はてなキーワード: 裁判員制度とは
昨今の民主党の数々の失政の最大の原因が、官僚の軽視にあることは論を待たないと思う。
そもそも、「ズブのド素人」である政治家の、安易な思いつきで政治をやることが「リーダーシップ」と勘違いされるに至ったのは、いったい何時頃からなのだろう。既得権益を解体し、ゼロベースの「政治家主導」で政策の優先順位を判断する。ここまではいい。しかし、実際に優先順位を判断し、具体的な施策を決めていくには、専門家の協力が不可欠だったはずだ。
そう、少なからぬ数の官僚が自分の権益を守るために行政を捻じ曲げていたとはいえ、それ以前に、官僚は各政策領域の専門家(エキスパート)なのだ。しかし、民主党は、官僚全てを十把一絡げに「既得権益の象徴」として排除しただけでなく、代わって在野の専門家を味方に付けることもしなかった。
現在の迷走ぶりは、その当然の帰結と言える。どんな「リーダーシップ」も、それを背後で支える多数の専門家の協力無しには成り立たないという当然の話に、何故気付かないのか。
しかし、これら全ての責を民主党に帰すのも、また酷な話であるのかもしれない。なぜなら、こうした専門家軽視の態度は、彼らに限った話でも、今に始まった話でもないからだ。
学者、科学者、技術者、医師、弁護士、裁判官、そして官僚、エトセトラエトセトラ。この十年や二十年、我々の社会はひたすら専門家を貶め、その影響力を削ぐことに邁進してきた。曰く、『あいつらは一般人に理解できない理屈を捏ね回してばかりで、社会常識からかけ離れている』。
裁判員制度などは、その典型だ。「社会常識の無い裁判官に任せてはおけない。市民感覚を反映してこそ、正しく罪を裁くことができる」。法を犯した人間を何百人と見てきた裁判官(=専門家)より、初見の一般市民(=ド素人)の方が正しい判断ができるとは、なんという傲慢だろう。
『いや、そのようなことはない。「はやぶさ」の帰還を成し遂げた科学者や技術者達に、人々は惜しみない賛辞を送っているではないか』と反論する人がいるかもしれない。しかし、それは単に「はやぶさ」の感動的な帰還物語が「一般市民」にも分かりやすく、また自分達との利害の接点が見えにくいからに過ぎない。
果たして、宇宙開発に要するコストが、人々の身近な利害とのトレードオフとして明確に突き付けられた時、それでもなお手のひらを返さずにいる人間が何人いるだろうか。
政権が代わったことで露になったのは、「私は何も口出ししないので良きに計らってくれ。ただし、自分の利害に関わる場合は全力で阻止するけどね」という素晴らしい国民性だった。こうして、自分の狭い視野の範囲内での利害にしか興味のない人々による「総論賛成、各論反対」の前に、あらゆる政策は頓挫することになる。
まぁ、優先度の低い事柄の切り捨てを決断することも「リーダーシップ」の一部に入っているわけで、それすらできない「政治主導」とは何なのか、という話ではある。しかし、そこを押し切る決断ができないのも足腰の弱さ、すなわち専門的知見によるバックアップがない「思いつき駆動政策」の当然の帰結と言える。
こうして、事態はいよいよもって袋小路に陥った。
民主党が、そしてこの国が、今すぐ専門家軽視を改めない限り、次のフェーズとしてやってくるのはウルトラ保守によるバックラッシュ、あるいはカリスマの登場による熱狂と、それに伴う民主主義の崩壊だろう。
更生の可能性は誰にでもあるだと?
