2019-09-25

とあるなろう作家の苦悩を見て悦に浸っている

特定されない為に以下の記述にはフェイクをいくらか織り交ぜてある。

始めに言っておくと、自分性格が悪い。

人が苦しむ姿を見て楽しむのが趣味だ。

そんな俺がここ最近特に観察するのを楽しみにしているなろう作家がいる。

有名な書籍化作家などではない。

まったく真逆スランプに陥った零細無名作家だ。

彼は40万字書いてアクセス数がやっと一万五千を超えるかどうか。

対して俺は書籍化にはほど遠いが100万アクセス以上の作品がいくつかある中堅作家といったところか。

その男別にリア友という訳ではなく、ただのネット上の知り合いだ。

だがその男エッセイで、活動報告で、ツイッター上で吐き出す苦悩を見るのが本当に好きなのだ

誤解されないように言っておくが、彼の力量は決して低くない。

しろ俺などよりもずっと巧みで、彼の作品を読む度に俺にはこんな文章は書けないと思わされる。

文章力だけを見ればプロ作家顔負けだ。

そんな彼が何故俺程度すら超えられないのか。

これは単に俺が彼の作品を読んだ感想しかないが、彼の作品はいつも何処か寂莫とした感覚が憑き纏う。

読んでいて居心地が悪いというか。座りが悪いというか。

「この登場人物に本当に感情移入していいのか」とビクビクしながら読み進めることになる。

彼の作品が何故そうなってしまうのか理由は分かる。

彼の作品には「書きたい」という気持ちも「読みたい」という熱意も篭もっていないからだ。

彼は単純に「書ける」ものを書いている。加えて大衆受けする作品でもない。

からと言って俺は彼に「自分の書きたいという気持ちや読みたいという感情大事にしなよ」とはアドバイスしない。

それを言えば彼が折れてしまうと思うからだ。

彼はエッセイで絶叫している。

スランプ最中自分の書きたいものを書けなくなってしまったと。

どんなコンテンツに触れても「作品の為のネタ集め」としか思えなくなって、自分の読みたいと言う気持ちが分からなくなってしまったと。

そんな彼に上記アドバイスをするのは「お前には絶対に名作は書けない」という宣告に等しい。

俺は彼の筆を折りたくない。彼の苦悩をずっと見ていたい。

から俺は何故彼の作品ダメかの根本には触れないようにしながら、彼が苦悩を吐き出す度に共感する振りをしつつ、優しい言葉をかけ、当たり障りのないアドバイスをする。

彼がなんとか作品を書き続けてくれるように。

しかし彼も薄々分かっているのだろう。

自分は「書きたい」「読みたい」という感情がないから駄目なのだと。

それが分かっているから、エッセイでそれを吐露するのだろう。

からこそ彼の苦悩には価値がある。

分かっていながら届かないものに手を伸ばして、それが指先にもかからない人間の苦悩は何よりも価値がある。

彼の人生が上を向くことはあるのだろうかと思う。

彼はフリーターで、もういい年だ。

彼の誇りになるもの小説を書く腕しかない。

家庭環境や幼少期のトラウマから他人を信じることができない。

根っからの無性愛者(アセクシュアル)で他人と恋をしたいと思ったことが無い。

恋愛感情が書けない。恋愛ものラブコメはめっぽう苦手。

それでも書けるから書いてしまうことが彼の苦しみを助長させている。

もし彼がうつ状態から回復できれば「書きたい」や「読みたい」も生まれるかもしれない。

でも、彼にそんなチャンスがあるだろうか。

そう思い悩み、彼の境遇に思いを馳せ、彼の苦悩をテイスティングする。

それ自体が凄く楽しいのだ。

俺は彼の苦悩のファンだ。

こんなに価値のある苦悩をしている人間がいる、と誰かに伝えたくてこの文章を書いた。

できれば彼が自ら命を絶つことなく、筆を折らず、無名作家のままでいてくれることを俺は願う。

無茶な願いだろうな。

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