2017-01-21

キングコング西野の「天才的な炎上」について説明する

このところ世間を騒がせているキングコング西野絵本えんとつ町のプペル無償公開事件

これについて自分は本当に西野亮廣という人間天才だと感じた。

と言っても別に例の絵本西野が書いてないのに西野が書いてることになってる件とか、

配布してるページが収益貰えるシステムになってるとかそういう下らないことを指して天才と言いたいのではなく、

彼の行った一連の「ネット印象操作」についてが天才的だと言いたいのだ。それについてちょっと説明してみたいと思う。

  

  

まず、事の発端となった1月19日ブログだ。

http://lineblog.me/nishino/archives/9256089.html

  

お金奴隷解放宣言」。このセンセーショナルタイトルと以降の文章についてどう思うだろうか。

多くの人は以下の2つの印象を持つだろう。

  

お金のことをよくわかっておらず、格好いいことしようとして周りに迷惑をかける無知

・表ではいい顔をして裏ではしっかり稼ごうとする強かなクズ

  

おおむね、ネットの反応も上の2つで通っていたと思う。

重要なのはこの2つの印象を同時に持ってしまうことだ。つまりお金のことを何も理解してない上に裏できっちり稼ごうとしているバカで賢い人間」。矛盾していると思うだろうか。

いや、そんなことは無いのだ。日本には似たような人、または似たようなイメージを持たれている人が多数存在する。

例えばワタミ渡邉美樹社長社員に対してああだこうだ頭の悪そうな夢を説いているが、実際の所人件費ケチるための方便だろう。

あるいは日本ユニセフ協会アグネス・チャン世界の子供を救うなんて言ってるが、実際の所募金で金を稼ごうとしているだけだろう。

事実はともかく、日本にはこういうイメージを持たれ、日々ネット民サンドバックになり続けている人間が多数存在する。

西野亮廣はそんなサンドバックのイメージピタリとはまったわけだ。

  

から誰もが西野亮廣攻撃した。この人が人を呼ぶ大炎上により無事「えんとつ町のプペル」の人気は再燃。見事amazon絵本売上でランキング1位をかっさらったのだ。

めでたし、めだたし。

  

  

・・・で、終わらなかったのが今回の話のスゴイ所だろう。

この時点で西野は賢いだの商売うまいだの、「上から目線」で評価しようとする人もいたが、個人的にはそりゃねえだろと思っていた。

いくら成功しようと儲けようと、他人に嫌われて成立する商売なんてクソの一言で済ませるべきだ。だから今回も、西野はクソ、で終わるはずだった。

  

  

ところがこの西野亮廣という男、この炎上を鎮火するどころか、同情すら買ってしまったのだ。

  

翌日1/20記事

http://lineblog.me/nishino/archives/9256313.html

  

今度の記事はどうだろうか。そこにはいい格好したいだけのうすっぺらい無知もいない。裏でこっそり稼ごうとするクズもいない。

いるのは堅実な夢を語り、真っ当なビジネスで堂々と稼ぐ西野亮廣ただ一人だ。

  

これが恐ろしいところだ。ネット民は誰もが西野を「叩いても反論できない男」だと確信していた。

渡邉社長が「社員残業を強いているのは経営のためだ」とか、アグネス・チャンが「募金の一部を貰ってるのは社員を食わせるためだ」と言うだろうか?

口が裂けても言えないだろう。それまでの発言否定することになるからだ。

しかし彼は堂々と、堅実で真っ当な話をしてしまった。

前日のすっからかんな内容の記事にはウソも隠し事も無かった。しかし、この日の発言をする余地をしっかりと残していた。

  

これについて文句を言う人は前日より遥かに減った。何しろ、彼の発言は何もかも正しいからだ。

無料で配布しても利益は出る。お金必要じゃない場合もある。むしろこれらの言葉は、旧態依然とした日本大企業政府に言ってやりたい言葉

まりネット民」側の言葉なのだ

  

前日の記事リアルタイムで見ずに、この記事を見た人はどう思うだろうか。

「なんだ、西野ってカッコいいやつじゃん!それに対して文句言ってる連中は頭悪いな!」だろう。

まり西野亮廣が嫌われることにより発生した炎上は、ここで無事鎮火したのである火災発生からたった一日で。

  

  

炎上ビジネス」と言われた案件は数あれど、そのどれもが今も嫌われ続けている。

対してこれほど見事に嫌われの輪廻から外れたのは類を見ない。だから西野亮廣天才だと思う。

いや、これは西野亮廣個人がやっているかはわからない。というか十中八九、裏にブレーンがいるか、あるいは西野本人がブレーンとなって駒を動かしているかだろう。

しろ1/20記事がこなれすぎている。たった1日、いや、炎上した後から計算すれば半日で、これほど見事な文章が書けるだろうか。

おそらくは元からネットの反応を予見していて、それに対する文章を用意し、そこにツイッターの反応を埋め込んでいった。それだけだろう。

からといって蔑むことはない。キングコング西野というコンテンツを、ここまで見事に運営したグループに天晴と言うほかない。

  

  

ただし一つだけ、どうしても気に入らない点がある。

声優明坂聡美さんをはじめ、ネットでは「無料配布は誰も幸せにならない」という文句が巻き起こっていた。それに対して、「えんとつ町のプペルは売れた」という趣旨でこき下ろした点だ。

ネット民文句を言ったのはえんとつ町のプペル無料配布したことではなく、あくまでその後のポエムに出てきた「お金はいらない」という下りだろう。

早い話が彼らは論点のすり替えを行って上手いこと反論したのだ。いや、議論になっていないか一方的暴力だ。これについては流石に弁護できない。

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