MIT の研究者で Enterprise 2.0 の提唱者として知られる Andrew McAfee 氏は、ブログ上で現在の雇用と賃金についての問題を米国内の雇用と賃金の推移グラフなどを用いて指摘している。その中で、民間雇用率や GDP、労働生産性などの経済指標の中から、1980 年代以降、平均家計所得の上昇率だけが低下していることを問題視している。
同氏は近年、平均家計所得の上昇率が低下している理由として、グローバル化、政府の税金政策の変化、オフショアリングの普及に加えて、コンピュータとロボット技術が高性能化していることが影響しているという (Andrew McAfee’s Blog の記事、本家 /. 記事より) 。
これまで経済学の世界では、技術進歩によって発生する失業は (市場の成長よりも下回ることから) 、一時的な問題に過ぎないという考え方が主流だった。しかし、最近はこの考え方を変える経済学者が増えているという。
ノーベル賞を受賞した経済学者 Paul Krugman もその一人。NewYorkTimes のコラムの中で、コンピュータの主要部品であるマザーボードの製造はほとんど自動化されており、アジアの安い労働力はもはや不要になった。技術の革新と進歩は労働者の多数を傷つけることができると指摘している。
Andrew McAfee 氏は、コンピュータやロボットは教育が不要であることから、新入社員などの仕事を奪い、労働賃金の低下圧力となった。今後、ロボットがますます強力になり、賃金と仕事のボリュームに影響を与える幅が大きくなれば、その影響はより大きくならざるを得ない。教育と起業家のシステムに根本的な変革が必要なのかもしれないとしている。
「資本主義が悪い!」みたいな言説は遺物になって久しいわけだけど、もし資本主義という経済のあり方が変わることがあるとしたら、こうした問題が究極的なところまで進んだときだと思う。一匹の牛から急速培養で1週間につき200頭の仔牛が生産できますとか、そういう状況になったら、あらゆる経済活動を資本主義に任せる意味は薄いと思う。とはいえ、現時点ではちょっとそういう可能性を現実に考えるのは早計過ぎるようにも思うんだ。
この問題は通時的に考える必要があって、産業革命以降社会は技術進歩による市場の拡大を経験してきたわけだけど、ここ100年はその前の100年に比べて大きなイノベーションが起きていない。技術進歩の停滞のツケが、家計の上に表れてきてるんじゃないだろうか。雇用が激減しているとかじゃなく、平均家計所得の上昇率だけが低下しているってところから見ても、そう説明したほうがしっくり来るように思う。
つまり、もっとイノベーションを起こして、もっとハイスピードにフロンティアを開拓しなくちゃいけないんだ。そのためにも、もう前時代の発明に寄っかかって平均的な人材を大量に育てる教育システムはやめて、一部の特別な天才にリソースを集中する方向に教育の方向を切り替えるべきなんじゃないだろうか。
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