整理整頓できない。
ついさっき、どこかにおいたものがどこにおいてあるかわからなくて探す。落とし物なくし者もかなり多い。
報告連絡相談が的確にできない。
体の動かし方が下手で、スポーツに関わるのが怖い。
複数のタスクがあると軽くパニックになり、同時並行してしまう。
見通しが甘い。
自分が喋ってたことを忘れがちで、話に一貫性を持たせるのが大変。
一方で、一度これと決めたらかなり集中する方。集中してる間、周りは見えてない…。
診断つくかな。薬を飲んだらよくなるのかな。
色々あるし 医療とかで使うケースもある
けど一般人は 気にしなくていいよ
色々あるけど 覚える必要ないよ
ガキでも分かることだぜ
ならば撲滅しようぜ 使った人間もろとも
出し物のムービーが終わった。
その後、何とも言えない空気が観客席全体から漂うのをひしひしと感じる。
実際、何とも言えない出来なのである。
有り体に言えばドン引きだ。
だが、監督のウサクだけは満足そうなのが余計にツラい。
「なあ、マスダ。このウサクって奴に監督やらせるのは失敗だったんじゃ……」
オサカが俺に耳打ちしてくる。
「……まあ、いいんじゃないか」
俺も制作に関わっている以上、こう返すのが精一杯だった。
「いくらなんでもメッセージ性が露骨過ぎる。どこぞの公共団体が作っても、もう少しマシな演出するよ」
それをウサクじゃなく俺に言うのは、きっと言ってもロクなことにならないことを作風から感じ取ったからだろう。
「あとプロットが歪なことになっているじゃないか。あんな人々に悪影響を及ぼして、しかも依存性の強いものが当たり前に普及しているってどーいう設定だよ。しかも、それがロクに規制も禁止もされていないって、どんな国だよ」
「フィクションなのに、あんな実際にあったみたいなノリで描写されていて、そこに社会的なメッセージまで露骨にするってのが姑息なんだよ、あと……」
その後もオサカはしばらくこの調子だった。
とりあえず俺たちが学んだのは、ウサクに好き勝手映画を作らせるのは麻薬並に危ないということだった。