2017-06-11

あるゲーム実況配信者の少年の話

この手の晒しコンテンツという奴にそう深く触れることはこれまでなかったのだが、まあ要するに意味深発言をするSっぽい猫耳に釣られたのだ。

最初のうちは声なしなおかげで、迷惑配信者が他のプレーヤーに蹴っ飛ばされるのを単純に笑っていられるのだが、途中から声が入ると事情が変わる。

偉そうな子供がボイチェン使って「はい論破」とか言っているのを延々聞かされるのはなかなか苦痛だ。

だがさらに見続けていると今度は「下手」と言われるのがよほど応えるのか急に泣きだしてしまう。

その上にはついぞ己の常軌を逸した横柄さに無自覚なまま「虐められたくないよ」「僕がどんな思いで毎日過ごしてると思ってんだよ」と喚く。

流れるような暴言も彼がずっと言われ続けたものなのだろう。

母親への中傷によく反応しているが、彼の家庭環境がまともとはとても考えられない。

他のプレーヤーをすぐに裏切者と認定したり、逆にアイテム一つで仲間だと信じきったりする様子からは、境界性人格障害典型的な「白か黒か」の二極化思考が伺われる(こういうことを書くとネット住民がすぐ誹謗中傷に使うのでよくないのだが)。

恐らく彼の親は善悪というものを教えることなく、ただ自分の気分次第で彼を褒めたり叱ったりしてきたのだろう。

そうすると子供は何によって人が喜び何によって人が怒り悲しむかを学習することができず、「味方だから大丈夫」か「敵だから危険」かをその場ごとに判断することでしか他人理解することができなくなる。

そしてまた彼は自分を無条件に他人より優れたものとした。そうでなくては誰からでも裏切られる可能性のある彼は自分を保てない。

たとえ敗北を喫したとしても、それを何とか「自分=最強」の図式に組み込まなければならないのだ。

彼はメンタルが強いから何度も配信を行ったわけでは決してない。

世にも脆弱な己自身を、せめてゲームの中では確立しようともがき続けたのである

全く悲しい話だ。

彼は既にアカウントを消した。

こうした話で再特定される例は寡聞にして知らず、もう二度と彼の姿を見ることは叶わないだろう。

だが今の時点でそうして形成された人格が、後に改善していくとはどうにも考えがたい。

きっと彼は現実世界で蓄積される膨大な不満(不安というべきかもしれない)を、今後もネットのどこかで解決しようとあがき続ける。

やがて上手くすれば年功序列の息が長い企業就職し、数年を耐えて「下の人間」を首尾よく手に入れるかもしれない。あるいはもっとろくでなしになるか。

いずれにせよ誰も(自分さえも)幸せにすることなく生きてゆく。

恐ろしいことだ。

そしてまた同じような子供生まれる。

無限再生産される地獄のような家庭環境。一体どうすれば、彼は幸せになりえたのだろうか。

勇壮BGMと黒い画面に流れ続けるコメントを眺めながら私が思ったのは、おおよこの様なことだった。

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