問題は、その人を無罪や執行猶予や懲役にした場合、将来、隣人として迎え入れなければならないという点である。
民間人による裁判員制度において重要なのは、前例に従う事や更生の可能性を判断する事や、更生の為の努力を国や保護観察官に求める事ではない。
罪が無い、あるいは、罪を償ったと判断された人と、隣人として付き合っていけるかという点からの判断が、民間人裁判員に求められているのである。
この観点から考えれば、被害者と加害者、どちらが隣人として付き合っていけるかという事以外に、考える事は無い。
隣人として付き合っていける人であれば、情状酌量を認め、そうでない人ならば、求刑を越えてでも死刑を求めるべきであるとなる。
裁判官は、法廷と官舎を往復する生活で、前科者が隣人や職場の同僚や後輩になる可能性がまるっきり無い。それゆえに、性善説で浮世離れした判決を平気で書いてしまう事がある。
民間人裁判員制度は、始まったばかりである。素人の判断には問題があると主張している人がいるようだが、犯罪者の更正において最大の問題は、社会が受け入れるかどうかであり、これは、法曹専門家には判断できない事だから、素人の、市井の人々の、実際に隣人として受け入れる事になる人々の、判断が求められるのである。
無罪や仮出所有りの懲役刑を選択する場合、被告を隣人として受け入れられるかどうかを、改めて問うべきであろう。死刑廃止論者だから死刑にするべきではないが、仮出所されて近所に越してこられるのは困るから、仮出所無しの無期懲役が望ましいなどというのは、刑務所で人間を健康に老衰で死ぬまで生かしておくのにかかるコストを税として負担する覚悟が求められる。
更生の可能性を具体的に考えたければ、自分が同じ犯罪を起こす可能性と、同じと考える事である。この程度の事は、自分でもやってしまうと考えるのであれば、更生の可能性は高くなり、逆に、ここまでひどい事はしないと考えるのであれば、更生の可能性は無いとなる。裁判員には、弁護人の忌避枠によって、女性や若者といった、更生の可能性のような根拠の無い主張に流されやすい人が採用されやすい傾向にあるが、そういう人々にこそ、出所してきた人と隣人として付き合えるのか、健康なままで天寿を全うするまで税金で無駄飯を食わせるのか、といった、本音の議論を与えてみる事である。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/101102/trl1011020259000-n1.htm
>判決を軽々には批判できないにせよ、一方で「やはり死刑判決を避けたのでは」
>という意見もあり得るのではないか。
本心としては「死刑判決を出せないなんて、このヘタレ裁判員め、それでも日本人か!」と
叱咤したいのが産経の「本心」なんだろうが、面と向かっての裁判員批判もできないので、
このような「歯切れの悪い社説」になってるようだ。
で、この裁判員制度、ウェブ上では産経ホームページが、一番「充実」している。
「法廷ライブ」と銘打って、遺族の処罰感情を「ライブ中継」している。
なぜここまで産経が裁判員制度にご執心なのか・・・と訝しがっていたが、
今回の死刑回避判決への産経の批判(?)で、なんとなく、判った気がした。
要は、産経は、「国の強制によって、一般市民が他人の生命を奪う」という
裁判員=国の強制によって一般市民が他人(犯罪者)の生命を奪う判断を行わせる
徴兵制=国の強制によって一般市民が他人(敵国兵士)の生命を奪う判断を行わせる
日本を「戦争ができる普通の国」にしたくてたまらない産経にとっては、
「一般市民が他人の生命を奪わなければいけない徴兵制」を導入させる
「露払い」として、
市民感情を取り入れる目的とされていた裁判員制度も今回は不発に終わったと言う感じだ。
そりゃそうだ。「初の死刑判決か??!!」なんてマスゴミが騒いだら、裁判員だってビビっちゃうわな。
"第一審の判決を尊重する" なんて言われてりゃなおさらだし。
結局マスゴミに操作されるか、マスゴミの悪影響を受けてしまったと言わざるをえない。
関係ないけど、そもそも "耳かき店" と言う風俗ビジネスが成立すること事態が変。
常連客がいるってことは、たぶんこれって性欲の一部からくるものなんだろう。
ただ耳かきしてもらって、トークを楽しむ。そんな欲求があるとはとても思えないからね。
あるとすれば、キャバクラ等のオネエちゃんがいる店には躊躇して行けないような人間くらいかなあ。
ありえん。
裁判員はごちゃごちゃ言って冷静で公正な判断下した体を装ってるけど
人間を麻雀牌同様に扱う法学脳の裁判官の口先に丸め込まれたマヌケであり、
正義の為に自分の手を汚すことの出来ない臆病者のヘタれなだけだろ。
「血を流して必死に泣き叫びながら命乞いをしてた何の罪の無い人に対して
滅多打ち・滅多刺しでぶっ殺してその人とその家族の人生めちゃくちゃに破壊したけど、
計画的じゃないし、反省してるし、被害者はたかだか一人だけなんだから7~8年くらいでいいんじゃね?」
「赦す事は美しいことだからね♪」
「人を恨むのは野蛮人のする事だよ。」
「そんな過去の事はとっとと忘れて前を向いて生きるべき。」
なーんて素晴らしい慈愛に満ちてバランス感覚の優れたクソ野郎共に対する
「あんなクズ野郎とっとと死刑にしちまえ」って思ってるはずだぜ。
「世間の望む量刑にするにはあと0.5ポイント足りないなー。判例的に。
基準が現状に合ってなくておかしいかも知れないけど判例は絶対だから我慢してね。」
みたいな決め方がおかしいって事で裁判員制度が採用されたんじゃねーの?
