関東の桜は満開のピークをすぎました。
写真がデジタルになった恩恵の一つは、撮った写真データの合成が容易にできるということです。
桜の花びらが舞い散る様を撮影して、いざ写真を見てみると花びらの少なさにがっくりすることがありませんか?
人の目で見ているときは時間の経過があるので、次々に花びらが舞っていく量を体感することができますが、いざ写真に撮ってみるとその時に舞っている花びらしか写らないので量を感じるには乏しい物になってしまいます。
これは、写真が瞬間を切り取るものであるからこその悲劇と言えます。
そんなときは、カメラを高速連写モードにして3~5枚ほど一気に撮影しましょう。
その後、撮影した写真データをそれぞれ重ね合わせて合成します。
フォトショップでいうところのレイヤーの描画モードや、スマートフォンアプリなど可能です。
そうすると、それぞれの写真の変化があった部分だけが合成されます。つまり、舞い散る花びらの量だけを増やすことができるのです。
ちょっとした角度の違いで背景がブレてしまうようであれば、舞い散る花びら以外の部分は消しゴムで消してしまいましょう。
あとはお好みで合成する枚数を増やしていけば完成です。
手持ちで撮って余計な部分は消してしまえばいいという手軽さです。覚えておくと便利です。
スローシャッターとは、シャッタースピードを遅くして故意に被写体ブレを起こさせるテクニックです。
花びらや桜の枝を故意にブレさせることによって桜の散る様を表現してみましょう。
シャッターの開いている時間が長くなるということは当然それだけ手ブレのリスクが増えます。
そうなると三脚が必須ですが、人通りの激しい花見の季節にはなかなか取り出せません。
そこでオススメなのはスタンド機能がついている一脚です。マイクスタンドの用に一脚の下の部分がパカリと開きます。
注意して使えば軽いミラーレスでなくても数秒は安定してくれます。
次に大切なことは、光量です。
日中の撮影でスローシャッターをすれば当然露出オーバーになってしまいます。
そこで登場するのがNDフィルターです。
減光フィルターとも言われ、文字通りレンズから入る光の量を減らしてくれます。
フィルターには減らす光量に応じて種類が用意されていますが、光量を可変できる安価なものがあるのでひとまずはそれで十分です。
この時、設定をカメラ任せのままにしていると一向に思った通りの写真ができあがりません。
まずはISOを最低感度に固定。
モードをMにしてF値は11を上限に、シャッタースピードを下げていきましょう。
F値の数値が大きくなれば露光量は下がり、シャッタースピードが遅くなれば露光量は多くなります。
まずはその時の散り具合や風の強さに合わせてシャッタースピードを決め、露出が適正になるようにF値を絞っていくのがいいでしょう。
最後のちょっとした微調整は、NDフィルターの明暗を調整することでも可能です。
デジタルになって一番の恩恵は、なにより撮影結果をその場で確認できるということでしょう。
それまでは高度な技術と知識が必要だったスローシャッター撮影も、撮影結果を確認しつつのトライアンドエラーですぐに成功させることができます。
その場合、液晶に写る写真そのもので成否の確認を行ってもいいのですが、せっかくなのでヒストグラムを確認しましょう。
右や左にはみ出してしまっている量が多いと、つまり白飛びや黒つぶれが起きている証拠であり、レッタッチでは情報を取り戻せない状態です。
中央に向かって山型が描かれていれば、あとはレッタッチでどうにでもなります。
ちなみにNDフィルターを用いたスローシャッター撮影にはもう一つのメリットがあります。
それは、動いているものがブレるために写っている人のプライバシーを守れるというものです。
そんな時にスローシャッターで撮影すれば、当然人は動くので被写体ブレが起きて顔の判別ができなくなるというわけです。
スローシャッターを使った写真をうまく撮影するコツは、写真の中にブレていないポイントしっかり写しこむということです。
なぜなら、写真にピンぼけやブレがあると人はその写真が失敗写真だと感じてしまうからです。
例えば揺れない桜の幹、桜の花の背景など、ブレないものを一緒に写しこむことで桜の枝や花の動きを表現しましょう。
つまり、動きを表現したい背景は表現したいものよりも暗いものを選ぶとより動きが表現できるようになります。
これ以外にも、カメラの世界には表現したいことに対するアンサーが沢山用意されています。
手持ちの機材で限界を感じ始めたらまずは色々とためしてみることで更に世界が広がっていくことでしょう。
またそのうち!