松文館裁判では最高裁の上告不受理によって有罪が確定して、少なくとも漫画密室」はわいせつ物だと認定されて、

そのうえで、本当に、あなたはコミック LOわいせつでないと、本当に、思ってるんですか?

# 裁判所の判断ではなくて、あなたが条文、判例社会通念からどう判断するかでお願いします。

# 裁判員制度スタートしたし。

なお、私はわいせつ物だと思っていますが、法を公正・中立に運用するためにもこの法は運用上の欠陥を孕んでおり、

もう規制なんて諦めなよ? と声を大にして言いたいと思います。

2010-02-05

http://anond.hatelabo.jp/20100205172928

裁判員制度で得をするのって誰

ぶっちゃけ誰もいねー。と俺は思う。

無理矢理いい面を見つけたければちきりんのエントリでも読んどけ

http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20100123

http://anond.hatelabo.jp/20100205172928

立法行政には、国民意見を反映する手段が存在した

しかし、司法にはほとんどなかった

裁判員制度は、三権分立国民主権を高い水準で実現する、すばらしい制度

どうでもいいけど、裁判員制度で得をするのって誰?

2009-12-12

ブコメ読むと判断を誤るの例

http://b.hatena.ne.jp/entry/www.asahi.com/national/update/1210/NGY200912100006.html]

記事自体は、

id:koabe: この手の「こぼれ話」って昔から紙面に載っているけれど、あまり知られていないのかなあ。

という感じの話。方言裁判官に伝わらなくてビミョーな雰囲気になったという、審理の一コマを描いただけのもの。

ブコメも、当初は記事と同じような、方言にまつわる感想文が並ぶ。

最初に出てくる朝日叩きはこれ。

id:gingin1234 どうでもいいが、記事にするようなことか? 2009/12/11

このブコメが基本的に的外れなことは、冒頭に示したブコメが端的に表している。新聞記事は大事な事件以外載せてはいけないというものではない。

が、まぁ、id:gingin1234はマジメな人で、新聞には真面目な記事しか載せちゃいけないと思っているのだろう。

id:kyo_ju 司法, 日本語 どういう意図ニュースにしたのかよくわからない。裁判官は何でも知ってて当たり前とでも?/聞き返すときの態度の悪さが目立った可能性もあるけど、記事の描写だけではそこまで伝わってこない。 2009/12/11

ここに至り、「ニュース価値が無い」という感想文に、「朝日裁判官を叩いている」という前提が付与される。(だからこそ、「とでも?」と、これをニュースにした記者に対し攻撃的な口調が取られている。)

もっとも「/」後に微妙留保している。

が、この新たに登場した前提は伝染して行く。

id:mustelidae 自分が知らない言葉に出くわしたときのこ裁判官の態度が不快な感じだった、ってことかな。 2009/12/11

裁判官の態度が不快な感じだったという記事を朝日が書いているかのような感想

もっとも、まだ「ってことかな」で言い訳程度に留保している。

id:manysided law, 裁判官 方言ならまだいい。女性の服装とか全くわかってない裁判官がわんさかいる。破くの趣味で安物ストッキングしか知らないだろう変態裁判官長谷川憲一。再犯するだろうに、許せない。マスコミこういうのを問題視しろよ 2009/12/11

このニュース記者自体を叩いてはいないが、ここに来て記事が「問題視」であることが明白に暗示されている。当初は「ほのぼの記事」として読まれていた記事が「的外れな問題視報道」という問題報道として読まれるようになる。

