もう10年くらいの付き合いなんだけど、昔からすごい舐めていた。
中学の頃、塾でろくに勉強もしてないしサボって遅刻ばっかりのくせに、成績が上がらないのを先生のせいにしてたあの時、初めて「舐めてるな」と思った。
夏休みの宿題の論文も、ずっとサボって、先生に怒られてやっと始めて、一人で9月30日くらいに出していた。
そのくせ超難関大を目指していたし、しっかりまあまあの大学に受かった。ヒィヒィ言って入試に挑んでいた私から言えば、くずだ。全然苦しまないで大学に入って。「すごい!頭いいんだね!」なんて全く思わなかった。どっかで痛い目見ろと思ってた。
私は彼女と同じ大学の医学部に入った。恐ろしい縁で、私と彼女の友人関係は大学に入ってからも続いた。たまたま同じサークルに入ったからだ。それでも彼女はやっぱり舐めていた。
彼女は自分の書いたブログを有料公開にするようになった。一つ100円らしい。もちろん誰も買った形跡はない。誰がお前みたいなののブログ買うんだって思う。舐めている。
サークル活動も、サークル員との遊びも、平気でドタキャンするようになった。日にちを決めて、当日の前日まで音信不通になって、何度LINEしても返信が無いから当日の朝に電話をかけると「ごめん、眠いから行けない」と一言、みたいなサイテーのドタキャンだ。心の広いサークル員ばかりだったからみんな許していたけれど、私だったらすぐに縁を切っていたと思う。
私のことももちろん舐めていた。サークル活動と同じように何度も遊びをドタキャンされた。サークルで失敗して辛い時に1番言われたくないことを言われた。本当に限界だった。
3年の時、サークルで大きなプロジェクトを起こすことになった。彼女はそのプロジェクトのトップになった。
こんな舐め腐ったやつがトップ?って思うのと同時に、ちょっと嬉しかった。彼女が「主体性が無い舐めてるやつ」から「主体性がある舐めてるやつ」にランクアップしたと思ったから。私はそのプロジェクトには参加しなかったけれど、成功を心待ちにしていた。
でもそれも違った。彼女はやっぱり舐めていた。プロジェクトを動かすべき時に、メンバーに一つの連絡もしていなかったのだ。見させてもらったプロジェクトのLINEグループは、一ヶ月前から動いていなかった。
私はそのプロジェクトに参加することにした。学部の勉強がだいぶ切羽詰っていたけれど、プロジェクトのためなら、彼女のためならなんでもしようと思った。次第に私と、それ以上にプロジェクトメンバーが一丸となっていった。
でもやっぱりダメだった。彼女が舐めていたから。一番大事なミーティングに、彼女は来なかった。連絡もひとつもよこさなかった。9時集合なのに17時に「寝坊した」と連絡が来た。「これをやろう」と働きかけても、彼女は返信すらしなかった。彼女のせいじゃない部分もある。でも彼女のせいだった。明らかに。彼女のせいでプロジェクトはダメになった。
はずだった。でも、ダメにならなかったのだ。私のお陰だ。プロジェクトを辞めるか辞めないかの会議の時、「もうみんなに迷惑かけたくない」と泣きじゃくる彼女に「迷惑なんて誰も思ってないよ」と言ったのは、他でもない、私だった。
想定の規模よりだいぶ小さくはあったけれど、プロジェクトはしっかり完了した。それでよかった。私は嬉しかった。成し遂げた、やってやった、と自画自賛した。
親友は舐めている。くずだ。でも、そんな彼女を放って置けない自分がいる。その気持ちは自己満足だ、完全に。でも、ただの自己満だけじゃない。彼女に助けられたことが何度もある。私が男の子に振られた時、彼女は私の欲しい言葉ばかりくれた。だから私も彼女を助けた。プロジェクトは成功した。
4年になって、彼女は就活を始めた。でも、受けた会社は1社。その1社に落ちた愚痴をSNSで延々言っていた。フリーターになるらしい。
やっぱり舐めていると思う。クズ人間だと思う。あの時の「迷惑なんて思ってない」なんて言葉はうそだ。迷惑だ。これから先、もう彼女に迷惑をかけられたくない。
でも、フリーターになると言う彼女の言動にここまで怒っているのは、いらいらしているのは、彼女のことが好きだからなのだ、多分。その気持ちも恐らく自己満足だけれど。
私はきっと、もうすぐ医者になる。きっと収入はいい方だし、仕事は大変だろうけれど生活には困らない。私だったら彼女を養えるな、と時々ふと思う。
彼女はSNSで友人たちに「フリーターになるからなにかして欲しいことがある人は言って!」と呼びかける。アホ。クズ。誰がお前なんかに頼むか。誰がお前なんかをお金払って雇うか。一生彼女を雇う人なんて現れないで欲しい。
サイコパスやろ
創作感がすごいな
最後まで読んじゃった...