「虫ですらヤッてるのにその歳でいないとかお前生物として虫以下だよな、だっせぇ~(笑)」
ははは、そうだね。ダサいね。
僕も大多数の男性と同じように女性を好きになれたらどんなにマシだっただろうな。
今でもずっと高校時代の同級生が好きだなんて誰にも言えるわけない。
友達すら一人もおらずずっと辛かった僕に優しく手を差し伸べてくれた彼が今でもずっと好きだなんてな。
そんな気持ちを10年以上もズルズルズルズル引きずってるなんて確かに君達の言う通り僕はダサいな。
僕は性格も暗く、勉強もスポーツもろくに出来ず何事も失敗ばかりしては家族含め周囲から陰口ばかり叩かれるような男だった。
体育の時間、ペアを組む相手がおらず隅で一人壁にボールを投げつけていた時だった。
「あれ、今空いてるのか?じゃ、俺とやろうぜ!」
「お前あの漫画好きなのか?見る目あるなー!俺も好きだから一緒に読もうぜ!」
彼は人の悪口を決して言わず、人の長所を見つけて褒めることの天才だった。
常にポジティブで笑顔を絶やさない人で、一緒にいるといつもは暗くて無表情の僕まで思わず笑顔になってしまうような人だった。
僕はそんな彼に心惹かれてしまった。
ただ憧れているといったレベルではない。彼と愛し合いたい、抱き合いたいと思ってしまった。
彼と会えることが生きがいになって、彼が近づくたびに本当にドキドキした。
だが、同性から想いを打ち明けられると断る側も相当な精神的負担がかかる。
誰よりも好きな彼にそんな辛い思いをさせる訳にはいかない。
せめて女性に生まれていれば告白ぐらいは出来ていたのに、と自らの運命を心から呪った。
それから10年経った去年、彼が女性と結婚したという報せが入った。
胸が張り裂けそうなほどに辛かったけれど、大切な恩人への礼儀を欠かすわけにはいかない。
結婚祝いとして久々に連絡した。
「結婚したって聞いたよ。本当におめでとう。」
「はは、ありがとう。ところでお前は彼女とか奥さんとかいるの?」
「いやぁ、それがいなくてね。」
「そうなんだ、お前は思いやりのある奴だし絶対すぐ出来るって。俺でも出来たんだからな。」
違うんだ!僕が本気で好きなのは、愛しているのは今でも世界中で君以外誰一人いないんだ!!
そう叫びたくなる気持ちだった。でも、口が裂けても言える訳もない。
周囲からの嘲笑や罵倒より彼のあまりに優しい言葉の方が遥かに応えた。
力なく「そうだねぇ、そうだといいなぁ…」としか返せず電話を切った後で年甲斐もなく号泣した。
周囲からのダサいという罵倒は全く的を得たものだ。書いていて我ながらホントにダサい生き様だよ、ホントに。
やはり未だに辛いと言えば辛い。けれど少しずつ受け入れられるようになってきた。
僕の大事な親友へ。ご結婚、そしてお子さんのご誕生本当におめでとう。
11年前と何一つ変わらない優しさと思いやりを持った君。恋はかなわなかったけど、そんな君を好きになって正解だった。
君はきっと誰よりも素敵なお父さんになれるよ。
彼を選んだ貴女は本当に素晴らしい選択をしましたね。そして彼が選んだ貴女も(会ったことはありませんが)きっと素敵な女性のはず。
彼は前に進んだんだ、僕も痛む足で遅まきながら前に進むよ。
泣いた
日記主です。 ありがとうございます、自分も大いに泣きましたがそれだけ彼を想っていた、彼の優しさと思いやりが本当に幸せだったという証ですね。 彼がいなければ今頃きっと世の中...