『アイドル育成ゲーム』『乙女ゲーム初心者でも楽しめる!』だかなんだか言う謳い文句に惹かれ、何も考えずにインストールしたまでは良かった。あんスタとは縁を切って生きればよかったものの。相変わらず何も考えていなかった私は、グッズをしこたま買いました。他のゲームの登場人物と共通点があった。
仕事で嫌な事があった時、衝動的に無料アイテムを消費するのは快感でした。
その内、友達が出来ました。
一緒にやってくれる人間がいると、何事も熱中度が上昇するようで、友人のスクリーンショットを見るにつれ、私はさらに沼の深みへ沈み込んでいきました。スタライに行ってみたりそこそこ楽しい毎日を過ごしておりました。
高レアリティの報酬も取りに行っていた私。それはそれはもう必死になってイベントを走っておりました。私は一応ちゃんと彼のことが好きですが、当時は『彼を好きでいること』がステータスやアイデンティティなのだと思い込んでいたようでした。的外れで訳の分からない義務感のようなものを抱えながら惰性で『好き』を貫こうとしていたのでした。私は馬鹿だ。あんなに面白かったはずのストーリーもゲームシステムも、知らないうちに退屈だと感じるようになりました。
それでもソシャゲに費やす時間は減らしたくない、と退職を決意しました。生活に支障を来たし、疲れや憂鬱の原因に成り果てていました。ランキングを上げる作業に勤しみやがてこのまま追い続けるわけにはいかなくなりました。
別に彼は実在してるわけではないし、まして知り合いなんかでもなく、複数のキャラクターがいるゲームの登場人物の一人。私が一人応援するのをやめようが、永久に惚れ続けようが、全くもって影響を及ぼしはしないのです。
あまり言いたくはありませんが彼は人気キャラなので、特にファンが一人減ったくらいでなんてことはないです。代わりに養ってくれる人なら沢山いる筈です。甘い言葉を吐かれたと勘違いする女の子も星の数ほど居ます。
何を欲しがったところで、どうせ私が求めるようなものは手に入りません。イベント期間は外界との接触をシャットアウトする為、友人も減りました。
もっと大事なことに時間やお金を使いたい。ゲームなんかのために必死になったり病んだり悩んだり必要以上に浮かれたりしたくない。彼のファンとして誇れるような活動もしてきていませんでした。何を言ったところで、すべて今更でしょう。一時期は本当に本当に楽しかったです。ソシャゲに限らず、何事も無理をしたり、のめり込みすぎてはいけない。この作品が好きでした。出会えてよかった。この作品のない期間、私は空虚だった筈だから。これからは、これまでよりも遠い場所で貴方の幸せを祈ります。