2014年12月、注目業界のクラウドワークスが上場を果たした。同業界において日本ではランサーズが2008年から事業展開していたが、後発の先行IPOとなった。そして2月、最初の四半期決算(2014年10月~12月)が発表。前四半期ではダウンするものの、発表資料においては、前年同四半期比での発表となり、好印象に映る。そもそも赤字計画であることからも、業績においては大きな違和感はない。先日話題になったgumiとは違うところだ。
一方、明るい兆しも見えている。積極的な広告投入により、大幅に会員数を伸長。2015年1月は、月間新規登録数を3万人に伸ばし、累計30万に至ったようだ。10月~12月四半期の発表で、2015年1月の状況をサマリー(2ページ目)や、かつてないペースで成長と記載(8ページ目)しているところを見る限り、大きなアピールポイントとみえる。とはいえ事実だから、全く問題ないだろう。
まずは以下をみてほしい。ユーザー名は、「hjytut6uuthgfgb」だ。
http://crowdworks.jp/public/employees/375663
クラウドワークスのURL構造は、会員番号順に並んでいる。URL末尾がおそらく会員番号だと思われるがそれをみると、実際に会員数は大幅に伸びている。2015年1月に3万人の新規登録数だが、2月以降はさらに加速しているようだ。
しかし、やはり疑問が浮かぶ。通常、Webサービスに登録する場合は、名前と誕生日の組み合わせ、ニックネームなどが多い。もちろん個人情報の観点から判別しづらい名前をつけるケースもあるだろう。ただ、とはいえ、限度はあるだろうし、「hjytut6uuthgfgb」のようなケースが多すぎるのだ。試しに末尾の番号を順番に検索していくと、かなりの確率で前述のような、不規則な文字列のユーザー名にあたる(もちろん普通の名前のユーザーも多数いる)。ほんの10分程度で、暇なら試してみるのも面白い。
https://crowdworks.jp/public/employees/419948
https://crowdworks.jp/public/employees/419953
https://crowdworks.jp/public/employees/419767
https://crowdworks.jp/public/employees/419912
https://crowdworks.jp/public/employees/419834
https://crowdworks.jp/public/employees/419960
https://crowdworks.jp/public/employees/419993
ちなみに、IR発表でアピールしている「2015年1月に会員数急増」とあるので、暇ついでにユーザーを調べてみると、昨年12月以前には、上記のような不規則な文字列のユーザーはほぼいない。
昨年は一般的。今年に入り急に不思議と言っても過言ではないユーザー登録が現れる。果たしてこれは何なのか。
赤字上場の是非は賛否両論ある。ただ、あらかじめ赤字と伝えたうえでの上場だけに、その点は真摯といえよう。だからこそ期待から投資している。短期的ではなく長期的にみていきたいと思う。
ただ、前述のような会員数を「高い成長性」とアピールするのは甚だ疑問だ。注目業界、注目企業の動向としてはあまりネガティブに考えたくないが、gumiの件もあっただけに、ついつい脳裏を過ぎってしまう。
実が伴っていればよいが、仮に、実が伴っていなければ、いかに会員数が増えようとも、そもそも広告投資に疑問符が浮かぶ。通期計画は予定どおりのようだが、それでは通期計画自体のヨミがどうなのかという話に発展する可能性は否定できない。
そこでふと思い出すのが以下だ。ベンチャー業界に明るければ記憶にあるだろう。
実態は内側に入れば当然把握できるはずだ。次回の決算発表次第では、個人投資家としては繭を潜めざるを得ないかもしれない。そのときは、株主の端くれとして実際に問い合わせてみるか検討しようと思う。
この業界は日本の大きな課題を解決する可能性がある業界。専業では最初に上場したクラウドワークスには個人的には大きな可能性があると考えているし、おそらく多くの人が同様の想いを抱いているのではないだろうか。だからこそ、誠実に、着実に、成長してほしい。大きな期待をしているだけに、記憶に新しいgumiの二の舞にはなってほしくないからこそ、あえて疑問を投げかけてみたい。