2024-01-09

魔女と同居している詩人、という希望



詩人になりたいな。マジで一日三回以上言っている。


詩人になって、洞窟入口に白いTシャツを貼って、雨風をしのぎたい。スナフキンになりたい。スナフキンは白いTシャツを見たことすら無いだろうけど。


とにかく、コンクリート造のマンションに住んでる自分が変だと思う。

詩人住民税を払わないから。

なのに私は自分生命保険まで掛けている。

これはやっぱりおかしい。


そういう話を同居人にしたら「詩人も家くらいあるだろ」と返してきた。

こいつも私と同じ会社で働いている。おかしい。

毎日毎日毎日家でパソコンを開いて、よく分からない英語を「Hmmm...lemme see」とか言って右から左に聞き流して、クライアントに謝っている。これは私。

同居人は違う部署でかなり頑張っている。


「私は詩人になりたいんだけど、おまえは?」

そう聞くと、「うーん」と一考して「魔女だね」つった。

魔女らしい。

魔女は物だらけのクソ汚い部屋で、布団にくるまりながら天井を見ていた。

うちの会社自由から、休憩時間は各々のタイミングで取って良い。魔女は休憩中に布団で寝る。

煙草休憩にグチグチ言われることもない。在宅だし。安い煙草を二人で吸っている。詩人魔女煙草くらい吸う。



魔女詩人って語呂は良いよ」

魔女オタクから、そのまま続けて

狼と香辛料みたいで」

とか言ってニヤニヤしていた。


ところで詩人は、詩人のなり方がガチで分からない。

そもそも詩が好きというか、ブリーチの扉が好きすぎるだけかもしれない。ああいうのを書いて、松岡修造カレンダーテンプレートを借りて印刷出来ないものだろうか。よく分からない。

何個か詩の賞に応募したが、バスボムとか香木とかしか貰えなかった。金には全くならなかった。

学が無い。

金も無い。

でも詩人は昔、占い師に「金運がすごい」と褒められた事がある。そのとき高速バスを乗り損ねて、どうにか返金してもらったなけなしの金で診て貰っていたからウケた。

大金が貯まるとかじゃなくて、」

はい?」

「使うと臨時収入が入るタイプの金運」

臨時収入?」

ほいだら、ま、使いますか。

金はあるだけ使っている。生命保険に入ったのも、そういう理由からだった。詩人貯金と縁がないくせに、献血を断られる貧弱さがある。祈りを込めて、サプリを一日9錠飲んでいる。


詩人は、高卒で、フリーター歴が異様に長かった。

から書類で落ちる。

もう就活面接に食い込めないんだよな。分かってくれるかな。ここまでは詩人っぽいよ。でも、なんでか正社員になった。

これはもう詩人ではない。



書いていて思い出したが詩人は、制服キャバクラで働いていた時おじさんに「君、話が変わりすぎ。フラッシュ暗算じゃないんだから」と窘められていた。

詩人は、数字が分からない。数字記号(〇△□など)は同じような物なので、暗算なんて当たり前に出来なかった。詩人は、〇と□のどちらが大きいとか小さいとか、義務教育中に納得が済まないまま大人になってしまった。

でもさあ、正直あのビル制服を着ていた女の子たちの半分もフラッシュ暗算は無理だったんじゃないかな。魔女算数は苦手だから見積書を作るのを本当に嫌がっている。


話はこうやってコロコロ変わるし、詩人魔女煙草の値上がりくらいにしか数字には敏感になれない。


それにしても都内家賃は高いね。それは肌感で分かるよ。会社を辞めても、詩人にはなれないかもしれない(詩人も定期的にCoCo壱とかで食事はしたい。夏はスパイシーサマベジを、冬はベジスープカレーを食べなきゃいけない)し、もし会社を辞めたら魔女が泡を吹きながら詩人をしばらく養う事になる。


