小さい頃から兆候はあったんだけれど中学に入って間もなく、もしかして俺って男が好きなのかなと思うようになって、
それからもうちょっと経ってから男だけじゃなく女にも興奮するとわかってから、俺って何なんだろうと思って、
そんなときたまたまブックオフで読んだ、スラダンのスピンオフかなと思って手に取った本が二次創作のボーイズラブだった。
たしかに最初は「こんなものがあるなんて」と驚いたけれど、もっと続きが読みたいと思って、気がつけばこっそりBLを買うようになって、
俺ってやっぱり男が好きなのか、バレたらみんなから嫌われるかな、気持ち悪いと思われるかなと思い悩むようになった。
大学生の従姉妹の家に遊びに行ったときにBLマンガを見付けて、もしかして理解者になってくれるかもと思って、
とにかく一人で思い悩むのが辛かった自分は従姉妹に、自分が男を好きかもしれないこと、BLをこっそり読んでいることを打ち明けると、
俺を否定せずに受け止めてくれて、それからBLマンガをこっそり読ませてもらうようになって、
うれしいな~と思うようになってからしばらく経った頃、従姉妹が俺をある場所に連れて行ってくれた。
いわゆる腐女子同士のオフ会で、そこにいけば俺の理解者がもっと増えるかも、という従姉妹の心配りだった。
俺はとにかく緊張しっぱなしでオフ会に参加した。当日に突然の参加だったからみんな俺の存在に驚いていたし、
俺がBL好きであることを従姉妹がみんなに告げてから、しばらく口論っぽい感じになっていて、俺はだいぶ肩身が狭かった。
中でもひとり、大人の女性がすごく怒っていて、従姉妹も説き伏せるのに困っているようだった。
どうもその人にとっては、男の俺がこの場にいることが不快らしく、やっぱり男がいると変なのかなと思ってビクビクしていると、
その人が俺に向かって「もうBLを読まないでほしい」と言ってきた。なんでだろうと思っていたらその人によると、
「男はみんな、いつも女を性的に観て暴力を与えたり搾取したりしている」
「BLにハマるというのは、性的に搾取され続けた女が、自分の意志で誰にも迷惑をかけず男を性的に消費することができる機会」
「ボーイズラブにハマるのは女だけの特権。男がBLをハマるのは女から機会を奪うのと一緒。搾取行為である」
「男がBLを読むのは間違っている」「男が男との恋愛に憧れるのは誤り」
といったことを、子供向けに噛み砕いた感じで言われてしまった。もちろん一字一句一緒というわけではないけれど、概要はこんな感じだったと思う。
見ての通り偏ったフェミニズムなんだけれど、なにぶん俺はそのときまだ13とか14そこらの子供だったから、
男が女を性的に搾取とかフェミニズムとかこれまでの人生で考えたことなんて一切なかったし、そのときは緊張もしていたもんで、
しかも目の前で年上の女性が怒っているし、とにかく自分が悪かったんだと思って、「わかりました。ごめんなさい」とだけ謝って、従姉妹と一緒にそそくさとその場を後にした。
雰囲気は最悪だったので、従姉妹は俺に謝ってくれたんだけれど、俺はとにかく頭の中がこんがらがっていて、とにかく怖かったということだけ覚えていて、
それから家に帰ってひとりでいるときにあのことを思い出すと、急に胸が苦しくなって、喘息のように咳と涙が止まらなくなった。
パニクっていてよくわかっていなかったけれど、その頃は自分のセクシャリティに関して思い悩んでいたこともあって、
面と向かって「男がBL読むな」「男が男を性的に観るのは間違っている」と言われたことはかなりメンタルに響いていたようで、
しかも「俺は女にも興奮できる男だから女の人に迷惑をかけていて、そのうえでさらに男を好きになるという悪を上塗りしているんだ」と思うと、
自分を否定され、存在を誤りだと言われ、悪者にされた悲しみと、自分が「悪」であることの自己嫌悪とがないまぜになったような感覚に落ちて、
誰に謝ればいいのか、これから自分はどうすればいいのかなんてことを考えて、とにかく胸が張り裂けそうでずっと咳き込みながら泣いていた。
その日から今まで親には内緒で買ったBLを、夜中にこっそり遠くのゴミ捨て場やどこかの側溝に捨てたりして全部処分した。
大学に入った頃には、自分がはっきりとバイだと自覚して、そもそもあの人の考え方がおかしいんじゃねえかとわかるようになり、またBLを読むようになった。
気持ちが上向けば幸せがやってくるのか、理解のある腐女子の彼女もできたのでそれなりに充実するようになったのだけれど、
昔あったことを彼女に話すと、本当にわずかではあるけれど腐女子の中にいると、そんな主張をしている人を時折見かけるとのこと。
ネットで調べてみたら、あの日俺の前で怒っていたあの人と同じ主張をしている人がゴロゴロ出てきてビックリした。
てっきり、あの人はかなり特殊な存在で、似たような人は二人といないだろと思っていたくらいなので。
ゲイやバイに親でも殺されたのかってくらいの恨み節や、自分達のおかげでゲイは権利を獲得できたのだといった主張が並んでた。
これらの主張を読んでいるとあの日のことを思い出して、心臓がドキドキいって落ち着かなくなり気分も悪くなる。
考えてみればあの人にとって「男は女を性的に搾取する存在」なので、「女を性的に見ない男」の存在は自分達の主張を脅かすことになるんだろうし、
今ならあの人に反論することも可能だけれど、当時は子供だったのでしょうがない。
もちろんそんな主張をする腐女子なんかごく少数、多分フェミニストの中にだってごく少数なんだろう。
彼女が多少フェミニズムに噛んでいる関係上、フェミニストの人達の意見を聞くことが多いけれど、
「私達のフェミニズムは女性の権利向上や搾取の撤廃は掲げているだけであり、男性から権利を奪ったりLGBTを否定するなんてもってのほか。
とはいえ思想運動である以上、そういう主張が過激な人たちの存在は否定できず、こちらとしてもとてもわかりあえず、悩みのタネ」と話していた。
女性が歩んできた歴史や現状を考えれば、俺は男性蔑視といった極端でないもので限りフェミニズムの思想にはわりかし肯定的なほうなのだけれど、
それでもあの日のことを思い出すと胸がざわついて呼吸が荒くなるし、そのためフェミニズムを支持したくても複雑な気分になってしまい、心が折れてしまう。
まあフェミニズムがどうとか腐女子がどうとかに関係なく、俺はそんなに頭がよくないんで知識や考えが足りているわけじゃないけれど、結局言いたかったことは、
自分がどんな思想を持っていても、あんまり悪辣に他人のセクシャリティを否定しないでほしいってことだけなんだよ。特に子供相手には。
俺は口が裂けても腐女子に対し「BLを読むな」なんて言えないし、そんな気もさらさらない。
時々、腐女子を叩くゲイも、本当にごく少数見かけるけれど、それもやめろよな。
ここまで書いて結構スッキリしたよ。吐き出すのって大事だねやっぱ。あんまりこういう長い文章書く機会ないんで、文章ヘタでごめんな。
http://anond.hatelabo.jp/20161106005711 たしかに腐とフェミには、時々おかしな奴いるからな。 萌えと同じである意味で敷居低い世界だから、劣等感と怨念の塊みたいなのが流れ込んでくるんだ...