2020-11-17

医者の子子宮頸がんワクチン

周産期医療に携わってる医者です。あまり適当文体だけど本当。

WHO子宮頸がんワクチン接種率を90%にする目標定めた、みたいな記事についたコメントを見てると少し前みたいな反ワクチンな流れはだいぶ影を潜めてて、子供に受けさせたいと思う、でもやっぱり副反応が怖いなあみたいな感じ。今日本では接種率が低くて低くて、諸外国と比べて恥ずかしい、なんてコメントもあった。

少しずつ流れは変わってきてると思うけど、まだまだ子宮頸がんワクチンはいわゆる「医療系の家の子しか打ってないワクチン」。確かに私の周りでは、知ってる限り娘にこれを打たせなかったという親は聞いたことがない。周産期系だからそこら辺の意識高いのもあるだろうけど、内科系の友達も、外科系の友達も、マイナーだってやっぱり皆打たせてる。看護師の家はあまり詳しく聞く機会無いけど、あえて打たせないって話は聞かないなあ。ネットでよく見る、「私の知り合いの医者は皆このワクチンを勧めてない」ってそんな医者、どこにいるの? 産科学会か周産期学会所属してる? そんな人まったく見たことないんだが。

さて、なんで医者は皆子供にあのワクチン打たせてると思う?医者副反応が怖くない? いやいやそんなことは無い。医者だって人間なんだから、娘や息子に深刻な副反応が出て後遺症残るなんて怖いよ、そりゃあ。それとも、一般人の皆様方が知らない詳細なデータを知っている? いやいやそんなこともない。副反応が出る確率、その中で長期間辛い症状が残る確率、もしくは女性が生涯で子宮頸がん罹患する確率、死亡する確率。それらをすらすら言えるのは産婦人科医くらいだろう。大体国によっても研究によっても違うものだし。

医者子供ワクチンを打たせる理由。それはやっぱり、癌がどれだけ悲惨か知ってるからでしょ。癌患者を診なくて済む医者は少ない。今現在診てなくても研修医まで遡ればどこかで関わってる。癌にも色々あるし、もちろん助かる人もたくさんいるんだけど、亡くなる人もたくさん診てきた。何年経っても再発の恐怖に怯え続ける人も、転移を知った時の絶望した顔も、治療副作用に苦しむ姿もたくさん。子宮頸がんの例をあげれば、幸せいっぱいなはずの妊娠判明、からの子宮頸がんも判明。抗がん剤治療妊娠中はがっつりできないけど今赤子を出しても未熟すぎて生きられない。癌が進行していく中で母と赤ちゃん、両方救うにはどのタイミングで出せばいい? みたいな究極の選択とか、赤ちゃん助かっても母は余命1年未満、日々可愛くなる子を前に自分の残り時間の少なさに絶望する母、とかね。こっちだって人間なんだから若いお母さんが子供残して死ぬの見たくないよ、すごく辛い。子宮頸がん、でググれば涙無しでは読めない体験談なんていくらでも出てくるよ。

から詳細なデータとかじゃなくて、単純に「あの思いを我が子にさせたくない」ってだけ。9価ならウイルスの9割の感染を予防できるらしいじゃない。もう皆で打ってこの病気撲滅させようよ。副反応怖いって言う人は癌の方は怖くないの? こんなとこで言っても説得力ないだろうけど、医者から見たらどう考えても若くして癌で苦しんで死ぬ方がよっぽど怖いし辛いし誰だって全力で避けたいことなんだよ。お願いします、小さい子供がいる人はせめて情報集めて考えてみてください。それでもやっぱりやだ、って人は打たせなくていいからせめて打とうとしてる人の邪魔はしないでください。自称医者戯言でした。

  • 週刊誌は「医者が飲まないクスリ!」みたいなのは喜んで扱うのに医者が欠かさない予防接種とかは見ぬ振りをするんだよね がんもどき理論とか、そっちのがなぜかPV稼げるんやろね

  • 周産期って言葉なんか違和感ある。 他に○○前後のこと「周○○期」って言う例なんかあるっけ?

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