恐怖で動けなかった。目の前が、現実が、絡み合い、そしてもがき苦しんだ。
再会した元カノは病室にいました。
「あ******」
*の部分は聞き取れなかった、もう声がだせない状態だった
声もなんとなく、似ている。
何かを疑う事なんか散々だったのに、今目の前に起こっていることを
昔の人と、今、目の前にいる人の正解を少しでも多く引き出そうとする作業
久々に震えがくる。
あの時の元カノは少し背が低いけどおっぱいが大きかった気がする。
目の前の人はおっぱいが無い。
ガリガリでやせ細っていました。
奪われた後の姿を見ると今すぐ酩酊して、忘れてしまいたい気持ちに駆られてしまう
無力をしらしめるには十分すぎる。
「この人、知らない人かもしれない、だけど同じ名前」
混乱は目の前で起こった。直角に落ちていく最中、何も引っかかる場所もなく、心の拠り所を失いかけていた。
よくない、本当によくない現象だった。
未来を信じて止まなかった。
希望の大学への合格通知書を見せて未来を歩むと思っていた彼女は
別の海外の語学学校へ何も言わず行ってしまった。そんな話すら全く知らなかった。
あまりにも綺麗に目の前から去っていき取り残された感情と痛みを抱え大学に入学をする。
そこから、元カノへの時間軸が停止した。後に遅効性の劇薬になり全身を侵される事になる
この後に流行する、mixiでもfacebookでも調べようと思えば調べられたはず
だけど、そんな気力もなく、子供っぽく不機嫌になるしかなかった。
お酒を飲んだり、バイトをしたり、クラブ行ったり、多数の光源に幻想を抱いて
始発電車から降りる人をかき分け、社会から逆行するのを謳歌していた。
今の嫁との出会い、そして嫁に対してへの一番の功罪を同時に犯してしまう。
「好きな人がいる、その人が帰ってきたら、そっちに行くかもしれない
そんな自分ですよ?それでも付き合えるの?」
嫁は強い人だ、中途半端な自分を知り、受け入れ、いつの間にか結婚してくれた。
別の時間が進み始め、子供も生まれ、全く違う日々が待っていた。
再会なんて突然すぎて、偶然すぎて、あぁなんという事だと
巡りあわせる神様を呪った。
元カノは癌に侵されていた。
ってかこの人だれ?全然違う人だよ?
最初は混乱しすぎて、なにも喋れなかったと思う
当時の記憶が走馬灯のようになり、感情を抑えることが出来なかった。
違うよ、声をきかせてほしいんです。その声で謝ってください、僕を見捨てた事を謝ってください。
口の筋肉の動きを見ると苦笑いしてんだろうなと分かるぐらいだった。
それだけで十分許されたんだ。
このブログで書いてしまうので、バレてしまいます。ごめんなさい
やせ細る元カノを見ていて癌というのがどのようなのか分からなかった。
なにを食い尽くそうとしているのだろう?
明るい人生をまだまだ歩んでいくはずなのに、こんなのないよと見えない神を呪う。
会うたびに変化が無いことを祈っていたけど、表情もなくなり
手を握り返す事もできなくなり、目が開いているのか、どうかも分からなくなる。
声をかけても返事がない。
色々としてみたけど、寝ているのか起きているのか分からない状態
お腹が膨れ出した時には周りが騒がしくなりはじめ、時間を割いて会える事が少なくなる。
心の中では「早く死んでください。」
と願ってやまなかった。
ハグをした。若干の温もりを感じた。
そして、心で願った死んでくれという願いが叶った時
心が泥沼にはまり、そして苦しむ夜を今も進んでいる。
あの時のカップルは流れ星に乗って空を高く飛べると信じていた。
その夢はまだ叶えられない、二人一緒に星に乗りたかった。
「ありがと」