2021-06-27

奇跡が起きるのは思っているより多いのかもしれないという話

俺は海沿いの街で暮らしていて、二日に一度くらいの割合仕事が終わってから浜辺に焚き火台を出して一人で何時間も火を焚いているという、あんまり頭の良くない趣味を持っている。

職場から家に帰ってきて焚き火台と薪を持って浜まで行くと、始められるのがおおよそ19時過ぎで、何回もやっているくせに木が炭になる時間感覚いまいちかめないのもあって、「俺はい焚き火をやってるな」と実感できる数の薪を燃やしていると綺麗に燃え尽きるのが21時半ぐらい、それからようやく夕飯を食べ始めるのでやっぱり馬鹿なんだと思う。

季節で日が落ちるのが遅いけれども、灯りのあまりない海岸なので、20時を過ぎるとかなり暗くなる。自動車道路を行き交う音と海鳴りが聴こえる闇の中にいるのは俺だけ…では意外となくて、砂浜に降りてくる道のコンクリート舗装された突端に、よく誰かが二人で座っていたりする。

それは必ずしも決まった人たちではなく、異性のペアだったり同性だったりする。恋人だったり友人だったり、他人があれこれ言う組み合わせではなかったり、色々あるのだろうと俺は思う。

ところで、2時間以上も一人で焚き火の薪をつつき回している俺が言うのもなんだが、夜間、硬いコンクリートに座りながら暗い海を二人でずっと眺めているというのは、不思議時間の使い方に思える。

別に聞き耳を立てているわけではないから、本当の雰囲気などわからないのだが、楽しくて仕方がないという具合に談笑している感じでもないのだ。ただ静かに二人で一緒にいるだけ、というように見える。

ハタから見ていて、俺はいつも、まるで奇跡みたいな関係性だな、と考えてしまう。彼女・彼らは毎回同じ二人組ではないので、その組み合わせが意味するところも当然いつも異なるわけだが、ああやってただ二人で海を眺めていられる関係性がこの世で成立しうるんだな、と驚いてしまう。

俺には、こういう時間の過ごし方を共有できる誰かがいるなんて信じられない…のは半分本当、半分嘘で、学生の頃に好きな女子デートしてるときとかは、緊張でろくに話ができなくても、2時間3時間があっという間に吹っ飛んでたな、とも思う(相手の方がどう感じていたかはわからないが)。アインシュタイン相対性理論のたとえ話で語った(とされる)ストーブ女の子の例えと一緒だ。

よく考えてみたら、一番仲の良い友達とだったら、俺にも海で同じことができる気もする。思い出話と「暗っ」「寒っ」だけで海で2時間つぶせるかもしれない。

そうすると、ああい関係性は俺たちの人生で意外と多く起きているのか。母数の大きな現象奇跡表現するのは矛盾しているわけだが、実際に目にする夜間の海に向き合う二人の人間の寒々しさとお互いの信頼感みたいなもの雰囲気は、第三者から見ると、やっぱり奇跡と呼びたくなる非現実感がある。

おい、お前らはい奇跡を起こしてるぜ、と俺は焚き火の世話をしながら思う。俺たちの人生は、上手く何かがかみ合えば、時々ああいうことを起こしうるらしい。

ただ、ああいうことはきっと若いうちだけなんだろうな、という気もする。

個人で言えば恋愛方向で同じことをやろうとしたら、もう気恥ずかしいわ相手にも迷惑だわでやりようがないし、友達だっていつか厳しくなるだろう。それが身体的に老いていくせいなのか、精神の方に齢とともにへばりついてくる余分なものがあるせいなのかはわからないが、俺の人生でああいうことができる機会と相手は、減りこそすれど増えることはおそらくないという予感がある。

それも含めて奇跡なんだろうと思う。ただ希少というだけではなく、人生のある時期を越えると、もう二度と起きることがないという意味で。

からと言って慌てて友達に「おい、海行かねえか」というわけにもいかないので、まあ昨今の状況が落ち着いてお互いにワクチンの接種が終わったあたりで呑みに行きたいな、といま思った。なにしろアルコールありなら2時間どころか時間制限でしゃべれるのだ。その関係だって、いつまで続くかはわからないが。

なお、自治体によって浜や水辺での焚き火ルールが違うので、焚き火台は必須として、細かいまりHPなどで確認した方がよいので付記しておく(ただ、そんなことをわざわざ電話で聞いてくるやつとなるとあまりいないらしく、以前あるところに口頭で質問したときは、大層困惑させてしまい恐縮した。まあ責任とか所掌かいろいろめんどくさいのだと思う…)。

追記トラバで指摘いただきましたが、母数でなくて分母・分子関係でいう分子ですね。すみません

  • 現実的で申し訳ないが、夜の海なりでかい湖・川なりってのは落ち着くんだよ 異性関係にかぎらず友人同士でも何時間も言葉少なに座ってたりすることあるよ

  • 海っペリに住んで焚き火しても世間体と言うか、世俗を捨てられないもんなんだな。

  • 雨の日や風の日はできないから結局天気が良ければほぼ毎日浜辺で焚き火してるわけだろ 頭が良くないとかじゃなくてはっきり異常だよお前

    • 異常なのは雨の日も風の日も増田に張り付いているお前だろ 言わせんなよ恥ずかしい

  • 俺から見ると、それって極めてマトモで贅沢な時間の過ごし方に見える。そうやってじっくり味わって時間を過ごすってのも意義のある人生の使い方だよ。

  • ちょっとした掌編小説みたいだ。増田の書く文章は素敵だね。

  • さすがにこの増田には母数警察も絡んでいないようだ

    • 読み直してて、起きうる可能性の中で実際に発生した事例を言ってるんだから、分子じゃんな、と思いました。すみません。

  • タイトルの日本語がおかしいから読む気起きない

  • 海沿いで暖がある状態で時折火がパチパチする音を聴きながら打ち寄せる波と煌めく星を楽しめるとはね 割と言葉の要らない環境なのではなかろうか   まぁ普通に増田がやってること...

  • インプットが少なければアウトプットが少なくなるからね 複雑で多様な一日を共有すればそれだけすれ違いの発生も多くなるけど 同じものずっと見てたら出てくる感情も少なくなるから...

  • いいエッセイ読ませてもらった。ありがとう。

  • 良い文だなあ。

  • 内容はともかく良い文はないわ ド下手くそだし

  • 焚き火おじさんのオナニーじゃん 最近わらわら湧き出した焚き火おじさんのオナニーじゃん

    • オナニーまではいうつもりはないが、まあポエム好きで村上春樹好きな感じは伝わるねw スタバでMac開くタイプ

    • オナニー上等やん。オナニーって大事なんやで。あんたオナニーせえへんのか?

  • 日に1億分の1の確率で起きる出来事が奇跡だと仮定すると、世界人口が78億人いるから毎日奇跡は78件起きていることになる。 起きるから陳腐って言うんですよ。

    • お前高卒か文系だろ? 確率の授業を受けてれば高校生でもわかる話だな

  • 「若いうちだけ」ではなくて、多分、「年を取ってから」もその奇跡のような時間の使い方が出来るのだと思う そう考えると、社会に出ている間は奇跡を起こしづらいのかもしれないな

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  • なんか思ってた「奇跡」と違った

  • 頻繁に起きる奇跡のどれかをがっしり掴んで自分の元に留めた人間が幸せになるんやで

  • なんだかいい雰囲気の文章だ

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