素人の感覚求めた制度なのに専門家の下手な真似してどーすんだって話だよな。
「人の人生をぶち壊す重犯罪者は絶対に許さん。つーか殺す。」となれば
犯罪コストが非常に高くなり容易に手を出さなくなるだろう。逆に、
「人間、いくら重い罪を犯してもやり直せるから大丈夫だよ。」となれば
真面目に生きる人間はどちらがより住みよい社会なのか一目瞭然だろう。
今回のこの愚かな判決はストーカーが殺人を犯すことに対して一定の理解を示したのであり、
正義に唾を吐いた裁判員は自分で社会を悪い方向へ導いたという罪を恥じて悔いるべき。
事実関係が疑わしいのであれば判断は慎重にすべきであると思う。
しかし、犯行が明らかになっているのであれば法曹関係者の下らない入れ知恵は無視して
どっちの判決が自分の平穏な生活に寄与するかで判断すれば良いであろう。
「凶悪な犯罪者を赦し、自分が被害者になるリスクと共に社会が受け入れること」
「凶悪な犯罪者は厳罰に裁き、自分が被害者になるリスクと共に社会から排除すること」
せっかく手にしたんだから有効に使おうぜ!
http://anond.hatelabo.jp/20100831213758
住民票と現居所の不一致は、20歳に限らず「珍しいことじゃない。」
行政は、「住民票と現住所は一致させるべきものだし、99.9%は一致している前提」
として動いているが、実際は不一致がある。
これは統計を取ったわけではないが、数%はあるようだ。
実際、自分は仕事で某商品を販売し、その際に本人確認を行ったり
定期的に郵便物を送付したりする際に、
「住民票の住所には実際は住んでないから、こっちに郵便送っておいてよ」と
顧客側からオーダーされることが数%ある。
なお、裁判員の呼び出し郵便(当然、住民票住所へ送られる)のうち
数%が「宛所不明」で地裁に戻ってきているようなので、
「数%が住民票住所と居所が一致していない」という推測は、恐らく正しいものと思われる。
行政的には「99.99%の日本人が住民票に現住所を置いているべきだし、実際そうなっている筈だ」
として裁判員制度を設計したと思うが、実際には法曹三者の想定以上の不一致率なんじゃないか?
まあ、そもそも「現居所に住民票を置かないような遵法意識の乏しい市民は、裁判員として不適当」
ということなのかもしれないが。
確か先日、宗教的理由による医療ネグレクトに対する執行猶予付き判決があり、
その判決について、科学リテラシーが高いをされる「はてなの会員」
(通称「はてなー」)がさんざん批判していた。
http://b.hatena.ne.jp/entry/kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20100717-OYS1T00247.htm
そもそもこれ、「裁判員裁判」なんですケド。
つまり、裁判員6人の「科学リテラシー」「ホメオパシーへの許容度」によって、
量刑がガラッと変わってしまう、ということになる。
はてなーは「ホメオパシーに対する憎悪がハンパない」人々なので、
結局、「世間一般はホメオパシーに寛容」なのであり、
自分も「はてなーの一員」でもあるのでこの判決は我慢ならないのだが、
なぜはてなー達が
>本当に毛嫌いしている理由に気づいたら、ソレを書いてもらえると助かります。
自分は自身のホームページで、もう10年前から警告し続けています。
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/7891/coffee/16.html
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/7891/coffee/16-2.html
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/7891/coffee/16-3.html
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/7891/coffee/16-4.html
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/7891/coffee/16-5.html
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/7891/coffee/16-6.html
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/7891/coffee/16-7.html
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/7891/coffee/16-8.html
そして特別ブログ
http://star.ap.teacup.com/0120320354/
>こうして起きてしまった裁判員制度の不備を、はやく直そうで話がまとめられるはず。
まあ「最低限の改良点」を
http://star.ap.teacup.com/0120320354/30.html
から引用しましょう。
~~~~
「「以下の10点を全て改善すれば、初めて裁判新制度を試行てもいいかもしれない」」
「なんでも掲示板」で質問をされたので、
何点か基本的スタンスを記載したいと思います。
>くろださんご指摘の各党のマニフェストに裁判員制度についてどこも触れられていない、
>という話ですが、そもそも管理人氏は裁判員制度について、どの程度反対なのでしょうか?
