2019-11-02

英語民間試験見送りについての雑感

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191101/k10012159841000.html

公立高校英語を教えてます

この制度で行きますよーと公になったときには既に教員として働いていて、いま高2の英語を教えているので、ここまでの流れと制度の詳細は大体知っているつもり。

延期については、まあそうですかというほかないけど、このタイミングでってすげーなとは思った。

文化祭、定期考査、修学旅行準備と日々の授業準備の傍ら、9月から申込の書類を(生徒のお金で送料も払って)取り寄せて、保護者通知の文書を作って、生徒集めて説明会してそのために各大学方針調べてスライドも作って、申請用紙書かせてチェックして取りまとめて、保護者会でも説明して相談対応して、さっそく書類発送のために文書起案しようかなと思っていたところに今朝のニュース

まあでも大切なのは生徒だ。生徒の不利益にならないようにと準備してきたわけなので、結果、延期の方が生徒の不利益にならないならそれでいいと思う。でも今回の騒動で、既に生徒が振り回されてるのも事実で、それって何に振り回されてたの?ということは、このニュースに興味持った人はせめて頭の片隅にでも置いといてもらいたい。

いま言われているような問題点(受験料、会場に起因する不平等や、入試民間団体を参入させることの正当性)は当初から指摘されてきたもので、それをずっと抱えたままここまで来て、「身の丈」発言があったことでマスコミが大々的に取り上げ、世論が大反対して、一人の大臣のひいては一連の政権不祥事という文脈の中で、この制度は引っ込められた。

延期自体は、問題点を潰してから始めるって意味で現時点でのベターだと思うんだけど、政権マスコミ世論も、結局ここにきて政治的な動きをしてその結果生徒を振り回している部分も見える。みんな「受験ファースト」的なこと言いながら自分政治的言動を取って少なくとも民間試験対策してた生徒は振り回してる。まあ特に対策してない多くの生徒からしたらラッキーなだけだけど。

でもこの話のスタートライン政治ではなく教育。私も、制度に対する疑問はありながらも、より教育的だと思って生徒に4技能を伸ばす指導を心がけていた。そもそも制度導入したのは、受験英語目標勉強してると4技能育たないよね、って話だったわけで。

まり、なんかこれもう英語教育の話じゃなくなってる。特定民間団体が食い込むことによる公正性の問題はあるとは思うけど、「採点がバイト」などという批判には疑問を持っている。それだと最初から今回採用された民間試験の信用性を疑うことになるし、その疑問が妥当だとは思えない。また「民間試験だと難易度に差がある」という批判もあるが、そもそも、異なる民間試験の同じバンドルで測る「英語力」と、センター試験の最小2点差で区切られる「英語力」のどちらが「本物の英語力」を反映してるのだろう。そういうスタートラインはもう忘れ去られてるわけだ。

まあ、でも、世間はそれでいいんだろう。そんな話が吹っ飛ぶくらい「延期ではなく中止を」なんて叫ばれてる。これには「英語なんて◯◯できればいいんだよ」というたくさんの個人経験則もまた寄与しているように見える。現実の、そして未来の生徒を振り回しているのは誰なのか、も考えて欲しい。

  • 国が共通試験を用意する意味が分からない 各大学が入学試験の内容を自由に決めていいじゃん 内容に不満があるなら受験・入学しなかったらいいい

    • 元増田ですが、完全に同意します。国が強制するからではなく、大学側が勝手に民間試験の成績を求めるのが理想だと思います。

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