30代男性。妻子あり。
激昂した感情が漏れ出るではなく、感情の流れをそのまま垂れ流すでもない。ある定型にそった言葉がほぼ無意識にこぼれる。幼少の頃からそうだったのではなく、20代半ばにそのような癖ができた。
何某カナ的に誰それに会いたいであったり、誰それが好きだであったり、最も直接的なものだとセックスしたい、である。
対象となる人物が実在するかは問わない。むしろ実在しない場合の方が多いように思う。
この独り言がどのような心理的作用によって発せられているのか寡聞にして知らないが、独り言でなにかしら情愛の対象となっている人物に対してのその感情に偽りはないのだと思う。
つまり俺は、神戸から転校してきたクラス委員長と結婚したいし、ボクっ娘な真とキャッキャウフフしたいし、みくにゃんとにゃんにゃんしたいにゃあ!
今朝のことである。
昨晩意図せずに早寝したせいか、珍しく誰よりも早く目が覚めた。
先週は任せっきりにしていた朝の家事を今日は妻のぶんまでこなそうと思い、すぐにキッチンに向かった。6時前だった。
朝食の支度をするにはまだ少し早い。
ダイニングに目をやると、麦茶のピッチャーがダイニングテーブルに取り残されたままになっていた。まずは麦茶を作ることにした。
T-falに半分ほど注水してスイッチを入れてから、ピッチャーの底に澱んでいた麦茶をシンクに流す。
じじじじじ、と電熱器が加熱される音が次第に水が沸騰する音にかき消されていく。
熱湯消毒は洗剤で洗う前にした方がよかっただろうか。
そんなことを考えながらピッチャーを洗う後ろで、ぽこぽこぽこと沸騰音が徐々にキッチンを満たしていく。
独り言は環境ノイズが大きくかつ多くなればなるなるほどその存在を主張するがごとく大音量で発せられる。
その刹那。
「●●ちゃんて誰?」
T-falから溢れる沸騰音とシンクの水音を遮る声があった。妻だった。
間髪入れずに、半ばオートで答える。そんな俺を俯瞰している俺がいて、いつの間に分かれたかは知らないが、多分そっちが本物の俺だった。
数秒の間をおいて俺が重なり、同時に焦燥に似た何かが沸き上がってきた。
やっちまった? とうとうやっちまったな。いや何を? やってないぞ俺。いやヤりたくはあるのか。
キッチン脇を抜けてリビングに向かう妻の後を追いながら「恥ずかしいから聞き流してくれよー」と照れ隠しに笑う。
「知らんがな」と顔をこちらに向けずに妻は言い放つ。これ以上的確な受け答えはない、と思った。
「●●」とは誰なのか。
健康アイドル? 姫カットの貧乏お嬢様? 第5世界のイアルの子? FARGO教信者? ICPOのヨーヨー使い?
他に誰かいただろうか。それらのキャラクターと俺はセックスしたがっているのだろうか。
自問の答えは出ず、妻にはバツの悪いまま、慌ただしい朝の日常に呑まれていった。
いたというか自分で作り出していた。自分でハニーをセレクトしたカスタムメイドなキャラクターを。
集合的無意識によるものかもしれないし、チュパカブラ様のご神託だったかもしれないし、或いはそれが世界の選択だったのかもしれない。
ともかく、●●という名を持ったセックスしたいキャラクターは存在していたのである。
自身への疑問は解消した。しかしこれをどう妻に説明しようか。既存のキャラクターでも大概だというのに、自分でクリエイトしたキャラクターである。
ただでさえ性的に拗らせた感バリバリなのに、(控えめに言って)もっと面倒なヤツ扱いされはしないだろうか。
いやそれ以前に説明する機会は訪れるのだろうか。
まずもって俺は今日どんな顔をして「ただいま」と言えばいいのだろうか。
それ、統合失調症の、前兆
後半は精神障害者過ぎて理解不能だけど、前半はわかる。 おれも別にムラムラしてるわけじゃないのに「おっぱい」って日ごろから呟いてるから。
「おっぱい万歳」
それチックだと思うよ わりと誰にでもある 止めたければそれが出る時の感情や思考をモニターすれば必ず何かパターンがある よくあるパターンは何か嫌なことを思い出した時に口走る...
いたというか自分で作り出していた。自分でハニーをセレクトしたカスタムメイドなキャラクターを。 こっちなのか http://www.illusion.jp/preview/honey_party/index.php それともこっちなのか http:...
パンティー