以後のブコメには、留保無しに、問題視報道を問題視するものが散見されるようになる。

id:delcoss 被告人供述公文書として調書化されるんだから標準語ではっきりさせたんだろ 当たり前の行為だ 2009/12/11

「当たり前の行為だ」という表現から、「当たり前の行為をあたかも問題であるかのように報道する朝日新聞けしからん」というニュアンスがありありと読み取れる。「だろ」「だ」といった断定的な語尾が、記事に対して向けられている。記事に描かれた事象に対するブコメの多くが軟らかい表現を使っているのと好対照を為している。

id:koganei_hyogo 法曹, 裁判官 さすが全知全能の朝日新聞社様は言うことが違いますね。 2009/12/11

なかなか性格の悪い言葉遣いをする人である。「朝日新聞社様」は何も言っていないのだけど、id:koganei_hyogoの妄想は止まらない。勝手メタな読み方を始めて勝手に怒りだす、はてな脳の見本のような行動だ。

id:SL230 一般ニュース, よくわからん 分からないから聞いた裁判官の何処が悪いんだ?分からずに進められる方が問題だろ。 2009/12/11

タグに「よくわからん」とあるが、自分妄想を「よくわからん」と言われても困るだろうに。

id:pogemutaBN わからない単語を問いたださずにスルーする裁判官の方がまずいだろ 2009/12/11

そこでスルーしなかった裁判官の姿を描いただけの記事なのだけれども。

id:sinngetu language "庶民にとって当たり前の言葉すら知らない浮世離れした裁判官"的な記事にしたかったのかしら 2009/12/11CommentsAdd Star

というような記事だということにしたがっているはてなブックマーカーが多いのです。

id:waterperiod NDC8, 言語, 岐阜県 方言知らない=よそ者=排除or見下して良い、という思考チャートの黙認。なんか嫌。 2009/12/11

id:waterperiodの言うような思考チャートは、一部ブコメの仮想敵はともかく、記事には無かろう。新聞記事=問題視報道、という思考チャート

id:Nigitama でっていうwww 「この記事の意味が理解できるのは記者デスクだけ、ネット上で問いただされる」 2009/12/11

実際には、初期のブコメ普通にこの記事の意味を理解できている。まぁ、この記事の意味を曲解するのはid:Nigitamaだけではないので安心すれば良い。とりあえず増田上で問いただしてみるけれども。

id:falkbeer news 裁判官無知より記者の無恥を曝す記事 2009/12/11

どこに記者の無恥が曝されているだろうか。ブコメがかえって自身の無智を曝しているのが香ばしい

id:straymind *社会, 司法高学歴転勤族で居丈高でアドバイスしてくれる友達も同僚も居ない裁判官司法業界ってほらね。こうね」っていう物語でも作りたいんでしょう。 2009/12/11

マスコミってほらね。こうね」っていう物語ブックマーカーによって共同製作されている。

id:kleinteich 方言を理解できずに問いただしたとして何が悪いんだ? 2009/12/11

裁判官が正しい行動をしたことを記事にして何が悪いんだろうか。で、こういう勘違いブコメに☆がたくさん付く。

id:kaeru-no-tsura 方言 「デンシンボウ」は知らんなぁ。で、電柱のことなの? 「デンシンバシラ」なら言うけど。この記事、裁判員制度特集の中に入れられてるけど何が言いたいの? 転勤続きの裁判官地方事情を知らんからダメって話? 2009/12/11

何が言いたいか解らないなら、何も言っていないと思えば良いのに、なぜストーリーを作りたがるのか。

id:nornsaffectio 報道, 司法 すでに複数指摘があるが、この場合問い質されない方がまずい。そんな当然のことをこうして記事にしちゃうあたりに、大新聞の相変わらずの司法リテラシーの低さを感じた。 2009/12/11

まずいまずくないは記事で触れられていない。ただの三文記事に真顔で反論する当たりに、メディアリテラシーの低さを感じる。

id:hotspot0621 裁判官の場合は全国転勤もあるし。朝日新聞は何が言いたいんだ。そんなに記事がなかったのかな?新聞社記者は「全国の方言に対応できる」ってか? 2009/12/11

正解(「そんなに記事がなかった」)が解っているのに、なぜわざわざ誤答を妄想するんだろうか。

id:citron_908 news, ネタ 転勤族の悲劇(?) / 転勤がなければないで「楽してる」とか批判され、転勤で方言が分からなければ世間知らず扱いっていい加減にしてくれませんかねぇ。引越し貧乏の果てにこんな扱いじゃ報われませんって 2009/12/11

