2020-06-11

おっさんが初めて空を飛んだ話

三十路半ばで、生まれて初めて飛行機に乗りました。

幼い頃から機会は何度かあったものの全てフイになっていました。

マリンジャンボの抽選は外れたし、スーパー懸賞旅行は「金がない」と両親だけが行った。

狂人ハイジャック事件が起きて、修学旅行長野県スキー場になってしまった。

弟は部活試合北海道へ行ったし、妹は豪州ホームステイ

送迎や仕事空港へ行った事は数あれど、家族の中で空を知らないのは僕だけとなっていました。

もうこりゃ空と縁がないのだろうと思っていたし、「今更何だってんだ」と意地にもなっていました。

職は変われど働き詰めであまり余裕も暇もなかったのです。

ところが、こんな時期に仕事離島へ行く事に。

まれて初めて「搭乗客」としてやってきた国際空港

梅雨時とは思えぬ快晴猛暑日

疫病で閑散とした広大なターミナルを歩いていきます

無人カウンターで発行されたチケット簡素レシートのような紙。

腰にベルトを着けたままでブザーを鳴らしてしまった保安検査

画面や本の中で数え切れぬほど見て聞いて読んできた風景です。

現実感の無さと過去の巡り合わせの悪さと興奮がない交ぜになりつつ搭乗を待ちます

アナウンスが鳴り、列に並ぼうとしますが席は通路側。

並んだ搭乗客の列はいしか通路から屋外へ。

エアバスA320。それが初めて乗る飛行機でした。

古式ゆかしいタラップ車の階段を登って機内へ。

荷物棚にカバンを入れ、窓際の座席へ。

同行者の好意で、座席右翼側の窓際です。

椅子は硬めで前後は広いとは言えませんが、おっさんは車が好きなのでこうしたタイト空間は苦になりません。

シートベルトを締めてその時を待ちます

さな窓の外に見える銀色の翼。

嗚呼自分は本当に飛行機の機内にいるんだなぁ。

アナウンスが鳴り安全確認、続いてCAさんの救命胴衣の実演。

形は変われど、昔から画面で見てきた光景のもの

遠退いていた現実感が徐々に戻り始めます

時間にして数分後、後ろから轟音が響き窓の外の風景ゆっくりと動き始めました。

昔働いていた工場にあったジェットヒーターのような音。

これがジェットエンジンなのかと思っていたら、続けてさらなる轟音が響き渡ります

APUを使ったジェットエンジン始動

窓の外の景色も移り変わり、そして止まる。

エンジンの轟音は更に響き渡り、機体は加速開始。

脳裏に浮かぶのは加速が自慢な過去の愛車。

いや、それ以上です。

僕にとって飛行機は今まで乗ったのりものでは最速のはずですから

縦揺れを感じながらの加速を経て、浮遊感を感じました。

あっという間に窓の外から地面が消えて離陸。

すごい、飛んでいる。

それまで自分情報データしか知らなかった速度で、みるみると機体は上昇していきます

窓の外の風景はあっという間に航空写真衛星写真のような風景に…

こうして初めて、おっさんは空を飛んだのでした。

隣席の同行者曰く、まるで子供を見ているようだったと。

座席を譲ってくれた同行者には頭が上がりません。

こんなよくわからない文を読んでくれて有難う。

  • ジェットストリーーーーム

  • 古式ゆかしい と 奥ゆかしい が混じってるぞ。 たぶん前者の方だけが言いたかったんだろうけど。

    • 思いっきり校閲失敗してましたね、これ。本当に申し訳ないです。ごめんなさい。

  • 夢の中でタケコプターみたいなので実際に空を飛んだことあるんだけど、足元に床がないのに高所にいる状態が違和感ハンパなくてメチャクチャ怖いし上空は風がムチャクチャ強いしで...

  • スーパーの懸賞旅行は「金がない」と両親だけが行った。 ここで涙が止まらなくなりその先が読めなかった

  • 「APUを使ったジェットエンジンの始動」って耳で分かるんか。激マニアック。

  • おもしろい。 今度は長距離フェリーに載ってレポして。

  • おじさんハワイアンになったよ

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