私の行っている歯医者はわりとサービスが良い。大分前の治療で詰めた詰め物が取れるとタダで直してくれる。が同じことをもう一回やったうえに、詰め物を紛失したといったらイヤな顔をされた。あの詰め物は結構お金のかかる代物らしい。
で、「歯のクリーニングをサービスしときますね」とか言われて、患者目線だと「タダで歯のクリーニングをしてくれるなんて嬉しい」と思うわけだけど、こそっと医者が「○○健康保険組合(うちの会社の健康保険扱ってるとこ)には請求させてもらいます」と言う。基本的に診療報酬は本人負担が3割で、健康保険組合の負担割合が7割だから、3割サービスしても、7割もらえれば歯医者的にはOKなのだ。他にも医者みずから患者に電話して「こないだ来ていただいた日付だと診療報酬が認められないから別の日に来たことにしていいか」とか言っていた。たぶん実害はないだろうけど、来院した日付をずらすってのはカルテの改ざんじゃないんだろうか。カルテを直さずにレセプト(診療報酬明細書)の日付だけいじるにしても、それってばれたらやばいんじゃないの?まぁうちの近所の歯医者は街の規模が小さいわりにやたらと多いので、どこも生き残りに必死なんだろうけど。
ちなみに最近捻挫して、医者に湿布を処方してもらったら500円で手に入ったけど、同じ湿布を後から薬局で買おうとしたら1,670円取られた。医者に処方してもらえば健康保険が適用されるので3割負担で済むけど、自費で買うと満額取られるのだ。自分は湿布でアレルギーを起こしたことがあるので、最初に湿布を少なめにしてもらったんだけど、結局大丈夫だったので、こんなことなら医者の処方箋があるときに2袋買っておけば良かった。
私も正式に医療事務を勉強したわけじゃないけど、病院関係の仕事をしたことがあり、おおざっぱな概念は分かるので、たまに診療報酬の知識がない人がとんでもないことを言ったりやったりするのを見ると目が点になる。
たとえば最近話題になっている皮膚科で処方してもらえる保湿剤の話。本人負担だけ見ると3割しか払わなくて済むので「こんなに安くてお得!!」となってしまうんだけど、実際は健康保険組合が7割負担しているのだ。
あと、私が前に聞いた話で「ひどいなぁ」と思ったのは、薬にいろいろアレルギーのある友達が、何の薬でアレルギーを起こしたかを書いてあるメモを忘れて医者に行き、どの薬が大丈夫か分からないので「(同じ薬効の)薬を全種類出してください」と頼んで断られた話。ひどいのは医者じゃなくて友人の方で、あんたがいくら「自分に合わなかった薬は返します」とか「その分の薬代は払います」って言っても、患者が払うのは所詮3割だし、同じ薬効の薬を何種類も処方して健康保険組合がおとなしく7割出してくれるはずもなく、全部医療機関側の損になるのだ。だいたい「合わなかった薬は返します」なんて約束が守られる保証はないし、返ってきたときも一度誰かに処方した薬を他の患者に処方するわけにいかないんだからただのゴミになる。
その子は別件でも医療機関に対する理不尽な不満をぶちまけていて、旅先で「蜂か何かに刺されて医者に行ったけど、結局なんともなかった。治療らしい治療もしなかったのに1,000円も取られた」「このぐらいならタダにしてくれてもいいのに」というので唖然とした。どうも休日とかの話みたいだったけど、初めての病院に行って医者に診てもらったら初診料がかかるのだ。休日ならば休日加算もつくので、下記のリンク先の金額に基づいて診療報酬を計算すれば計5,320円だ。たぶん当時の方が休日加算が安かったんだろうと思うけど本人負担が約1,000円。そのぐらい文句いわずに払えっちゅうの。行きつけの病院でだいたい体質とか把握しているなら彼女が望むような扱いもできたかもしれないけど、休日に初めて来た患者で、かつその場はなんともないように見えても後で何か起こるかも知れないんだったらカルテもレセプトも作って診療費を請求するのが当然だ。
http://www.kenporen.com/health-insurance/jikangai/
…とにかく知らないということは恐ろしいとつくづく思う。まぁ私もざっくりした知識しかないので、正確なことを知りたい場合は医者でもらった診療報酬明細書を持って職場の健康保険組合に聞いてみるとか社会保険事務所に聞いてみるとかするといいかと…。病院の窓口も当然知っていて請求している話だけど、明らかに身に覚えのない項目に点数が入っているとき以外はだいたい忙しくてイヤがられるので、上記のようなところに聞く方が無難と思われ。とにかく自分が払っているのは医療費の一部にすぎず、大部分は健康保険組合なり国民健康保険なりが払っているということを認識しておくのが大事だと思う。