これをここで敢えて挙げるのは間違いかもしれないのだけれども。記事が「世間知らず扱い」していることに憤っているとも読め、その場合は一連の誤読者と同じ悲劇に陥っている。

id:gokino2 朝日の敵が未だ公務員であることがよくわかる記事。/わからないことを聞き直せない社会の方が恐ろしい。ましてや法の知識でもなく言葉の確認じゃないか。犯罪者被害者を理解しようとすらしない裁判官を記事にしろ 2009/12/11

id:gokino2が朝日を敵視していることがよくわかるブコメである。三文記事が書けない世の中は恐ろしいし、この三文記事を、「犯罪者被害者を理解しようとすらしない裁判官」の記事と同列において評価してしまう人がいるというのも恐ろしい。

こうしてみると、当初はただの三文記事として読まれていた記事が、「頭の悪いマスゴミ」という気持ちのいいストーリーを示すブコメに乗せられ、マスゴミの頭の悪さを示す記事であるかのように読まれるようになっていったことがわかる。

こういった気持ちの良い物語に流されないのがメディアリテラシーではなかろうか。最後に優れたブコメを示して終える。

id:yoshi1207 言葉 カテゴリが「社会」じゃなくて「地方」だったらほのぼの記事だよなぁ 2009/12/12

 

余談。朝日新聞が本気で問題視報道をするときは、「◯◯な発言として議論を呼びそうだ」といった頭の悪い表現を使う。

2009-11-27

前後ランキング流行語を合体させたら、味わい深い言葉になった。

流行語大賞(文春版)で、前後ランキング言葉を合体させたら、妙に味わいある言葉になった。

毎年この時期になると話題になる流行語。結構どうでもいいけど。

現在発売号の『週刊文春12月3日号( http://www.bunshun.co.jp/mag/shukanbunshun/ )でも、「恒例1000人アンケート 週刊文春2009年流行語大賞」発表!」として、ランキング形式で流行語が特集されている。

掲載されてるランキングは以下の通り。

1 政権交代 / 新政権

2 新型インフルエンザ / パンデミック

3 こども店長

4 婚活

5 トゥース

6 Change! / Yes We Can

7 友愛

8 草食系男子肉食系男子

9 エコポイント

10 侍JAPAN

11 事業仕分け

12 大麻 / 麻薬 / 覚せい剤 / 薬物

13 エコカー減税

14 酒井法子 / のりピー / サイバーのりピー

15 マニフェスト

15 派遣切り

17 定額給付金

18 1000円高速道路

19 あると思います

20 裁判員制度

21 ぼやき

22 わしはこんなとこ来とうはなかった

22 八ッ場ダム

24 あぶり

25 エコ

26 オバマ

26 家電芸人

26 歴女

29 ごめんねごめんね

29 派遣村

この流行語、3位+4位のように、連続したランキング流行語を合体造語すると、なぜか味わい深い言葉になった。

合体例)