>(1)裁判は従来のように司法資格を持つ裁判官のみが有罪・無罪を判断し、
>(2)何らかの形で一般市民の裁判への参加は望ましいが、現状の裁判員制度には反対。
>どちらでしょうか?
>もし、(1)だとしたら、自民党から共産党まで、国会に議席を持つすべての党派は
>(1)の主張とは相容れないと思いますが。
>で、(2)だとしたら、どのような制度がよいとお考えでしょうか?
>また、今までもあった市民参加の検察審査会についてのご意見は?
>今まで、管理人氏の裁判員制度批判は山のように聞かされていますが、
>上記のようなごくごく基本的なスタンスがよくわからないのです。
>ただ、反対だ、反対だ、こんなによくないことがある、とおっしゃられても、
>では、どうすればいいのか、をぜひお聞かせいただきたく。
1.少なくとも、現状の「辞退の自由を認めない」制度設計は、明白に違憲であり、
辞退の自由を認めるような制度変更を行うことが「最低限の絶対条件」。
これを前提としない以上は、当方は改善議論に応じる気は全くありません。
即刻「辞退の自由」を認めた上で(現在進行中の裁判も含め)、以下の改善を施す。
2.次に、日当が大幅に低いため、
判事の日給+精神的負担分の日当(合計5万円程度)に引き上げるべき。
3.また、「従業員が参加OK」であっても「勤務先が参加に反対」の場合においては、
参加しなくていい制度にする。
また、「お礼参り」抑止のため、警察が一定期間は候補者宅を警護する。
7.量刑判断は行わない。
10.費用対効果を考えれば、1審の裁判全てにこれを適用するのは
(大半の裁判は、被告人が罪状を認めている「シャンシャン裁判」が多い)
なので、2審もしくは最高裁を適用対象に変更する。
また、検察審査会については、これも強制参加規程を廃止します。
・・・のような改善を行ったうえで、2~3年間試行した上で、問題点をピックアップして、
「続けるか?やめるか?」を決める。
1.~10.の「当たり前の改善策」を行ったうえでも、
小生は「推定無罪の原則等を知らない一般市民に裁判参加させるのは、
デメリットがメリットを上回っているのではないか?」と疑念を感じています。
ただ、あくまで根拠なき疑念ですので、2~3年の試行期間で、これを検証するのは「アリ」だと思います。
重箱の隅をつく的な論理展開ですね。
裁判員制度によって起こった一部の出来事の結果をもってして、
裁判員制度そのものがうんたら・・・と語るのは、重箱の隅をつついているだけに思える。
メリット、デメリット、導入以前、導入後などなど色々な面から眺めてみたらいかがですか。
印象だけど、
そもそももっと別の理由で、裁判員制度そのものが嫌いで、良くないと思ってる印象をうけた。
そうじゃなかったら、こうして起きてしまった裁判員制度の不備を、はやく直そうで話がまとめられるはず。
本当に毛嫌いしている理由に気づいたら、ソレを書いてもらえると助かります。
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.asahi.com/national/update/0512/TKY201005110527.html
>横浜地裁(朝山芳史裁判長)で11日あった強盗強姦(ごうかん)事件の裁判員裁判で、
>検察側は、元病院事務員の新谷大和被告(35)=横浜市旭区=が被害者の顔を
>「裁判員制度になったから、おれが捕まったらみんなが顔を見るぞ」と口止めしていたと主張した。
『画像を裁判員に見せるぞ』という脅迫を女性に行うことによって、
泣き寝入りさせられる公算が高い」
と思ったから、犯罪に及んだのではないか?