詩人は今の会社を辞めたらタクシー運転手になりたい。詩人は今までやったバイトの数を覚えていない。


生き急ぐことが夢だと思っている。人生は速い方が輝きが増すのではないかと、信じている。

でもそうすると普通に精神をやることも学んでいる。

人生の速度が秒針を超えると、今度は夢(睡眠の方)の輝度が増し出す。ぴかぴかどころじゃない。飛べるほど気持ちがいい。履歴書の数行をベッドしても構わない。ベッドでいい夢が見れるなら。なんつって笑

薬を飲むと、体感、脳が丸くなる。丸い癖に、記憶の巻き戻し機能に弁が付く。分かる人は分かるよね。黒目をどんなに左上にやってもアレを思い出せない。アレってなんだっけ。そんなんなって、ストッパーより向こう側の過去殆ど404

霧の中の桃源郷を、もっと晴れた空の上からドローンで見ている感覚がある。どこにも足がつかない。文章が読めない。


魔女は、詩人ご飯を作ってくれる。魔女が出社すると、詩人餓死する。何度か餓死した。詩人は雨の音を聞くのは好きだけど、自分の胃の言葉理解出来なかった。魔女ハンバーグチャーハンを3つほど冷凍してくれていて、詩人はそれを電子レンジの言う通りにして、キッチンで立って食べている。行儀の悪さは魔女には秘密だ。

詩人は、市販パントーストすることと、インスタントラーメンしか上手に作れない。立って食べれる物しか作ったことがなかったから。

私の上司が、私のことを「同居人さんのヒモ」と呼んでいた。海賊みたいな会社で、狂い続けたら、ヒモが紐でしぬところをオンラインミーティング披露してやれるのにな。上司会社を辞めた。

詩人は、pixivで一回だけR18のエロ小説を書いたことがある。神絵師リクエストしたら「おまえが書け」と返信が来たからだ。書いたリンクを送り付けたら、い〜〜っぱいエロい絵を描いて返信をくれて、ありえんほど嬉しかったw

その小説マイナージャンルにしては、まあ、よくは無いが、悪くもなかったと思う。また分かりもしない数字の話だ。そんなことより韓国人が熱烈に褒めてくれて、それがかなり嬉しかった。

やっぱり文章書くのって楽しい。そりゃ絵が描けるなら漫画が描きたかった。ドラマ脚本だって書いてみたい。無理か。




詩人は、CoCo壱で定期的にカレーを食べれて、マンション家賃光熱費携帯代と生命保険料が納められる感じの詩人になりたい。

で、タクシー会社転職もしたい。詩人は、目の前に人が立っていると吐き気がするので、電車通勤は出来ない。在宅ワーク恩恵は充分受けた。

世の中甘くないとか言うけど、そうだよね。そうするしかない人もいっぱいいるよね。世の中思ったより甘くないし、ムカつくけど甘いとこは甘いんだよなー。

やりたいことやって、辞めたくなったら辞めたいよな。

曰く、「技術は体が覚えてるから、戻りたくなったらいつでも戻ってこれる」らしい。

ブランコに乗って窓ガラスを拭いていたとき、隣で拭いてたオッサンがそう言ってた。

動く灰皿ことハイエースに乗って、詩人ガラス屋にも戻れる。

詩人は、パイロンにトラロープを巻ける。8の字のコードも巻ける。4インチと8インチのどっちが大きいかは一瞬迷う。インカムで謝ることも出来る。英語で謝ることも出来る。フランス語は「セクワサ?」だけ分かる。「これ何?」だった気がする。シークヮーサーに聞こえるんだよね。

今年はさ、人生の速度と高度を調整するターンに入ろうと思う。

詩人になりたい。

出来れば魔女と長く暮らして、私は詩人になって、洞窟で火を焚いて、一酸化炭素中毒で終わりたい。走馬灯は出来るだけ早く、出来るだけ沢山、フラッシュ暗算みたいに見れたら楽しいはずだから

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん