インターネットはその性質上、全宇宙のデータ化を目的とする。人体やその内面も例外ではない。
いずれインターネットは脳の中に入り、就寝中の夢をストリーミングしたり、思考のいちいちに他人がクソリプを投げてきたり、幼少期に身に覚えのないヴェルタースを貰った思い出が書き加えられるようになる。そのときに、固有の脳の生理活動を「自分の領域」として保護するための権利意識の醸成が必要不可欠である。もしこれに失敗したら、未だ解明されていない自我そのものの存在が多数の典型的クソリプによって疑義を呈され、なし崩し的に政府による思考情報の自由な読み取りを可能にする法案が衆院を通過してしまうだろう。
また他の心配事として、ネットに魂を移住させて肉体運用のコストを無くすという名目での自殺が横行しする可能性があり、それを止める方便としても自分権が不可欠である。この権利の領域を魂と定義すれば、脳から意識を切り離してアップロードさせるなどという愚考はただの殺人だと説明が付くだろう。問題は、すでにこのようなことを考え、実行するのに何ら疑問を持たない輩がいるということだ。すなわち「現実と故郷の区別が付かない人」の事である。彼らは、ネットに魂を捧げてオトカドールになることは、コントローラを操作する側の世界で生きることと何ら変わりは無いと断言する。彼らが区別が付いていないのは現実とPCの中の世界ではなく、死体と生きた肉体が等価だとする錯誤である。しかし、彼らとの対話においてもはや「肉体」「生物」「社会」という単語自体が彼ら独自の「区別の無い価値」によって書き換えられているので、会話を交わす事自体が相互不信を深める以外の成果をもたらさないという事になってしまっている。近いうちに素粒子サーバー内に作られた広大な公営住宅内に貧困者を移住させる政府の計画が始まりかけている。それは真に大きな過ちであり、失われた生命(この言葉さえも、もう)の取り返しの付かなさとともに、新天地に立った彼らを待ち構えているのは文字通りの「レトロウイルス」、つまり古参の電子の民との闘争の口火に立ち会うことになる。
こんばんはマスマイスターです。 うーん? これは現実の日記や書記のたぐいに見せかけたSFですかね。 めちゃくちゃ既視感あるしこの話って攻殻機動隊SSSの貴腐老人の話そっくりじゃ...