つまり、
「裁判員制度が強姦犯罪そのものを誘発する」という本末転倒な事態に
陥っている。
裁判員制度導入前だったら強姦犯行を躊躇していたかもしれない男性が、
「裁判員裁判でバラスぞ!という脅迫手段」を手にしたことによって
凶行に及んでしまうのである。
・・・わいせつ物じゃないんですよ。
少なくとも、「この時代の社会通念」では。だから摘発されない。
それを判断するのは、あなたでも、私でもなく、裁判所でしょ?
つまり、「わいせつ物じゃない」と決めるのはあなたじゃなくて、裁判所でしょ?
ここでは裁判所はひとまず置いておいて、"あなた"、本当に、コミック LO がわいせつでないと、
繰り返しますが、本当に思ってるんですか?
少なくとも、「この時代の社会通念」では。だから摘発されない。
松文館裁判では最高裁の上告不受理によって有罪が確定して、少なくとも漫画「密室」はわいせつ物だと認定されて、
そのうえで、本当に、あなたはコミック LO がわいせつでないと、本当に、思ってるんですか?
# 裁判所の判断ではなくて、あなたが条文、判例、社会通念からどう判断するかでお願いします。
なお、私はわいせつ物だと思っていますが、法を公正・中立に運用するためにもこの法は運用上の欠陥を孕んでおり、
もう規制なんて諦めなよ? と声を大にして言いたいと思います。
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.asahi.com/national/update/1210/NGY200912100006.html]
記事自体は、
id:koabe: この手の「こぼれ話」って昔から紙面に載っているけれど、あまり知られていないのかなあ。
という感じの話。方言が裁判官に伝わらなくてビミョーな雰囲気になったという、審理の一コマを描いただけのもの。
ブコメも、当初は記事と同じような、方言にまつわる感想文が並ぶ。
最初に出てくる朝日叩きはこれ。
id:gingin1234 どうでもいいが、記事にするようなことか? 2009/12/11
このブコメが基本的に的外れなことは、冒頭に示したブコメが端的に表している。新聞記事は大事な事件以外載せてはいけないというものではない。
が、まぁ、id:gingin1234はマジメな人で、新聞には真面目な記事しか載せちゃいけないと思っているのだろう。
id:kyo_ju 司法, 日本語 どういう意図でニュースにしたのかよくわからない。裁判官は何でも知ってて当たり前とでも?/聞き返すときの態度の悪さが目立った可能性もあるけど、記事の描写だけではそこまで伝わってこない。 2009/12/11
ここに至り、「ニュース価値が無い」という感想文に、「朝日が裁判官を叩いている」という前提が付与される。(だからこそ、「とでも?」と、これをニュースにした記者に対し攻撃的な口調が取られている。)
が、この新たに登場した前提は伝染して行く。
id:mustelidae 自分が知らない言葉に出くわしたときのこの裁判官の態度が不快な感じだった、ってことかな。 2009/12/11
裁判官の態度が不快な感じだったという記事を朝日が書いているかのような感想。
id:manysided law, 裁判官 方言ならまだいい。女性の服装とか全くわかってない裁判官がわんさかいる。破くの趣味で安物ストッキングしか知らないだろう変態裁判官=長谷川憲一。再犯するだろうに、許せない。マスコミこういうのを問題視しろよ 2009/12/11
このニュースの記者自体を叩いてはいないが、ここに来て記事が「問題視」であることが明白に暗示されている。当初は「ほのぼの記事」として読まれていた記事が「的外れな問題視報道」という問題報道として読まれるようになる。
以後のブコメには、留保無しに、問題視報道を問題視するものが散見されるようになる。
id:delcoss 被告人供述は公文書として調書化されるんだから標準語ではっきりさせたんだろ 当たり前の行為だ 2009/12/11
「当たり前の行為だ」という表現から、「当たり前の行為をあたかも問題であるかのように報道する朝日新聞けしからん」というニュアンスがありありと読み取れる。「だろ」「だ」といった断定的な語尾が、記事に対して向けられている。記事に描かれた事象に対するブコメの多くが軟らかい表現を使っているのと好対照を為している。
