2020-11-25

彼との馴れ初め。

もう何年も前の事。

大学4年の春先ぐらいだったか、私には親しくしていた男性が2人いた。

仮にAとBとする。

Aはいわゆる陽キャ

いかにも大学生活を楽しんでいる感じだった。

私も遊んでいると陽キャの仲間入りをした気分になっていた。

Bはバイト先の先輩だった。

物腰が穏やかで、おっとりゆっくり仕事をするけど、趣味の話になると口数が増えた。

私も似たような趣味を持っていたので会話は弾んでいた。

ある日、Aと2人で飲みに行った日にAから告白されて付き合う事になった。

正直に言うとBにも好意を持たれている事は薄々勘づいてはいたけれど、見て見ぬふりをしていた。

Aとのお付き合いは……正直あまり楽しくなかった。

そもそも、私のような陰と彼のような陽の相性が良いわけなかった。

私は紛うことなオタクである

しかも腐った趣味を持ってから十数年と筋金入りだ。

見た目だけは気にして整えてはいるけど中身はただの陰キャである

彼は私の趣味にも理解を示そうとしてくれていた。

私の部屋にあった書籍類を見ても引かなかったし、

なんなら「これ知ってるキャラだ」とか言ってくれてた。

オススメの本貸してよー」とも言ってくれてた。

一緒に本屋さんに行った時の事である

漫画コーナーを見てると、彼が指を指して言うのである

「あ、これ知ってるやつだ」

「これも見たことある、〇〇だよね」

「あれもアニメになってた奴だよね」

オタクはにわかを嫌う生き物である

知ったかであるか否か。

エアプであるか否かを判断する能力がずば抜けている生き物である

証拠はなくても、何となく鼻につくのである

残念ながら彼のそれも例に漏れなかった。

正直かなりイラッとした。

理不尽まりないとは思うけど、その日から連絡を取る回数を極限まで減らした。

Aに対しモヤモヤしている間、Bの事を考えることが増えた。

Bだったら某ロボアニメの事を深いところまで話ができるのに。

Bだったら一緒にプラモとか作れるのに。

Bなら一緒にいて苛立つことはないのに。

Bに会いたいなぁ、と思うことが増えた。

あれ、私Bのことめっちゃ好きやん。

私はAにお別れを告げた。

Bの事好きだったのにAを弄んだ悪女である

本当に申し訳ないと思った。

Aとお付き合いをしている間、Bと連絡を取る

回数を減らしていた。

もちろんバイトシフトが被れば話はしていたが。

Aの話はしていなかったが、彼氏がいた事は気付いていたのかもしれない。

また、突然LINEの頻度が爆上がりした事で別れた事は察していたのかもしれない。

ある日。

シフトが被った際、公開中の映画の話になった。

Bは既にその映画を観ていたが、私はまだ観ていなかった。

「えーーーいいなぁ行きたい私も行きたい」みたいな感じでバタバタしていたら、

「あの、良かったら一緒に行きませんか」とお誘いが。

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!と思った。(古)

穏やかで如何にも奥手って感じのBからお誘いが来てめっちゃテンション上がった。

が、遠慮がちに「ええ、でも1回観てるんでしょう?いいんですか?」とか聞いた。

「もちろん。何回観ても面白い映画だと思うし」

ってBは穏やかに笑った。

正直なんかめっちゃ惚れた。

さてデート当日。

ファッションセンスは……って感じのBだが、

頑張ってお洒落して来たんだなぁって格好をして現れた。

似合っているかどうかはお茶を濁すとして、

試行錯誤してくれた事が分かってほんわかした。

何事もなく映画を見終わって、

ご飯を食べながら映画の話をして、

ぶらぶらとウィンドウショッピングをして。

夜、ドライブがてら海の見える公園まで来た。

浜辺まで歩いて出てきた。

ここまで穏やかにのほほんとお喋りをしてきた彼だが、

公園に着いた途端口数が激減した。

可愛い

汗を拭いたりしている。

可愛い

明らかに挙動不審である

物凄く可愛い

可愛いけど、ちょっと助け舟を出したくなった。

もしかしてなんですけど、何かお話があってデートに誘ってくれたんじゃないですか?」

「う……やっぱり分かりますよね」

はい、聞くまで私帰りませんよ」

彼はちょっと笑ってから

「好きです、付き合ってください」とお決まりフレーズを言った。

お決まりフレーズが嬉しくて爆発したので、

了承の返事とともに思わず抱きしめてキスしてしまった。

彼はめちゃくちゃ照れまくっていた。

どうやら初めてだったらしい。

ここから彼の初めてを奪いまくるのだが、割愛する。

というわけで、今年Bと入籍した。

来年挙式予定だけど、無事挙げれたらいいな。

未だに「初めて本気で好きになった人と結婚するとか2次元だけかと…」とか言うので今日も愛を囁いてきました。

おしまい

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