夕食の準備中、私は友達にトースターの中のフライドチキンをお皿に移してほしくて、お皿と菜箸を渡し、「そこにキッチンペーパーあるから使ってね」と言った。
ふと友達の方を見て、私はびっくりしてしまった。彼女はなぜか、熱くも何ともない皿をキッチンペーパーで掴み、チキンを皿に移そうとしていた。
「皿にキッチンペーパーを敷いてって意味だったんだけど」と言ったら慌ててそうしていた。
確かに落とし物や忘れ物、ダブルブッキングなどをよくやらかすなと側から見て思っていたが、趣味の話をしたり、いっしょに食事をしたりする程度の付き合いでは過度におかしなところは何もないように思え、今まで特に気にしたことがなかった。
彼女は1泊して帰ったが、その短い間に、「今までそういう子だと思ってさして気に留めなかったけど、よく考えてみたらかなり様子がおかしい」と思うような出来事が他にも3つほどあった。
そのことを悶々と考えていたら、ふと、少し前に彼女から聞いた話を思い出した。
転職したばかりの職場で、日報を書くように言われ、とにかく分からないなりに書いて出したら「書き方が全然なってない」と先輩に叱られた、という話。
私は「パワハラっぽい、意地悪な先輩だな」とその時は思った。
しかし、今回の件により、恐らく彼女はあのとき先輩から、「分からないことがあったけど、分からないままにした」ことを叱られたんだろうと、何となく想像がついてしまった。
彼女に求められていたのは、「分からないので書き方を教えてください」と素直に聞くなり、「このように書こうと思いますがそんな感じで良いですか」と確認するなり、先輩の性格やその時の忙しさなんかを加味しながら考えて、即座に行動に移すことだった。
キッチンペーパーの件も同じで、彼女の育った家では揚げ物を網の上で油切りしていたのか、皿に直接置いていたのか、そんなことは知らないしどうでもいいのだが、とにかく分からないのだったら「えっ、キッチンペーパーは何に使うの?」と私に聞くべきだった。
彼女は新しい職場で常にこんな感じだったんだろうと思う。指示待ちというか、指示を待っている自覚すらなく、指示を仰ぐべき案件なのかの判断もついてなくて、ちょっと不安に思いながらも、明らかに間違った選択肢をとっさに選んでしまう的な・・・?
今まで彼女から仕事の愚痴を聞くたびに、ピリピリして嫌な雰囲気の職場だな、なんて思っていたけど、今回初めて「この子が部下として入ってきたらどうか」という目線で彼女の言動を考えたら、確かにちょっとかなり厄介かもな・・・なんて思ってしまった。
で、そこまで考えて思ったんだけど、社会人が仕事をする上で当然のように求められる、そういう「とっさの常識的な判断」みたいなの、高度すぎやしないだろうか?
今回の件でいったら、疑問を抱いて、それを見ないふりせず適切に言語化し、しかるべき相手にしかるべきタイミングで伝えて解消する、とか。
まずそもそも疑問を抱くことが難しい人もいるだろうし、何がどう疑問なのか他の人にわかるよう言葉にするのも、それをいつ誰にどうやって聞くべきなのか判断するのも、解を得たところでそれを理解し適切に実行に移すのも、それぞれかなり難しいことだ。
チキンの件だって、私が最初から「そこのキッチンペーパーを”皿の上に乗せて”使ってね」と伝えれば済んだことだし、日報だってマニュアルがあれば、いや、せめて先輩が自分のものを参考にポイと渡してさえいれば、彼女は何を書くべきか理解できたし、まじめな彼女らしく丁寧に、真剣に取り組んだことだろう。
彼女のような人が働きやすい職場は、誰にとっても働きやすい理想の職場だろうなと思う。
社会全体で、働く人に求められることのハードルがもう少し下がれば良いな。それか、各個人の能力に依存せずに仕事のクオリティを保つシステムをあらかじめ組み込むとか・・・。どんどん貧しくなっていく日本では、難しいだろうか・・・。
キッチンペーパーの扱い位ならいいんだけどね 些細な事だけじゃなくて重要な事でも同じ頻度でダブルブッキング・落とし物・忘れ物をするし、 その上更に発達障害者によっては反省も...
聞いたら聞いたで「普通聞くかそんなこと?!」つって発狂する人いるからなあ
聞いたら聞いたで「普通聞くかそんなこと?!」つって発狂する人いるからなあ