id:koganei_hyogo 法曹, 裁判官 さすが全知全能の朝日新聞社様は言うことが違いますね。 2009/12/11
なかなか性格の悪い言葉遣いをする人である。「朝日新聞社様」は何も言っていないのだけど、id:koganei_hyogoの妄想は止まらない。勝手にメタな読み方を始めて勝手に怒りだす、はてな脳の見本のような行動だ。
id:SL230 一般ニュース, よくわからん 分からないから聞いた裁判官の何処が悪いんだ?分からずに進められる方が問題だろ。 2009/12/11
タグに「よくわからん」とあるが、自分の妄想を「よくわからん」と言われても困るだろうに。
そこでスルーしなかった裁判官の姿を描いただけの記事なのだけれども。
id:sinngetu language "庶民にとって当たり前の言葉すら知らない浮世離れした裁判官"的な記事にしたかったのかしら 2009/12/11CommentsAdd Star
というような記事だということにしたがっているはてなブックマーカーが多いのです。
id:waterperiod NDC8, 言語, 岐阜県 方言知らない=よそ者=排除or見下して良い、という思考チャートの黙認。なんか嫌。 2009/12/11
id:waterperiodの言うような思考チャートは、一部ブコメの仮想敵はともかく、記事には無かろう。新聞記事=問題視報道、という思考チャート。
id:Nigitama でっていうwww 「この記事の意味が理解できるのは記者とデスクだけ、ネット上で問いただされる」 2009/12/11
実際には、初期のブコメは普通にこの記事の意味を理解できている。まぁ、この記事の意味を曲解するのはid:Nigitamaだけではないので安心すれば良い。とりあえず増田上で問いただしてみるけれども。
どこに記者の無恥が曝されているだろうか。ブコメがかえって自身の無智を曝しているのが香ばしい。
id:straymind *社会, 司法 「高学歴で転勤族で居丈高でアドバイスしてくれる友達も同僚も居ない裁判官と司法業界ってほらね。こうね」っていう物語でも作りたいんでしょう。 2009/12/11
「マスコミってほらね。こうね」っていう物語がブックマーカーによって共同製作されている。
裁判官が正しい行動をしたことを記事にして何が悪いんだろうか。で、こういう勘違いブコメに☆がたくさん付く。
id:kaeru-no-tsura 方言 「デンシンボウ」は知らんなぁ。で、電柱のことなの? 「デンシンバシラ」なら言うけど。この記事、裁判員制度特集の中に入れられてるけど何が言いたいの? 転勤続きの裁判官は地方の事情を知らんからダメって話? 2009/12/11
何が言いたいか解らないなら、何も言っていないと思えば良いのに、なぜストーリーを作りたがるのか。
id:nornsaffectio 報道, 司法 すでに複数指摘があるが、この場合問い質されない方がまずい。そんな当然のことをこうして記事にしちゃうあたりに、大新聞の相変わらずの司法リテラシーの低さを感じた。 2009/12/11
まずいまずくないは記事で触れられていない。ただの三文記事に真顔で反論する当たりに、メディアリテラシーの低さを感じる。
id:hotspot0621 裁判官の場合は全国転勤もあるし。朝日新聞は何が言いたいんだ。そんなに記事がなかったのかな?新聞社の記者は「全国の方言に対応できる」ってか? 2009/12/11
正解(「そんなに記事がなかった」)が解っているのに、なぜわざわざ誤答を妄想するんだろうか。
id:citron_908 news, ネタ 転勤族の悲劇(?) / 転勤がなければないで「楽してる」とか批判され、転勤で方言が分からなければ世間知らず扱いっていい加減にしてくれませんかねぇ。引越し貧乏の果てにこんな扱いじゃ報われませんって 2009/12/11
これをここで敢えて挙げるのは間違いかもしれないのだけれども。記事が「世間知らず扱い」していることに憤っているとも読め、その場合は一連の誤読者と同じ悲劇に陥っている。
id:gokino2 朝日の敵が未だ公務員であることがよくわかる記事。/わからないことを聞き直せない社会の方が恐ろしい。ましてや法の知識でもなく言葉の確認じゃないか。犯罪者や被害者を理解しようとすらしない裁判官を記事にしろ 2009/12/11