3位 + 4位 = 「こども婚活

12位 + 13位 = 「エコカー大麻

15位 + 15位 = 「派遣切りマニフェスト

19位 + 20位 = 「あると思います裁判員制度

21位 + 22位 = 「ぼやき“わしはこんなとこ来とうはなかった”」

26位 + 26位 = 「オバマ芸人

29位 + 29位 = 「ごめんねごめんね派遣村


…うーむ。あまりにも味わい深い。

2009-11-21

書類送検」についてまだまだ誤解が多い

のはマスコミのせいだな半分以上は、と思ってるわけだけど。

「~の容疑で書類送検」みたいなニュースを見て、「何か警察犯罪と認定したんだな」って受け取ってる人、多いよね。

ときどき、逮捕とごっちゃにしてるコメントすら見かける。

違うよ。全然違うよ。

書類送検」って、会社でたとえたら、「稟議書を営業部から役員会に回付しました」みたいなのと同類だってば。

しかも、その営業部長は、自分のところで稟議を揉み消す権限がない。

自分が受け取った稟議書は、全件、自分のハンコを押して役員会(の担当役員の秘書)に届けなきゃいけない。

稟議を通すか却下するかは、全部役員会で決める。

警察は、「立件」(うんたら被疑事件、として事件番号をつけてリストに登録すること)したら、全件、検察に「送致」しなきゃいけない。

これ勝手に揉み消せない。だって法律にそう書いてあるから。(刑訴法の条文は各自当たられたし)

だから、警察で、「うーん、見込みアリと思って捜査してはみたけど、やっぱこれ無罪だわ。てへ」って判断しても、検察にお届けしないといけない。

微罪処分っていう例外はあるけどね。知らなくなくない?みんなググれーコピれー)

そもそも、「送検」(法律用語じゃなくマスコミ用語だけど)には、2種類ある。身柄送検と書類送検

どちらも「事件」を「検察送致する」こと。

身柄事件の場合は、逮捕されてるから、被疑者の身柄と事件記録(録りたてホヤホヤ供述調書等)が一緒に警察から検察に送られる。

しかも逮捕48時間タイムリミットがあるから、だいたい逮捕ニュースの翌日に「きょう送検」って報道

一方、在宅事件の場合、送検のタイムリミットはない。というとウソか。時効はあるけどね。何にしても、ゆったりたっぷりのんびり捜査してる。で、証拠が固まったところで、「送検」する。

在宅事件の場合警察には書類しかない。被疑者ふつうに生活してる。だから、在宅事件では、書類だけ検察に送る。

で、起訴するかどうかは、全部、検察で判断する。

「こんな事件で『書類送検』するなんて、○○県警ひでえ!」みたいな意見がいかにヘンかってこと。

じゃーなんでそういう誤解がマスコミのせいだと思うかというと。

警察は、送検の際には、「送致意見」てのをつける。「これは不起訴でしょうね」「できれば起訴きぼん」「不起訴ダメ。ゼッタイ」とか。

でもねー。マスコミがそこまでちゃんと警察から聞き出して記事にしてないことが多い。多すぎる。故意か過失か知らんけど。

そして、「本日、○○容疑者が~罪の容疑で書類送検」ってだけ報道する。

明らかに不起訴が見込まれ、送致している当の県警でも不起訴が妥当だと思ってるような事件でも、「不起訴見込み」ってことをちゃんと伝えないのがほとんど。

ま、「書類送検」のニュースにはそれだけ裏があるんだから、刑訴法を一から勉強しろとは言わないが、犯罪報道に興味がある奴はリテラシーを磨いてマスコミに釣られないように気をつけなってこった。

んで、そんなこた言われなくたって分かってらいっていう奴は、誤解してる奴にどんどん教えてやれ。やさしくな。

【追記20091121】

ブクマが伸びてるようだしブコメに応答

id:koganei_hyogo 話をややこしくするものとして、(微罪処分にはできないはずの事件について)警察が「立件見送り」をすることがある。なぜか被疑者警察官のときによく見られる現象。

ナイス派生。実際に刑事事件化する価値のない揉め事は多いから、裁量が適切に行使されてる分には問題ないんだが、まあ裁量あるところに不正汚職あり。あと、告訴告発の不受理なんかも、同じく「立件」防止の措置だあね。

id:mfigure 全くのシロでも警察にかかったら、社会から抹殺されてしまうんやねorz

警察は粛々とやってるだけ。8:2か9:1で、「社会から抹殺」される下地を作ってる責任マスコミにあるというのが私見なんだぜ

(1割か2割は警察も悪いとするのは、無罪推定に沿うような送致意見だったら積極的にマスコミに開示しろよ、と言いたいので)

