今回の特別定額給付金の受付には、マイナポータルの「ぴったりサービス」を使っている。
まず多くの方々にお知らせできていないことだけれど、ぴったりサービスは今回の特別定額給付金の受付のために開発された訳ではない。オンラインによる行政手続をワンストップで行うための既存のシステムなのだ。
これまで決して十分に活用されているとはいえないものだったけれど、今回新たにオンライン受付システムを開発して投入するよりははるかに迅速かつ簡便に導入できることから、採用したものと思っている。
今回は可能な限り早期に給付金を支給する必要があり、可能な限り早期に受付を始めなければならない。
かつ、受付会場に三密を発生されることはあってはならないことから、早期に受付開始可能なオンライン申請システムを準備しなければならない。
しかしここで今回の条件で難しくしているのが、「世帯単位で申請」という部分だ。
ひとつは、世帯単位というのは「住民票上の世帯単位」であるということだ。このことの難しさが、市町村からは十分に周知されていないように見受けられる。
世帯主って「住民票の世帯主」でしょ、当たり前だよ、と市町村の担当職員は考えがちだ。しかし、世の中はシンプルな世帯だけで構成されている訳ではない。すでに報道されているDV関連のケースを除くと、典型的なものとして次のようなケースがある。
1.3世代で祖父、祖母、父、母、子が同居しており、世帯主が祖父で全員が住民票上同一世帯である場合。
→祖父が全員分を申請する。祖父がマイナンバーカードを持ってなければオンライン申請不可で郵送になる。
2.3世代で祖父、祖母、父、母、子が同居。祖父が世帯主で祖母と同一世帯、父が世帯主で母と子が同一世帯である場合。
3.父、母、子のうち、父が単身赴任で別の市に住民票を移している。実家の世帯主は母。
→父が自らの分を単身赴任先で申請、母が母と子の分を居住地で申請する。
4.父、母、子のうち、父が海外へ単身赴任。実家の世帯主は母。
→母が母と子の分を居住地で申請するが、父の分はたぶん申請できない。
→市町村は勝手に世帯主が誰であるかを決められないため、申請すべき者が誰であるかは世帯主を決める届出が出てこなければ決められない。
従事したことがない素人がパッと考えてもこれだけ考慮すべき条件がある。自分が思いついていないことで、他にもあるのだろうと思う。
しかも、この「住民票上の世帯構成」は、市町村のシステムでしか確認できない。マイナンバーでは確認できないものなのだ。かつ、日々届出により変化するものである。基準日時点で全件のデータを切り出したとしても、それ以降に遡った日付で毎日届出はやってくるのだ。
常にリアルタイムで更新できればいいのだけれど、そのような常時接続するようなことは、マイナンバー制度導入時も、住基ネット導入時も否定されてしまっている。
こういった状況下で、時間もないなか完璧な条件定義など望むべくもないなかで、新たなシステムを開発して投入するのではなく、すでにある(いまいち使われていない)システムを利用するという作戦は、全否定される筋合いのものではないのではないかと思っている。新規導入したシステムを使ってこける方が悲劇だ。
けれども、市町村の方で、システムがひどいからと責任転嫁するのではなく、もうちょっと運用上考えてみても、よかっただろうということはある。
「世帯主が申請」で思考停止している市町村は、もう少し丁寧な説明をすべきだ。
また、重複申請で苦労しているという報道もあるが、さっさと申請データのダウンロードをして、受付メールを送信していれば、不必要な重複申請を受けることもなかったケースも多くあるはずだ。
市町村も国に振り回されて大変な状況であろうとは思うけれど、できることをしっかりやってから、苦言を呈するべきであろうと思う。
つらつら書いたけど、みんながんばれ!!!
まぁ お前の脳内ではな。 いちおうみんなを代表して
今あるリソースで市町村はできることは既に全部やってる上での苦言なんだ。 受付メールはぴったりサービス側から送られる。しかも申請した内容もzipファイルで送られる。申請者は自...
今あるリソースで市町村はできることは既に全部やってる上での苦言なんだ。 受付メールはぴったりサービス側から送られる。しかも申請した内容もzipファイルで送られる。申請者は自...