id:gokino2が朝日を敵視していることがよくわかるブコメである。三文記事が書けない世の中は恐ろしいし、この三文記事を、「犯罪者や被害者を理解しようとすらしない裁判官」の記事と同列において評価してしまう人がいるというのも恐ろしい。
こうしてみると、当初はただの三文記事として読まれていた記事が、「頭の悪いマスゴミ」という気持ちのいいストーリーを示すブコメに乗せられ、マスゴミの頭の悪さを示す記事であるかのように読まれるようになっていったことがわかる。
こういった気持ちの良い物語に流されないのがメディアリテラシーではなかろうか。最後に優れたブコメを示して終える。
流行語大賞(文春版)で、前後ランキングの言葉を合体させたら、妙に味わいある言葉になった。
毎年この時期になると話題になる流行語。結構どうでもいいけど。
現在発売号の『週刊文春』12月3日号( http://www.bunshun.co.jp/mag/shukanbunshun/ )でも、「恒例1000人アンケート 週刊文春版 2009年「流行語大賞」発表!」として、ランキング形式で流行語が特集されている。
掲載されてるランキングは以下の通り。
3 こども店長
4 婚活
5 トゥース
6 Change! / Yes We Can
7 友愛
9 エコポイント
10 侍JAPAN
11 事業仕分け
13 エコカー減税
15 マニフェスト
15 派遣切り
17 定額給付金
19 あると思います
20 裁判員制度
21 ぼやき
22 わしはこんなとこ来とうはなかった
22 八ッ場ダム
24 あぶり
25 エコ
26 オバマ
26 家電芸人
26 歴女
29 ごめんねごめんね
29 派遣村
この流行語、3位+4位のように、連続したランキングの流行語を合体造語すると、なぜか味わい深い言葉になった。
合体例)
3位 + 4位 = 「こども婚活」
19位 + 20位 = 「あると思います裁判員制度」
21位 + 22位 = 「ぼやき“わしはこんなとこ来とうはなかった”」
29位 + 29位 = 「ごめんねごめんね派遣村」
…うーむ。あまりにも味わい深い。
のはマスコミのせいだな半分以上は、と思ってるわけだけど。
「~の容疑で書類送検」みたいなニュースを見て、「何か警察が犯罪と認定したんだな」って受け取ってる人、多いよね。
違うよ。全然違うよ。
「書類送検」って、会社でたとえたら、「稟議書を営業部から役員会に回付しました」みたいなのと同類だってば。
しかも、その営業部長は、自分のところで稟議を揉み消す権限がない。
自分が受け取った稟議書は、全件、自分のハンコを押して役員会(の担当役員の秘書)に届けなきゃいけない。
稟議を通すか却下するかは、全部役員会で決める。
警察は、「立件」(うんたら被疑事件、として事件番号をつけてリストに登録すること)したら、全件、検察に「送致」しなきゃいけない。
これ勝手に揉み消せない。だって法律にそう書いてあるから。(刑訴法の条文は各自当たられたし)
だから、警察で、「うーん、見込みアリと思って捜査してはみたけど、やっぱこれ無罪だわ。てへ」って判断しても、検察にお届けしないといけない。
(微罪処分っていう例外はあるけどね。知らなくなくない?みんなググれーコピれー)
そもそも、「送検」(法律用語じゃなくマスコミ用語だけど)には、2種類ある。身柄送検と書類送検。
身柄事件の場合は、逮捕されてるから、被疑者の身柄と事件記録(録りたてホヤホヤの供述調書等)が一緒に警察から検察に送られる。
しかも逮捕は48時間のタイムリミットがあるから、だいたい逮捕のニュースの翌日に「きょう送検」って報道。
一方、在宅事件の場合、送検のタイムリミットはない。というとウソか。時効はあるけどね。何にしても、ゆったりたっぷりのんびり捜査してる。で、証拠が固まったところで、「送検」する。
在宅事件の場合、警察には書類しかない。被疑者はふつうに生活してる。だから、在宅事件では、書類だけ検察に送る。
「こんな事件で『書類送検』するなんて、○○県警ひでえ!」みたいな意見がいかにヘンかってこと。
じゃーなんでそういう誤解がマスコミのせいだと思うかというと。
警察は、送検の際には、「送致意見」てのをつける。「これは不起訴でしょうね」「できれば起訴きぼん」「不起訴、ダメ。ゼッタイ」とか。
でもねー。マスコミがそこまでちゃんと警察から聞き出して記事にしてないことが多い。多すぎる。故意か過失か知らんけど。
