はてなキーワード: eDRAMとは
Apple M1の高性能の理由について、ネットはクソみたいな解説記事に溢れている。
技術に明るいはずのはてなーですら某AVライターの間違いだらけの記事に釣られて、300ブクマ超が集まっていて嘆かわしい。
それもこれも後藤センセーがいつまでたっても解説記事を書いてくれないせいではあるが、公開情報が少なすぎるせいでまともなライターほど記事を書けないのも理解できる。
違います。
そもそもM1はDRAMをSoC化/ワンチップ化していません。M1がやっているのはSiP(System in Package、複数チップをワンパッケージに組み込む)であって、eDRAMによるSoCとは全く異なるものです。
SiPとSoCはJavaとJavascriptくらいには違います。
違います。
HBM系のメモリを採用していたらメモリ帯域は大幅に向上しますが、M1は標準DDR系メモリをワンパッケージ化しているだけなので、帯域もレイテンシも変わりません。
帯域はM1 MBPとIntel MBP(Ice Lake)でチャネル数同じ、前者はLPDDR4X-4266、後者はLPDDR4X-3733なのでメモリ帯域は14%しか向上していません。また、x86/x64最新世代のTiger Lake/ReniorはLPDDR4X-4266に対応しています。レイテンシはM1が96.8ns、Tiger Lakeが98.4nsでほぼ同等です。
Apple M1の実力を最新世代のIntel/AMD CPUと比較。M1が両者を大きく上回る結果ににあるように、SiP化によって消費電力の削減は期待できます。
違います。
SoC-DRAM間がマザーボード上で30cmあったとしても、電気信号の伝送にかかる時間は片道1nsです。仮にSiP化で物理的距離が1/100になったとしてもレイテンシ100usが98.02usになるだけで、CPUにとってDRAMが絶望的に遠いことに変わりありません。
違います。
まず、同一チップ上のCPUとGPUが同一のメモリーコントローラ/DRAMを共有するという意味では、Intelは2011年のSandy Bridge、AMDも2011年のLlanoからUMAです。一歩進んだメモリ空間の共有、コヒーレンシの確保という意味でも、AMDは2014年のKaveriから対応していて、この点においてM1に革新性はありません。
違います。
上記のSandy Bridge、Llanoの世代からかつてのノースブリッジがCPUに取り込まれたため、2011年以降のモバイルPC向け”CPU”のほぼ全てにはGPU/メモリーコントローラが含まれています。
かつてのサウスブリッジはIntelは今でもワンチップ化こそしていませんが、2013年のHaswellからMCMでワンパッケージ内には収められています。AMDは2014年のCarrizoからサウスブリッジ機能もCPUに取り込まれています。
この意味で、x86/x64のモバイルPC向け”CPU”は、かなり以前からSoCです。
違います。
NPUを活かせるアプリケーションは2020年現在では未だ限定的です。もしNPUの有無によってUXが決定的に改善されるなら、NPUありのSnapdargon 8cxを積むSurface Pro Xは同世代のSurface Pro 7よりずっと快適でなければなりませんが、そのような事実はありません。
違います。
CISC/RISCの論争は20年以上前に終わった話です。その後CISCはRISCの美点、RISCはCISCの美点を取り入れたので、現代のCPUはISAがCISCか/RISCかだけで性能が決定されることはありません。
歴史的経緯からx86/x64のデコーダが複雑になりがちなのは事実ですが、5W以下のローパワープロセッサの開発へ向かうIntelにあるように、ISAの差による消費電力増は10~20%のレンジで、さらに性能増によって相殺される分、電力効率の差としてはわずかです。
頑張って最適化してIPC上げたのと、スマホ由来の積極的なDVFS・クロックゲーティング・パワーゲーティングで浮いた消費電力を回しているからです。
気が向いたら書きます。