子どものころ家族みたいによく面倒をみてくれてたけど、私の親との不仲で疎遠になってた、創価学会の人、Tちゃんからいきなりご飯に行こう的な旨のLINEがきて、薄々いやな予感がしながら指定の場所に向かった。
親とその人とのいざこざの内容は知らなかった。私には関係ないことと思ってたし、何を信仰するかは好きにすれば良いし、むしろ今日のことで私が間を取り持ってまた仲が戻ればいいななんて思っていた。
席についたらその人、Tちゃんと、そのお母さん、あと知らないおばちゃん。その瞬間に色々と考えていたいやな事は的中したわけだけど、誘われてもやんわり断って事なきを得たらいいよねと思った。それに、ハンコやカードの類は一切持ってこなかった。今日の会食にはなんの効力もないんだぞと思ってウーロン茶を飲みはじめた。それから人生が絶対によくなるから、と勧誘をされ、当然お断りしたところ、おおよそ6時間ちかく罵倒された。
私は人並みにスピリチュアルな方なので、節目の際にはお参りに行くし、横着をしてめんどくさい事が起こったらバチが当たったんだと思うし、死んだら次は神になるから、そういうのにはあんまり困ってないんですという話をしたら、全てが間違いであると言われた。
その上、お前のような半端者が生意気な口をきくなといった旨のことを言われた。
創価学会に入らないと本当の神道はわからない、創価学会に入らないと幸せになれない、創価学会に入らないと家族が不幸になる など、小学校で流行る怪談みたいなことを、三人ローテーションで延々と話す。
ネックレスをテーブルに出して、お金はあとでいいから、とりあえず受け取ってみたら?と言われる。絶対人生が良くなるらしい。
私はフリーターで貧乏ではあるけど人並みに稼いで遊んで、趣味も夢もあるのでこれ以上いい人生はいらないというと、また三人がかりで怪談を繰り広げられる。もっと貧乏になる、体が悪くなる、創価でないお前の夢が叶うわけないと、人生をなめるな、とこれが6時間続いた。拷問だった。もう誰も何も飲み食いをしていない。ただ私の方を見て、語気を強めてなにやら言っている。早く帰りたくてめまいがしていた。
彼女たちは、人生の落ち目を経験している。だからこそ、もとよりお気楽自堕落な人間が気に入らないのだろうし、藁にも縋る思いでいたとき、見つけた希望が宗教だったのだろう。
Tちゃんのお母さんとしては、入信してから一転、気に入らない人間や入信しなかった人間がみんな"不幸"になることが"証拠"で、信仰する理由らしい。
私の親と不仲になったのも入信してからで、理由は働かなくなったTちゃんのお母さんの仕事を私の母親が肩代わりしたこと。それが原因で母親が経済的に困ったこと。ざまあみろと言わんばかりに当時の事を、入信しなかった者の"不幸"として話していた。
他にも、ある人は事故、ある人はガンになっただとか、離婚しただとか、とにかくあらゆることを、入信しないとそうなるのよと豪語していた。
私は自分については、否定されるのも罵倒されるのも、傷つきはするけど勝手にどうぞと思っている。怪談のような脅しのような話も怖くない。
ただ、あんなに良くしてくれていた彼女たちが今、自分の不幸は信仰の不足として目をそらすこと、題目を唱えれば全て救われると盲信していること、他人の不幸を喜んで生活していること、それが悲しくて仕方なかった。
私は泣いた。いつのまにか店には私達しかおらず、嗚咽が響いた。しゃくりあげながらもう会いたくないと伝えた。
それからTちゃんがお開きの流れを作ってくれた。言われた事と、思っていたことが反芻して涙はずっとおさまらなかった。
店を出て、知らないおばちゃんは消えた。
Tちゃんのお母さんは、何事もなかったかのように私に次の食事の予定を提案してきた。
もうあの頃の彼女たちはどこにもいない。
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