そして、「本日、○○容疑者が~罪の容疑で書類送検」ってだけ報道する。
明らかに不起訴が見込まれ、送致している当の県警でも不起訴が妥当だと思ってるような事件でも、「不起訴見込み」ってことをちゃんと伝えないのがほとんど。
ま、「書類送検」のニュースにはそれだけ裏があるんだから、刑訴法を一から勉強しろとは言わないが、犯罪報道に興味がある奴はリテラシーを磨いてマスコミに釣られないように気をつけなってこった。
んで、そんなこた言われなくたって分かってらいっていう奴は、誤解してる奴にどんどん教えてやれ。やさしくな。
【追記20091121】
id:koganei_hyogo 話をややこしくするものとして、(微罪処分にはできないはずの事件について)警察が「立件見送り」をすることがある。なぜか被疑者が警察官のときによく見られる現象。
ナイス派生。実際に刑事事件化する価値のない揉め事は多いから、裁量が適切に行使されてる分には問題ないんだが、まあ裁量あるところに不正・汚職あり。あと、告訴や告発の不受理なんかも、同じく「立件」防止の措置だあね。
id:mfigure 全くのシロでも警察にかかったら、社会から抹殺されてしまうんやねorz
警察は粛々とやってるだけ。8:2か9:1で、「社会から抹殺」される下地を作ってる責任はマスコミにあるというのが私見なんだぜ
(1割か2割は警察も悪いとするのは、無罪推定に沿うような送致意見だったら積極的にマスコミに開示しろよ、と言いたいので)
id:Gl17 容疑者てのは犯罪と確定してないから容疑なんだが、ソレで無闇騒ぐから既に「=犯罪者」感覚だもんな。
裁判員制度発足を前に、報道各社(特に新聞)がガイドライン作ったはずなんだけどな。埼玉と鳥取の詐欺女に続いて市橋で完全に視聴者のニーズを背景に吹っ切れたみたいだな。連日気持ちよさそうだ、連中。
id:sichimin 決闘した中学生のことか。
それもあります。でもぞうさんのほうがもっとあります。
id:kenken610 たぶん、逮捕されてなければ基本的に「容疑者」は使わないと思う。
正確な指摘thx。これはうっかり。在宅事件の場合は肩書で報道してるのが一般的なのを失念してました。「~の容疑で△△会社の○○男性社長(48)を書類送検」とかに読み替えplease.
id:MAXjeep つまり書類送検って「悪いことかもしれないから判断してねっ」って渡すことなのかな。
警察の担当者も、自分の仕事はさっさと仕上げないと評価に響くわけで。
被疑者本人や目撃者、関係者の事情聴取、それから実況見分や必要なリサーチ・ヒアリングなんかをしたうえで、検察官に「こんじゃわかんねーよ。補充捜査よろしく」とか言われないくらいに頑張って証拠を揃えて、検察に事件記録の束を送り届けて、やっと一段落。
「悪いことかもしれないから判断してねっ」というより、「遅くなり申し訳ございません。ご査収ください。(まあ俺的にはこんくらいが妥当と思ってるぜ、って意見は一応書いて送るけど)貴殿のご判断にお任せいたします」っていうほうが近い?
【さらに追記】
kazutaka_ueyama そもそも判決が確定するまでクロと決めちゃ駄目なのは、身柄送検だって同じでしょ。なんかこれだと逮捕案件は犯罪確定でOKと読解できてしまう。
一体どこを根拠に「逮捕案件は犯罪確定でOK」なる解釈が出てくるんだか。んでこんなクズコメに☆つけるのまでいるんだか。
id:kazutaka_ueyama氏のブコメはまともなことも書いてるのもちらほら見かけてはいたが、この程度の知ったかクンだったとはね。
サークルで他学部の奴らと話したりしてると、
法学部の奴だったら、裁判員制度だの最近あった判決のことなんかを
経済学部の奴だったら、円高円安だのサブプライム問題のことなんかを議論してたりする。
ニュースでよくやってることとはいえ、ニュースを見ただけで議論に参加できるわけもなく、いろんな方向に議論が進んでいく中で「なんでこういうときに公的資金を注入するの?」などとは聞けない。
そんな彼らを羨ましく思っている。
これで、ノーベル賞を日本人が獲得しました!みたいなニュースだったら、僕が得意げに議論する番になるのかと思いきや、
専門が違ったり、専門が一緒でも高度すぎて理解不能だったりして、大して説明できなかったりする。
そんな僕を恥ずかしく思っている。