私は今、埼玉にある、一人暮らしをしている会社の寮に帰るため、中央本線を上っている。
――いや、正確には、明日の会社の出社時刻に間に合わせるために、帰っている。
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金曜の夜、同期と終電間際まで飲んだ。一次会は和食のコース、二次会は適当な大衆居酒屋で騒ぎ通した。飲みすぎた後悔を心内にしまい込み、三次会へ向かうまだ元気な彼ら、彼女を見送った。今日はここまで飲むつもりじゃなかったのに…、まだ明日の準備ができていない。帰りの電車の中で日付が代わり、4時半起きという事実が、吊り革に掴まったまま立ち尽くしている、酔いの覚め始めた私の頭にのしかかってくる。
4時間眠ることができた。5時に起きて、まだうす暗い外へ目をやる。アルコールがまだ残る体を引っぱたき、すぐさま荷造りを始める。荷造りと言っても大した量じゃない。それからぱっぱとシャワーを浴び歯を磨き、合計して30分ほどで準備が終わった。
1泊分の着替え、タオルや歯ブラシを詰め込んだバックパックを背負い、青春18きっぷを手に握りしめ、まだ日が昇りきっていない外の世界へ繰り出した。
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社会人1年目は、あっという間に6ヶ月が過ぎた。
生まれてから大学卒業まで、私は東京で両親と住んだ。入社と共に両親が自身の実家に帰り、私は埼玉で寮を借りて一人暮らしを始めた。
それから今日まで、特に苦も楽もなく、上り坂も下り坂もない平凡な毎日を送っている。
土日はたまに遠くに出かける。
完全週休二日制の、どちらかといえば優良企業の弊社に感謝をしながら、週末の旅の予定を立てるのがこの虚しい日々をやり過ごす唯一の楽しみだ。
周りの同期はみんな一生懸命に見えて、賢く見えて、社会人を楽しんでいるように思える。
なにが私と違うのか、最近考えているけれど、まだ答えは出ていない。
22、3歳、の同期、もしくはマスターならそれ以上。彼らと私の過ごしてきた時間は等価であるはずなのに。
劣等感だろうか。何に対する?わからない。きっとこれまで過ごした人生の重ね方だろう。
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10時間も列車を乗り継いだ。小田原、熱海、沼津、静岡、浜松、豊橋、岐阜。
不思議とあまり眠気は襲って来なかった。やはり鈍行の旅は好きだ。途方もなく長い間に意識が引き伸ばされながら、少しずつ近づいていく。そして、気付くとそこにいるのだ。
浴衣に着替え、下駄に履き替える。温泉街をぶらぶらして、たまに気に入ったものがあれば食べ歩き、たまに宿に帰って酒を飲み、湯船に浸かる。この繰り返し。
一人はいいものだ。誰にも気を使う必要がない。もし私が、ふと道端に、使われなくなった昔の煙草の自販機があって、それをまじまじと見ていても、誰も文句を言わない。サビの具合や、今はもう売っていない銘柄に関心を寄せて、私が私自身で解決できる。
こんな調子で夜も適当にご飯を食べて、適当に酒を飲んで寝た。もちろん朝も適当に起きて、朝風呂に出かけ、朝飯を食べた。
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正直、どこに行ったかなんてここに書くことについてはどうでもいいのだ。ただ単に、私が言いたいのは、"社会がひどく七面倒臭い場所であること"についてのみだ。
それに反して、旅とはどれほどいいものか。自由の象徴だよ、一人旅は。
きっと私は、縛られることになれていないだけなのだろうな。そしてこれから慣れていくのだろう、いや、嫌でも慣らされていくのか。
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お前みたいな性格も頭も悪いゴミを雇ってるのになんで面倒くさいとか言われなきゃいけないんだか
頭の良さとかは判らんが、この人は明確に、心の襞々のようなものが発達している。羨ましいぜ
増田には親切な人もいるから差し控えたが 匿名だとやっぱり言ってしまう 「そうか?」
それはいい意味と捉えていいのかな。 頭はいい方ではないと思う。もしよかったとしたら、もっと社交的で効果的な方法で社会に溶け込めてたと思う。それがないから、土日に鬱憤を放...
いい意味だ。頭の~は暴言してる人への牽制のつもり。
よかった。ありがとう。 しばらく増田に文章を書いていなかったところに、辛辣な言及が来て心が折れていたところなんだ。
読み物として面白かった。たまには一人旅もいいよね。 私もまたビール片手に鈍行に揺られたくなった。 (鈍行で飲酒する後ろめたさを誤魔化すために、スタバのタンブラーにアルコー...
下呂の湯はよかっただろう。 ぬるっとしてさ。電車に長時間乗るよりも、もう少し近場でその時間分歩いたほうがいろいろ発見ができて面白いと思うよ。