ポケモン映画第1作の3DCGリメイク作品を見てきた。感想を要点だけ。
完全版の冒頭のエピソード「ミュウツーの誕生」の有無で、この映画に抱く印象がガラッと変わってくる。幼少期のミュウツーが事故死したフジ博士の愛娘のコピー・アイツーと出会って、コピー・クローンという存在の意義を自問するところに「ミュウツーの逆襲」の魅力の70%が詰まっているというのに。
正直に言うと、「ミュウツーの逆襲」という映画自体は微妙な立ち位置にあるのではないかと思っている。エンタメ性で言えば「幻のポケモン ルギア爆誕」の方が、感動路線で言えば「結晶塔の帝王 ENTEI」や「セレビィ 時を超えた遭遇」の方が印象に残る。登場キャラクターがストーリーに沿った説教臭い台詞を喋らされている感じがどうしても鼻についてしまう。その欠点を有り余ってカバーしているのが「ミュウツーの誕生」ではないのか。
同時上映の「ピカチュウのなつやすみ」がないんだから、どうにかして付け加えることはできなかったのか。勿論、本作はあくまで当時劇場で公開された映画のリメイクであって、子供向け映画の時間の制約からは逃れられない(長尺にはできない)という事情は把握しているけれども……。
3DCGはお見事。ポケモンやトレーナー達の魅力を存分に発揮した映像になっている。
ポケモンの解釈とCGでの再現という点では、毛深さや気持ち悪さを妙に強調した「名探偵ピカチュウ」よりも、アニメ的な表現に徹したこの映画の方に軍配が上がる。ハリウッドのように、ただ予算や技術があってCGを作るというだけでは不十分だということを示す好例だろう。
主題歌の「風といっしょに」もリメイクされた。原曲と同じく小林幸子だけでは物足りないという判断なのか、何故か中川翔子も加わっての歌唱。余計なことはしないでくれ、というのが正直な感想だった。
だが、そんな感想は中川翔子の歌声を聞いてひっくり返った。ビブラートのかけ方や歌い回しが第二の幸子。なのにモノマネ特有のくどさやわざとらしさが微塵も感じられない。
中川翔子に思うことは色々あれど、歌に関しては類い希なる実力者だと痛感した。松本隆作詞・筒美京平作曲の7thシングル「綺麗ア・ラ・モード」を聞いたとき、彼女の歌の上手さにただひたすら感心した10年前の記憶が蘇ってきた。
この映画がプレスコで良かった。オーキド博士のナレーションの安定感。
TVアニメのサンムーン勢が一回も映画に出演していないことに気づき、複雑な心境に陥る。
ここ数年のポケモン映画は懐古路線へと舵を切っていたが果たしてそれで良かったのか、その方針は節目の20周年だけ良かったのでは、という気持ちが湧き上がる。
この文読んで気になりすぎてYouTubeで風といっしょに聞いてきた。最高だった。教えてくれてありがとう