id:Gl17 容疑者てのは犯罪と確定してないから容疑なんだが、ソレで無闇騒ぐから既に「=犯罪者感覚だもんな。

裁判員制度発足を前に、報道各社(特に新聞)がガイドライン作ったはずなんだけどな。埼玉鳥取詐欺女に続いて市橋で完全に視聴者ニーズを背景に吹っ切れたみたいだな。連日気持ちよさそうだ、連中。

id:sichimin 決闘した中学生のことか。

それもあります。でもぞうさんのほうがもっとあります。

id:kenken610 たぶん、逮捕されてなければ基本的に「容疑者」は使わないと思う。

正確な指摘thx。これはうっかり。在宅事件の場合は肩書で報道してるのが一般的なのを失念してました。「~の容疑で△△会社の○○男性社長(48)を書類送検」とかに読み替えplease.

id:MAXjeep つまり書類送検って「悪いことかもしれないから判断してねっ」って渡すことなのかな。

ちょっとニュアンスが違うかも。もっと機械的・事務的な処理。

警察担当者も、自分仕事はさっさと仕上げないと評価に響くわけで。

被疑者本人や目撃者、関係者事情聴取それから実況見分や必要なリサーチヒアリングなんかをしたうえで、検察官に「こんじゃわかんねーよ。補充捜査よろしく」とか言われないくらいに頑張って証拠を揃えて、検察に事件記録の束を送り届けて、やっと一段落

「悪いことかもしれないから判断してねっ」というより、「遅くなり申し訳ございません。ご査収ください。(まあ俺的にはこんくらいが妥当と思ってるぜ、って意見は一応書いて送るけど)貴殿のご判断にお任せいたします」っていうほうが近い?

【さらに追記】

kazutaka_ueyama そもそも判決が確定するまでクロと決めちゃ駄目なのは、身柄送検だって同じでしょ。なんかこれだと逮捕案件犯罪確定でOKと読解できてしまう。

一体どこを根拠に「逮捕案件犯罪確定でOK」なる解釈が出てくるんだか。んでこんなクズコメに☆つけるのまでいるんだか。

id:kazutaka_ueyama氏のブコメはまともなことも書いてるのもちらほら見かけてはいたが、この程度の知ったかクンだったとはね。

2009-10-21

理系学生の悩み

サークルで他学部の奴らと話したりしてると、

法学部の奴だったら、裁判員制度だの最近あった判決のことなんかを

経済学部の奴だったら、円高円安だのサブプライム問題のことなんかを議論してたりする。

ニュースでよくやってることとはいえ、ニュースを見ただけで議論に参加できるわけもなく、いろんな方向に議論が進んでいく中で「なんでこういうときに公的資金を注入するの?」などとは聞けない。

そんな彼らを羨ましく思っている。

これで、ノーベル賞日本人が獲得しました!みたいなニュースだったら、僕が得意げに議論する番になるのかと思いきや、

専門が違ったり、専門が一緒でも高度すぎて理解不能だったりして、大して説明できなかったりする。

そんな僕を恥ずかしく思っている。

2009-09-11

http://anond.hatelabo.jp/20090911164034

最近判決報道は一種の娯楽と化している所ってあると思う

裁判員制度にしても民意を反映すると言うよりは市居の市民

負担を求めると言う感じだしなあ。

2009-09-10

http://anond.hatelabo.jp/20090910153807

殺人事件ってたいがい身内(家族、親戚)が多いと思ったんだけど、

そうだとすれば尊属殺人は、裁判員制度でより執行猶予が付くことになるよな。

少年犯罪厳罰化派のロジックでいうと、

罪が軽いから犯罪を犯すのだから、執行猶予判決が出れば「親殺しがしやすくなる」と思うんだが。

http://anond.hatelabo.jp/20090910135254

法律復讐の為に有るわけない

加害者反省する気があるのか無いのかが本来の争点であるので

こういった同情は良いんだよ(もちろん減刑されすぎるのもあれだけれど)

減刑より裁判員制度によって“復讐”が下される方が怖い。

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