最近、魔剤が売れている。
魔剤とはエナジードリンクのことだ。
e-スポーツ界隈ではこう呼ぶ。
少なくともゲーミングお嬢様にはそう書いてある。
真っ黒いロゴに輝く白抜きのGが特徴だ。
最近だとウマ娘とコラボしてオレンジジュースに魔剤成分を混入したものを売り出した。
これを飲んで周回を頑張れという根性SSプレイヤー量産計画らしい。
魔剤で魔剤はよく売れる。(魔剤にはマジの意味もある。マジで)
コーヒー・リポD・オロナミンあたりのシェアを丁度食う形に業界に食い込んでいる。
一時期物珍しさが消えて売上が落ちた時期があるが、今は逆に定着して伸びている印象が強い。
魔剤がよく売れる場所は3つあって、1オフィス自販機、2学校、3ゲーム大会会場だ。
ウメハラがレッドブルタワーをバックに戦うのをみて影響されてレッドブル買うやつなんているのかと言われればマジで沢山いるのである。
というよりレッドブルばかり自販機に並んでいるので「なるほど。ここではレッドブルを買うのがしきたりか」と思い込まされているのだろう。
ゲーム会場で始めてレッドブルを飲んだという人もいると俺は聞いている。
そういう宣伝文句を聞いたことがあるだけなので真偽は分からない。
でもあながち間違ってもなくて、魔剤には危険なイメージがつきまとっているのでそれを最初に飲ませる一歩を踏み出させるのはかなり重要だろう。
一時期大学や駅の前で魔剤が配られていたのもそれだろう。
魔剤は栄養ドリンクと比べると即効性に優れるが持続性に劣る。
栄養ドリンクで得たパワーは10時間ぐらい持つが、魔剤で得たパワーは下手すると2時間で失われ。
栄養ドリンクは飲むと残業体制が高まるが、魔剤は残業中の集中力を高める感じだ。
魔剤の持つその性質に慣れていない人がリポDの代わりにモンエナを飲むと効果がイメージと違うことから敬遠するとも聞く。
魔剤が特に効果を発揮するのは一時的な集中力の前借りをしたいときであり、それはつまりゲーム中なのだ。
ゲームと魔剤は相性がいい。
特にトーナメントのような序盤から絶対に負けないようにして、限界が来た時に全てのツケを払って消えていくようなやり方が向いている場面に強い。
短距離走を繰り返すことになるスポーツ系ゲームは魔剤と間違いなく相性がいい。
そしてよく売れる。
長期戦を必要とする場面においてはあまり相性が良くないのだが、塾の自販機に入れてあるのは意外と売れる。
若い人間は代謝が早いので魔剤で集中力を前借りしても寝たら全回復するようだ。
凄い。
魔剤凄い。
何がいいたいのかブレてきた気がするのでまとめると「魔剤屋にとっては最初の一本を売りつけられるe-スポーツの大会は有り難い」ということだ。
俺はただの自販機補充係。
日々20kgの重さがあるダンボールを何度となく上げ下げしているので筋肉の持久力には自信があるがマグロの如き真っ赤な赤筋に覆われているだろうから瞬発力はゴミだと思う。
ドリンクが沢山売れれば今何がシェアを持っているかはどうでもいいんだ。
でも魔剤みたいな職場のコーヒーメーカーや家から持ってきた水筒で代用できない商品が売れると仕事が減らないから助かる。
俺としては魔剤がもっと売れて欲しい。
昔は単価が高いので本数が捌けないイメージがあったが、最近は安いのや小さいのが増えてきて小回りが効くようになってきて有り難い。
魔剤魔剤ありがたい。